僕は超絶可愛いオメガだから

ぴの

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1章 1年春〜夏

みんな僕に構ってくるんです

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 入学式、その後の簡単なオリエンテーションと給食を終えて部屋に戻った。αの生徒は、この後みっちり授業が入ってるけど、僕達Ωは初日はこれで終わりだった。
 入学式である程度狙いのαを見つけようかと思ったけど、人多すぎてそれどころじゃなかったなあ。
 僕は、ジュースを飲んでブレザーの制服から私服に着替えようとしたところ、亮一が訪ねてきた。
「ねえ、ハル!学校の中探検しない?」
「ええ!?勝手に出歩いていいんだっけ?」
「夕食まで自由時間だし、他のαは授業中だろ?別にいいんじゃない?」
「そっか、じゃあ行こう!」
外したネックガードを再び付けて、亮一と部屋を出た。
「俺、パンフレットにあった噴水広場に行ってみたいんだよね。」
「αの教室棟の近くの?」
「そうそう!αどもがお勉強中の間に堪能しようぜ!」


 学生の憩いの広場にある噴水は学校の中にあるものとは思えないほど立派で、一番高い噴水は5mはあるだろうか。
 その周りに大小さまざまな噴水がある。
僕と亮一はついはしゃいでしまって水飛沫をあびる。

すると、広場に一クラス分の生徒がやって来る。
「げっ!あいつら1年のSSクラスのやつらだ。」
亮一が顔を顰めた。

 ネクタイの色は一年の色で、下の方に紺の横縞が2本入っているのが、αの中でも特に優秀とされる者が入れるSSクラスの証だ。
 新入生オリエンテーションで、担任教師が学校の中を案内してるらしい。
 早速SSクラスの人に会えるなんて運がいいなぁ。僕は心の中でニンマリとする。
 彼らをこっそり見学しようと思ったのだけど。

「ああ!ハルちゃんだあ!」
「はっるく~ん!」
顔と名前覚えられてる…。
わらわらと同級生のα達が集まってきた。

「こらーあんまり近づきすぎんなよー。ここでの時間は10分だけだぞ。」
 担任教師が軽く注意をする。
 彼らは教育されているのか絶対僕らΩに触れてこようとしないし、一定程度距離を保ってくれている。

 クラスのほとんどが僕の周りに集まって、僕に色々質問をしてくる。みんな背が高いから、見上げる形になってしまう。
 亮一は、弾かれたのか輪から外れてるらしい。
「ハルちゃんって好きな食べ物何?」
と質問され、
「うーん、ケーキとか甘い物かな。」
答えると、別の生徒が
「ほんと!?うちの家、洋菓子も扱ってるから、今度店から運ばせるよ。」
と言う。
また他の生徒から、質問される。
「趣味って何?」
「えっと、あんまりこれと言った物ないんだけど、旅行するの好きかな。」
「したら、ウチの沖縄の別荘おいでよー。」
「えーそれよりも、海外のリゾート施設経営してるから、そっちに来なよ。ハルちんなら、無料ご招待だよ。」
「だったら、うちは、国内外180ヶ所にホテルあるから好きな所好きなだけ泊まっていいよ。」   
「うちは、プライベートビーチ持ってるよ。気にしないでのんびりできるよ。」
あははー何この世界。これ普通なの?さすがSSクラスの生徒たち。家柄も立派だ。この中の誰にしても安泰そうだなぁ。
 ずっと見上げて話してるから、首が痛くなってついさすってしまった。ネックガードでさすれなかったけど。
 それに皆んなが気づいて、前から順番にしゃがんでくれる。
 この状態、写真撮影される新人アイドルみたいじゃん。

 ふと顔を上げて遠くを見ると噴水の方を見ている生徒がいた。
 横顔だけでも一際整っている顔立ちをしていて、背も他のαより高そう。光と水飛沫を浴びて、彼の髪はブルーブラックに輝いてる。
 亮一が暇なのかその彼と話していた。
 彼は少し笑った。
 笑顔も綺麗だ。
 僕は何となくその彼から目が離せなかった。
「はるちゃん、あいつ気になるの?」
僕は、ついボケっと見てしまっていた。
「あ、噴水綺麗だなって。」
彼に見惚れていたことを気づかれなくて誤魔化す。
「ふーん。まあいいや、でさー…」

 結局10分間目一杯あらゆる生徒に質問攻めにされてしまった。

「今度食堂で、お昼一緒にたべよーね!」
「お前ぬけがけ!」
「ずるいぞ!」
ワイワイ言いながらみんな帰って行った。
 αってもっと偉そうにしてるかも思ったけど意外に気さくだ。

「ハル大丈夫だった?」
「うん、色々質問されただけ。」
「すっげぇモテてたな。」
亮一がニヤリとする。
「これ、モテてるって言うの?」
「ハルに好かれようとαどもが必死になってただろ。」
「そ、そう?」
「ハルに媚びまくってたのが見てて爽快だったぞ。」
「えっ!?」
「まあ、気づいてると思うけど、俺、αにあんまいい思い出ないから、ついそんな言い方になるんだよなー。」
「亮一は、αに前から会ったことあるんだね。」
「ま、まぁな。だから、αと馴れ合う気はない。ここなら、Ωの教育もしっかりしてるし、同類いるし、家の方針もあって、入学しただけ。」
もしかしたら、僕がαと話してるのが不快だったのかも。心配になって亮一の表情を窺う。
「あっ、でもそれは俺の価値観だからハルは、みんなと仲良くやれよな。もちろん、俺が一番の仲良し前提な!」
そう、明るく言って僕の不安を払拭してくれる。

寮のそれぞれの部屋に入る前に僕は気になることを聞いた。
「リョウくん、さっきの誰?」
「さっきの?」
「噴水の側で話してた人。」
「ああー。城之内って名札だった。」
「な、何か話した?」
「いやーたわいもないことかなぁ。何?気になるの?」
「あ、なんとなく。綺麗な人だなって。」
「大丈夫大丈夫!ハルの方が圧倒的に綺麗で可愛いから!」
「いや、そういうことじゃ…。」
「あいつはやめとけ。」
亮一は小さな低い声で呟く。
「どういうこと?」
「あーなんとなく?じゃ、また夕食でな!」
亮一はそう言うとさっさと話を切り上げて部屋に入ってしまった。

 城之内くんかぁ。なんか、キラキラしてたなぁ。
 僕は何もしなくてもいつも人が寄ってくるから誰かに特別興味を持ったことはなかったけど、彼とは話してみたい。
 どこで彼と会えるかなぁ。
 これからの日々に少しだけワクワクするのだった。















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