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193疫病神

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そこに、OZとクリーム、オリバー隊長が周辺散策から戻ってきた。
兵士の話を聞くと

「ハッハッハ。何時までも、そんな事を気にするな。全員が無事だった。それで良いじゃないか。」
「この2人と居ると何が起きてもおかしくない。いちいち気にしてたら禿げるぞ。」

ジークさんが笑い飛ばしてくれたのは良いのだが、何でガラは俺達を疫病神の様に言うんだ。
OZのメンバーを見ると、何故か皆、頷いているし。

「それにしても、疲れているみたいだが大丈夫か。これでも食べてみないか。」

レオが気を利かせてゼリーを兵士に渡したが、戸惑っている。

「レオさん、この場で渡されても、彼も食べにくいと思うのよね。
 雰囲気的に皆で食べた方が良くないかしら。」

ジェニファーさんの言葉に、レオが笑いながら全員にゼリーを配る。

「やだ、催促するつもりは無かったのに。ありがとう。折角だから、皆で頂きましょう。」

流石に、ジェニファーさんの3文芝居にクリームのメンバーも呆れている。
この状況に、兵士が思わず笑っていた。
ここまで計算していた訳ではないだろうが、気が楽になったみたいで良かった。

「所で拓殿は、その魔獣、ヤマトをどうするんだ。」

ゼリーを食べながら、バラン将軍が聞いてくる。

「どうするって、ヤマトが良いなら一緒に居たいと思っていますが。」

『そうだにゃ、余りにもお人好しが集まったチームには、我輩が一緒の方が良いにゃ。』

しかし、バラン将軍の話では、決められた魔獣以外で町に入れるのは召喚された魔獣だけだそうだ。
話を聞くまで、他のメンバーも、その事を忘れていた。

「そうか。だとしたら、ヤマトが安全に暮らせる場所まで連れて行かないといけないか。」

『何故だにゃ、拓が吾輩を召喚すれば良いだけではにゃいのか。』

「召喚魔法って言うのは、魔獣の心臓に楔を打つようなものなんだよ。
 そんな、ふざけた魔法をヤマトに使える訳がないだろ。」

『じゃったら楔を打たずに魔法を使えば良いだけじゃろう。
 拓は技術者の癖に、諦めるのが早いんじゃないか。』

グリムの言う通りか、せっかく知り合えたんだ、諦めたく無いよな。

「足掻くのは、拓ちゃんの十八番だろ。
 いざとなったら、町の外で暮らすのも良いかも知れないしな。拓ちゃんなら、良い家が作れるだろ。」

浩司に思いっきり背中を叩かれた。痛いが目が覚めた。
良い顔で笑いやがって。こうなったら足掻くしかないだろ。

「部下に召喚の確認を行っていた奴がいる。連れてくるから話を聞いてみると良い。
 レオ殿、ゼリーをありがとう。本当に美味しかった。」

食べ終わった器をレオに渡すと兵士と一緒に遺跡の方へ戻って行った。
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