僕は超絶可愛いオメガだから

ぴの

文字の大きさ
12 / 37
1章 1年春〜夏

僕は困惑してるんです①

しおりを挟む

 あーどうしよう、どうしよう!
 ナオくんにあんなことしちゃうなんて!!
リョウくんに相談したいけど、ヒート中の彼にこんなこと言えないし。

 僕は図書館から逃げ帰って一人になると、事の重大さに青ざめた。

 なんか誰かに操られてたんじゃないかって感じだった。何なの!?あれって。抗えない何かが自分の中に沸き起こった感じだった。
 でもさーそんなの言い訳にもならないよね。
 
 ナオくん絶対僕のこと、軽蔑したよね。だからΩはって思ってるよね。

 はああーーー!!!

 どれぐらい布団を被って悶々としてただろうか。外は暗くなって、夕食を知らせる放送が入る。

 食欲ないけど、顔出さないと体調悪いかと思われて皆んなに心配かけるから食堂にとりあえず行かなきゃ。

 食堂に行くと、寮長の鈴木先輩が駆け寄ってくる。
「和倉くん、はいこれ。図書館に忘れたでしょ。」
差し出してくれたのは、僕の宿題と筆記用具だった。
「あ、ありがとうございます。」
「拾ったのは、僕じゃないんだ。1年のSSクラスの子が図書館に居たここの寮生に渡してくれたらしい。」
ナオくんが届けてくれたの?
「そうなんですね。」
 
 あんなことしてしまった後なのに、ちゃんと届けてくれたんだ…。
 僕は届けてくれた宿題を抱きしめる。

 僕は、食事もそこそこに部屋に戻った。

 せっかく届けてくれたんだ、今日の宿題を最後まで終わらそう。
 そう思ってワークブックとノートを開く。

「!!!ナオくん、なんで…。」

そこには、僕が理解できないと言った問題に大きな付箋で解説が書いてあった。

ポイントとなる部分にはマーカーが引いてあった。

あれ、他のページにも!
僕がつまずきそうな問題に解説の付箋が貼ってある。

ナオくんの角張った綺麗な字は、一文字も乱れることなく書いてある。
どれも適当になんて書いてない。
僕の為に時間を使って丁寧に書いてくれている。

そう思ったら、ぼわっと涙が溢れて来る。

あんなことして逃げたのに。
どうしてなの?

もう嫌われていたとしても、明日きちんと会って謝ろう。
そう決心し、涙を拭いて宿題に取り掛かった。
そして、ナオくんの付箋のおかげで予習まで済ませたのだった。



 翌日、リョウくんの様子をメッセージアプリで確認する。初日よりは落ち着いているけどまだ辛いみたいだ。
必要な物があれば、学園が届けてくれるし、そもそもリョウくんは備蓄もしてあるっていうから、僕の出番は全くなかった。

 となると、次に考えるべきなのは、どうやってナオくんに会いに行くかということ。
 実は勇気がなくて、ナオくんの連絡先を聞けてなかった。

 学園の食堂で探すなんて不可能に近いし、今日はナオくんの部活の日だから図書館にはいない。
 けど、謝るなら早いほうが良い。だから、図書館でばったり会うまで待ってるなんてできない。
 どうするか考えている内にあっという間に放課後になってしまった。

 こうなったら、テニス部終わりのナオくんを待ち伏せしよう!
 テニス部のコートがある場所から寮の帰り道で必ず通るところに立っていれば、会えるはず!

 そう意気込んで柱の影に隠れて待ち伏せをする。
 えっと、17時に終わるから17時30分までには会えるかな。
 17時少し前からスタンバイしている僕はそわそわしていた。
 何度も腕時計を見てしまう。

「何、かくれんぼしてるの?」
肩をぽんと叩かれて
「ひゃっ!」
と変な声を出してしまう。

そこには、ナオくんとは全然違う雰囲気の、どちらかというと軽い感じのイケメンがいた。
2年の先輩だ…。

「ハルちゃんじゃん!こんな所で会えるなんてラッキー!いやー間近で見た方が遠目で見るより何十倍も可愛いってすごすぎだなあ。」
僕は、困って視線を泳がす。
「あーごめんごめん。俺2年の夕凪健太だよ。テニス部の副キャプテンしてるよん。」
「えっ!テニス部!?」
「う、うん。あっ!テニス部入りたい感じ?ハルちゃんなら大大大歓迎だよ。道具一式プレゼントしちゃうし!」
「あの、そうじゃなくて…。テニス部って今日もう部活終わってるんですか?」
「今日?中間テスト近いから部活はお休みだよー。まあ、俺は体が鈍っちゃうからちょっと内緒で打ちに行くとこだけどね。」

えっ!休みだったのか。僕ってバカ…。

「そうですか、ありがとうございます。」
「えっ、ちょっと待って!何かテニス部に用事だったんじゃないの?」
「いえ、人に会いに来ただけなので。」
ペコリと頭を下げて今度こそ去ろうとするのに、先輩はしつこかった。

「誰?誰に会いに来たの?」
「いえ、大丈夫です。」
「えー、取り次ぐよ。」
「またにしますから。」
「あーもしかして、城之内とか?」
僕はナオくんの名前が上がってピクリと反応してしまう。
「ふーん。ハルちゃんに会いに来てもらえるなんて城之内ってそういうのクールな感じしてなかなかやるじゃん。」
「あ、そういうんじゃなくて…。」
「あー会いたい奴ってやっぱり城之内なんだ。」
ぐっ、自ら答えを言ってしまった。

すると、自室でしか使ってはいけない携帯電話を夕凪先輩は取り出して、どこかにかける。

「あー俺。今ハルちゃんとテニス部のあそこの通路にいるんだけど…ん?ハルちゃんは、可愛いハルちゃんのことだよ。でさーお前に会いたいみたいなんだよね。別に来なくていいけど、えー来るの?はいはい、待ってます。」

これって、ナオくんに電話したんだよね…。

「ってことで、今から城之内が来るよん。それまで、俺とおしゃべりしよっ。」
「は、はい。」
「そんな迷惑そうにしないでよ。取って食べるわけじゃないし。ふふ、戸惑ってて可愛いね。ハルちゃん、そんな可愛いのにαに慣れてないとこがいいね。」
僕がモジモジしてると、夕凪先輩は腰を屈めて顔を覗き込んでくる。
そうか、僕いままでβとしか触れ合ってないから、αといると自然と緊張しちゃうのか。
 にっこり笑って誘惑とか僕には無理だ!

はじめのうちは、当たり障りのない質問をされて僕がぽつぽつ答える。そして、唐突に
「ねえ、ハルちゃんってパートナーって決まってるの?」
と聞かれた。
「え?」
「番のこと。」
僕はブンブンと首を横に振る。
「じゃあ、候補は?」
「候補?」
「そう、パートナー候補。何人かのαと付き合って一番自分にとってスペックの良い相手と番うの。」
「そ、そんなの!?」
「えーでも、そのためにこの学園に入ったんでしょ?俺、ハルちゃんの候補でいいからなりたいなー。」
「ぼ、僕そんなの、」
僕が先輩の言っていることに困惑していると、
「春人!」
ナオくんが来てくれた。


 

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。 オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。

もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか

まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。 そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。 テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。 そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。 大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。 テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

僕はただの平民なのに、やたら敵視されています

カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。 平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。 真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 文章がおかしな所があったので修正しました。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

琉海
BL
憧れを追って入学した学園にいたのは運命の番だった。 アルファがオメガをガブガブしてます。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

処理中です...