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戸灘は手術の甲斐なく、複数刺された傷の出血が原因でこの世を去り、戸灘を最初に庇った三木は、傷が内臓をそれていたため大事には至らなかった。
しかし政龍組としては、この落とし前をきっちりつけなくてはならないと、その後北沢組に報復し、双方の仲裁に、政龍組と特に深い繋がりを持つ厳柳会に入ってもらいこの件に手打ちを打ったのだった。
その後三木の回復を待って、政龍組の組長に三木、若頭には鷹雄が昇格することになった。
父親を失った美都子はまだ戸灘の死が受け入れられず、毎日ただぼんやりと過ごしていた。
その後、政龍組の体制が落ち着いた頃、戸灘の次男の正二が戸灘の家に戻ってきた。
「兄さん!なんで今更この家に帰ってくるっておかしいんじゃないの?この家はもう私が鷹雄さんと継ぐのよ!」
正二が家を相続すると言うことになり美都子は納得がいかない。
家を嫌いずっと寄り付かなかったのだ。
「美都子。俺が正二さんを呼んだんだ」
「あなた?なんで?なんでよ!」
半狂乱になる美都子を鷹雄は冷静な目で見る。
「始めからそう言う約束で俺はお前と結婚した。だから俺は戸灘の養子にも入らんかった。俺たちが住む家ももう見つけとる」
突然の話で美都子は理解ができない。
「嫌よ!どうして私たちが出ていくの?戸灘の家を兄さんに任せるなんて嫌よ!ここはお父さんとお母さんの家なのよ!思い出がいっぱいあるのよ!」
「鷹雄さん。もう良いよ。別に俺も帰っても親父の組の事もなんもできんし」
美都子の怒りに正二は尻込みする。
「いえ。組の事は正二さんとは何も縁がありません。残ってるのはこの家だけです。組の事は、三木のオヤジと俺で仕切っていくんで、戸灘の家を守ってやってください」
鷹雄はそう言って深々と頭を下げた。
美都子はどうしても納得できなかったが、鷹雄が飯塚の姓のままだったのもそれで納得ができた。
鷹雄は自分の手を汚してでも掴み取る男。与えられるのを好む男ではないと改めて思い知らされた。
「別に住む家って?私と2人だけで?」
鷹雄は美都子の顔を見る。
「母屋には今まで通り、俺と美津子と摂子だ。離れに舎弟や子分を真一と住まわせる」
摂子も一緒と聞いて美都子は顔を硬らせる。
「なんでせっちゃんまで?せっちゃんはこの家に残れば良いじゃない!あの子はこの家の養女なのよ!兄さんに世話を任せれば良いじゃない!」
美都子が反発するのは分かっていた。だが、鷹雄は美都子の言い分を聞くつもりはなかった。
「今後一切、俺に指図をするな」
鷹雄の声が冷たかった。美都子も流石に怯む。
「俺のオヤジはもう三木のオヤジだ。俺が城を持つと言ったら俺に従え。それが出来んなら離縁だな」
淡々と鷹雄は話す。美都子は悔しくて堪らない。
今まではまだ戸灘が守ってくれた。
その戸灘がいなくなった以上、鷹雄の妻と言う座にしがみつくなら、もう鷹雄には逆らえないのだ。
「摂子には今まで通り真一の世話をさせる。今までと何も変わらん」
確かに表向きは居を変えるだけで何も変わらない。
だが美都子は、いつまでも摂子が鷹雄に付き纏うことに納得がいかなかった。
しかし政龍組としては、この落とし前をきっちりつけなくてはならないと、その後北沢組に報復し、双方の仲裁に、政龍組と特に深い繋がりを持つ厳柳会に入ってもらいこの件に手打ちを打ったのだった。
その後三木の回復を待って、政龍組の組長に三木、若頭には鷹雄が昇格することになった。
父親を失った美都子はまだ戸灘の死が受け入れられず、毎日ただぼんやりと過ごしていた。
その後、政龍組の体制が落ち着いた頃、戸灘の次男の正二が戸灘の家に戻ってきた。
「兄さん!なんで今更この家に帰ってくるっておかしいんじゃないの?この家はもう私が鷹雄さんと継ぐのよ!」
正二が家を相続すると言うことになり美都子は納得がいかない。
家を嫌いずっと寄り付かなかったのだ。
「美都子。俺が正二さんを呼んだんだ」
「あなた?なんで?なんでよ!」
半狂乱になる美都子を鷹雄は冷静な目で見る。
「始めからそう言う約束で俺はお前と結婚した。だから俺は戸灘の養子にも入らんかった。俺たちが住む家ももう見つけとる」
突然の話で美都子は理解ができない。
「嫌よ!どうして私たちが出ていくの?戸灘の家を兄さんに任せるなんて嫌よ!ここはお父さんとお母さんの家なのよ!思い出がいっぱいあるのよ!」
「鷹雄さん。もう良いよ。別に俺も帰っても親父の組の事もなんもできんし」
美都子の怒りに正二は尻込みする。
「いえ。組の事は正二さんとは何も縁がありません。残ってるのはこの家だけです。組の事は、三木のオヤジと俺で仕切っていくんで、戸灘の家を守ってやってください」
鷹雄はそう言って深々と頭を下げた。
美都子はどうしても納得できなかったが、鷹雄が飯塚の姓のままだったのもそれで納得ができた。
鷹雄は自分の手を汚してでも掴み取る男。与えられるのを好む男ではないと改めて思い知らされた。
「別に住む家って?私と2人だけで?」
鷹雄は美都子の顔を見る。
「母屋には今まで通り、俺と美津子と摂子だ。離れに舎弟や子分を真一と住まわせる」
摂子も一緒と聞いて美都子は顔を硬らせる。
「なんでせっちゃんまで?せっちゃんはこの家に残れば良いじゃない!あの子はこの家の養女なのよ!兄さんに世話を任せれば良いじゃない!」
美都子が反発するのは分かっていた。だが、鷹雄は美都子の言い分を聞くつもりはなかった。
「今後一切、俺に指図をするな」
鷹雄の声が冷たかった。美都子も流石に怯む。
「俺のオヤジはもう三木のオヤジだ。俺が城を持つと言ったら俺に従え。それが出来んなら離縁だな」
淡々と鷹雄は話す。美都子は悔しくて堪らない。
今まではまだ戸灘が守ってくれた。
その戸灘がいなくなった以上、鷹雄の妻と言う座にしがみつくなら、もう鷹雄には逆らえないのだ。
「摂子には今まで通り真一の世話をさせる。今までと何も変わらん」
確かに表向きは居を変えるだけで何も変わらない。
だが美都子は、いつまでも摂子が鷹雄に付き纏うことに納得がいかなかった。
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