僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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ゴールデンウィークがスタートしました。

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マンションに帰り着くと、優星は買ってきた食材を冷蔵庫に入れる。美峰は買ってきた着替えを袋から出した。

「タグ切らないと。明星君、ハサミ貸して」

明星は、ダイニングにある食器棚の引き出しからハサミを出して美峰に渡す。
美峰は買ってきた物を出すと、パチンパチンとセキュラーピンを切って値札タグを外していく。

「美峰さん。洗濯に全部出しておいてください。後で洗濯しちゃいますから」

優星がダイニングテーブルに買ってきたお寿司を置いて、刺身皿と醤油の準備にまたキッチンに入る。

「僕が洗濯機に持ってく」

明星が買ってきた服を抱えて洗面所に行き、美峰はまだ袋の中に紙袋が入っていたのでそれを袋から出した。
紙袋の口をビニールテープで留めていたが、外れて浮いていた。美峰は何を買ったのかと出そうとしたが、中身を見て手が止まった。
一気に顔が赤くなる。
紙袋の中にコンドームが入っていたので、慌てて紙袋の口を閉じた。
一緒に入っていたチューブ型の容器が、ローションだと言う事は気がついていなかった。


 これって!
 え?
 どう言う事?
 だって、優星君、まだそう言う事、怖いって言ってたじゃん!


美峰はそう思いながらもドキドキして顔が熱い。

「美峰君!どうしたの?お寿司食べようよ」

洗面所から戻った明星に声をかけられて美峰はドキッとした。
紙袋の中身を明星に見られないようにしないとと、慌てて洋服が入っていた袋に戻す。

「美峰さん。食べましょう」

醤油を醤油尺に入れて持ってきた優星もダイニングテーブルにやってくる。

「あ、うん!」

美峰は、平常心と心の中で思いながらダイニングテーブルに着いた。
優星は洋服が入っていた袋に目をやると、中に紙袋を入れたままだった事を思い出し無言でその袋を持った。

「ちょっと荷物部屋に置いてくるね。明星、箸を出しておいて」

優星に言われて、明星はスーパーから貰った割り箸をダイニングテーブルに出した。
優星がダイニングから出て部屋に向かうと、美峰はフーッと息を吐いた。
優星がどう言う意味でコンドームを買ったのか分からなくて、美峰はどうしてもドキドキが止まらなかった。


 もしかして、今夜…………。
 まさかね?
 でも…………そのつもりで買ったのかな。


美峰はもし今夜、優星に誘われたらどうすれば良いか分からなくてプチパニックになる。
ダイニングに戻ってきた優星は、そんな美峰の気持ちも知らず何事もないような涼しい顔でダイニングテーブルの席に着いた。
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