4 / 37
1章 1年春〜夏
僕は注目されています
しおりを挟む入学式当日。学園のルールに則って寮の外に出るためにネックガードを装着し、部屋を出た。
寮の玄関広間では、みんなが体温と脈拍を測ってヒートが近くないことを証明していた。
まだ、発情が一度も来ていない僕は当然クリアして寮の外に出る。
すでに在校生は、新入生を迎えるため、講堂に集合しているらしい。
新入生は、在校生が迎える中、名前の順に講堂に入るらしいから、『わくら』の僕は一番最後に並んだ。
まずは、αから入場する。新入生αは200人もいるから、講堂に入るまで結構待たされそうだ。
「ねえねえ、和倉君ってどんな人がタイプ?」
列の前の山岸が振り返って、暇つぶしに話しかけてきた。
彼は僕ぐらい小柄で華奢だが、日本人らしい顔立ちをしている。
「うーん、優しい人かな?」
「えーそれってみんなそう言うよー。じゃなくてさー見た目とか、そういうの。」
「そういう山岸君は?」
「それは、当然αでさわやか系イケメン。背が高くてスラリとしてるのがいい。ちなみに僕はゲイだからαでも女はなしかなあ。」
なるほど。そういえば僕のタイプって何だろ?
そんなこと考えたことなかった。将来養ってもらうなら、女より男相手の方が気兼ねないってくらいで、番うなら男のαって決めてたけど。
「そっか。そういう人にこの学園で出会えるといいね。」
「うん!出会う気満々!!だから、和倉君、僕の好きなタイプいたら、顔伏せてね。」
「どういうこと?」
「だって、和倉君のこと見たら絶対好きになっちゃうよー。僕のタイプの人が和倉君に惚れたら勝ち目ないもんね。」
「そんなことないって。」
「そんなことある!!」
ない!ある!って押し問答を繰り返していたら、講堂に順番に入るよう声がかかった。
600人もいるαの中に入るなんて僕もみんなも大丈夫なのだろうか。急にドキドキしてきた。
α側は、Ωを刺激しないように無駄にフェロモンなどを出さないよう高校入学前から訓練してるらしいし、換気も十分で、近づきすぎないように講堂もかなり広い作りらしい。
次々と同級生達が講堂に入っていく。そして最後に僕が入ると、途端に講堂が揺れるほど騒がしくなった。
不思議に思いながら前を見ると、巨大スクリーンが設置されていて、そこに僕と僕の名前が映し出されれていた。
僕の見た目は、エリートα様達にも受け入れられたようだ。
在校生達は、講堂の中央後ろから前に向かって歩く生の僕を見ようと必死になって首を伸ばしているのが気配で分かった。
僕は気になってちらっと右を向いて先輩方を見た。
わあ、みんな背が高くってかっこいいなあ。
僕が横を向いたので、先輩方の何人かが手を振ってくる。
僕は、それに応えるように軽く微笑んだ。
「まじ可愛い!」
「最高!」
「嫁にする!」
「見てるだけでラット起こしそう!」
「お前、下品だぞ!けど、気持ちわかる。」
僕が微笑んだ方角が更に騒がしくなったので、慌てて前だけを向いた。
危ない危ない。お目当てのαが誰なのか分からないのだから、八方美人は禁物だ。
なるべく大人しく振る舞って、目当てがいたら、積極的に…。それが僕の戦略だ。
僕は学園のアイドルになる気はない。たった一人の優秀なαさえ捕まえられればいい。
しかし、僕の戦略はこの巨大スクリーンのせいでズタズタになることをすぐに、知るのだった。
27
あなたにおすすめの小説
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる