僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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ゴールデンウィークがスタートしました。

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ショッピングモール1階のスーパーは祝日の昼時のせいか結構混んでいた。

「明星君、何食べたい?優星君、お昼は出来合い物で良いかな?」

美峰が尋ねると、優星はハッとしてから頷く。
ドラッグストアに戻って買うかどうしようかとまだ悩んでいた。

「俺、お寿司が良いな。明星、お寿司買って行くか?」

「お寿司!お寿司!」

嬉しそうに明星が言うので、昼はファミリー向けのお寿司を買うことにして、夕飯をどうするか考え始めた。
美峰と明星はカートを押しながら、楽しそうに食材を選ぶ。

「優星君、夜はお肉にするよー」

美峰が優星に声をかけると、優星は頷いた。

「あ、俺、ちょっと買い忘れたのがあるんでもう一度ドラッグストア行ってきます!これ、買い物代」

優星は有無を言わせず美峰に1万円を渡すと、走ってスーパーを出ていってしまった。

「にーちゃんどうしたんだろ。何買い忘れたのかな」

不思議そうに明星は美峰に言う。
美峰も分からず、明星と首を傾げあった。
優星は走ってドラッグストアに入ると、とりあえずノーマルなコンドームを選んだ。その横にローションもあったので、買ったことなどなかったがカゴに入れた。
会計を済ませると、店員は気を利かせて中が見えないように紙袋に入れてくれた。


 何やってんだろ、俺。
 怖いとか言いながら、こんなの買っちゃってるし。


本当は、ネットでも少し調べてはいた。
ただ、そのものズバリの画像は怖くて見てないので、男同士の営みは正直言って分かってはいない。
ただネットの情報でコンドームとローションを買ってみた。


 ゴム買うなんて久しぶりだな。
 最後使ったのっていつだったかな。


もうずいぶん恋人がいなかったと優星は思い出した。
そんな事を考えながら美峰達が待つスーパーに戻る。
ふたりはまだ買い物中だった。

「買い物終わった?」

美峰が笑顔で尋ねる。その笑顔に優星はドキドキと鼓動が鳴る。

「あ、はい。ありました」

優星は紙袋を見せないように、洋服が入ってる袋に入れた。

「今夜ね、美峰君が焼肉やろうって。ホットプレートでやるよ」

明星が優星に今夜の献立を発表した。

「ホットプレートあるって聞いたから。とりあえずお肉と野菜買うから」

美峰がカゴの中を見せながら言う。

「分かりました。じゃあ帰ろうか」

レジで会計を済ませると、明星も軽い物を持って手伝いながら家路に着いた。
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