欲にまみれた楽しい冒険者生活

524禁欲生活

夜、ＯＺの３人は城に用意してもらった部屋で今回の反省会。
ルーカスとハックにお願いされ一緒に居る。

先ずは拓の今回の探索魔法について話をするが、自分の魔力が邪魔になる事に対する改善案は無かった。
ガラとレオの場合の打ち合いについては

「もし、凄い剣で戦っていたら、もっと戦う事は出来たか？」

拓が遺跡で発見した剣だったら、勝てたのではないのかと暗に聞いてみる。

「相手が同じ条件だとすると、同じ結果になるだろうな。
　光波を簡単に壊せるとなっても、相手はその対策を立てるだろうし。」

ガラの話を聞いて拓は仕方ないと考えているが、ガラとレオは未だ上を目指したいらしい。
特にレオは自分がＯＺの足を引っ張っていると考えてしまっていた。

「２人は将軍より強くなりたいのか？」
「「当然だろ。」」

拓の質問に、２人合わせたように答える。
拓としては冒険者が強くなるのなら対人より対魔獣の戦い方を鍛えた方が良いと思うのだが、
本当にガラとレオは何を目指しているのだろう？
２人の言葉にルーカスとハックまでも頷いているのを見ると、拓はこれがこの世界の常識的感覚なのかとも思ってしまう。

今後の方針としては、１日に行う拓の魔力循環の回数を増やすのと、強い魔獣と戦う事となった。
ガラとレオは３人の将軍と試合をしたがっているが、流石にそんな時間は無い。
拓としては３人でネットリと熱い夜が始めたかったが、ルーカスとハックが色々と話を聞きたがっていたので我慢するしかなかった。
おまけに、城内に用意された部屋。
拓は、なんでこんな所に泊っているんだろうと思っていた。
何故かルーカスとハックはそのまま拓に用意された部屋で無駄に大きなベットに川の字になって寝ることになった。

『何故にこんな地獄の禁欲生活を行わなければいけないんだ。』

心の中で叫んでいたが、この２人の前で変な事は出来ず今夜一晩の我慢だと自分に言い聞かせていた。
拓の気持ちが分かるのか、ダイフクも大人しくしている。

朝食の準備が出来たと言われ、拓、ルーカス、ハックが食堂へ向かうと既にガラとレオが国王と話している。

「拓。午前中だけだが、ここで特訓を受けさせてもらえることになった。
　バラン将軍とオリバー隊長が相手をしてくれる。」

嬉しそうに話して来るガラ。隣でレオが頷いている。
午後には帰れるのなら、拓も問題無い。
ここはたっぷりと扱いてもらい、動けない２人の身体をたっぷりと味わうのも楽しいと考えていると

「ドグが拓殿と一緒に治療を行なえないかと言っているがどうだ。ハック殿の勉強になるぞ。」

拓はハックの顔を見て、対応するとの返事以外出来なかった。
当然の様に神殿長達も同席する。
そしてルーカスはガラ達と一緒に剣の訓練をする。

動けなくなったガラとレオの身体を楽しむと言う拓の野望は打ち砕かれた。

何故、治療だけでここまで疲れているのだろう。
原因は神殿長とドク医局長。
拓の治療を良く知るための患者を探してきては、細かい質問をしてくる。

治療が終われば、次は健康診断・・・
逞しい身体を前に、楽しむ事も出来ない地獄のお預け状況。
おまけにハックが居るので、良い所を見せようと頑張ってしまう自分が恨めしい。
午前中という話が、何故か夕方まで行われ、再び城内で用意された部屋に泊ることになっていた。

ガラとレオの方も徹底的に訓練を行い、終わった時には体力の限界だった。
夕食はそれぞれ部屋で取らせてもらい、そのまま眠る事しか出来なかった。
ハックもルーカスも限界まで対応し、２人も倒れる様に寝てしまった。
ドク医局長と神官長は拓の治療を確認した内容を振り返り、探索魔法を併用した治療技術について意見を交わし合っていた。
この２人、最初から最後まで拓に付きっきりで、一切治療を行っていなかった。


国王は、バラン将軍、オリバー隊長、ヨギ魔導士を呼んでＯＺについて聞いていた。
ＯＺの成長は目を見張るものがあり、ガラはオリバー隊長と互角に戦えるとまで言われていた。
レオについても、兵士達のトップレベルの実力を持っている。
彼等が冒険者と言う事を考えると、対人より対魔獣の方が得意なのだろう。
そして拓も探索魔法がより洗練され、全ての魔法技術が飛躍的に向上していた。

「探索魔法か。どれだけの魔力が有れば他の魔法と並列で操作できる？」
「上級魔導士であれば、２つの中級魔法を扱えるように成れるかと思います。
　しかし、拓殿の様になれるかと言われれば難しい所かと。」

国王の質問に、ヨギ魔導士が答える。
拓と同等の中級魔法が使えるとしても、あそこまで使いこなすのは難しいだろう。
拓の魔法操作技術は、上級魔導士を軽く超えている。