こちら、あやかしも診れる診療所。

五嶋樒榴

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本編

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気がつくと、俺は後ろ手に縛られて拘束されていた。
車の後部座席に俺だけが横にさせられている。
腹を殴られて気を失ったようだ。
俺と銀狼は別々の車に乗せられたようで、銀狼の姿もさっきの連中の姿もなかった。
俺を人質に、銀狼を連れ出したんだと理解した。
目的地に到着すると、運転していた男に車から引きずり出された。
ここは埃と錆臭い、どこかの倉庫のような場所だった。
建物の中に入ると目の前では、3人の手下の中でも1番キリッとした硬派な男前の男と銀狼が闘っていた。
凄い。どっちも強い。
ただの人間が、身体能力の高い銀狼と互角にやり合っていて俺は驚いた。他の2人はもう銀狼に倒されていた。

「そいつが俺の部下の女の家にいた所を、俺の部下と鉢合わせしてね。で、その部下を可愛がったのがそいつと言う話で。部下はそれなりの武闘派なんですけど、簡単にのしたって言うんでそれで興味を持ちまして。部下の女にそいつが湊医院の話をしていたそうなんで直ぐに調べられた訳ですよ」

淡々と語る伊丹会長。
それを聞いていた銀狼が俺に叫ぶ。

「悠仁!俺は女と何もしてねーのに、あの野郎が先に手ぇ出してきたんだからなッ!」

本当に銀狼は部屋に居ただけだろうが、相手の男はそうは思うまい。
伊丹会長の話で俺はよーく把握できた。
ったく!
だからホイホイとナンパされるなと言って聞かせていただろうが!
銀狼は、どれだけ自分が女にモテるか分かっていない。
人間の姿の銀狼は、羨ましすぎるほど見た目も中身もカッコいい男だ。

「成城、もう良い。ふーん。聞いていた以上の腕っ節だな。気に入った。お前、俺の私兵になれ」

はぁ?
この人は何を言っている?
半妖をヤクザにするつもりか?
そんな事させるわけにいかない!

「銀狼がした償いはきっちり俺が責任を持ちます!なので、銀狼を許してやってください!」

伊丹会長は俺を見てニヤッと笑った。

「先生にはこいつらの手当てを頼みますよ」

伊丹会長は、銀狼が倒した手下達を指さす。
俺の話は全然聞いてくれない。

「私兵ってなんだよ。お前の言うことなんか聞けねーよ」

銀狼黙ってろ!
ややこしくなる!

「それじゃぁ先生、死んじゃうよ?」
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