欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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515慣らし

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次の日、オリバー隊長は日が昇る前に王都へ向けて出発し、
朝食を終えると冒険者達にテントを片付けて貰い、拓は倒したグリフィンを拠点に並べていく。
全てではなく、あくまでも国が認識しているアイテムボックスの範囲としている分だけを。

「拓、これだけの数を倒したのか?」
「こんなの初めて見たぞ。あり得ねぇだろ。」

ワンガとロウガが驚き、他の冒険者は唖然として見ていた。

「倒したのは勇者の3人ですよ。俺はサポートをしただけですね。」

拓の言葉に、全員の視線が一斉に勇者3人に向けられる。
居心地の悪そうな勇者3人だったが、拓はこの視線を外せて内心喜んでいた。

準備が終わった所で勇者3人以外は周囲の調査を行う為に軽い魔獣討伐を始めた。
拓はワンガ達と行動を共にし状況を確認していた。

「この位なら、勇者の特訓に丁度良いかな。それにしても、皆さんの実力が上がっていますよね。」
「当然だろ。助けられてから猛特訓を続けていたからな。」
「そういえば、ボロボロになるまで特訓していたね。俺だったら逃げ出している自信が有る。」

ワンガは何故かドヤ顔で話す拓を見ていた。
逃げるって・・・
自分との決闘においても実力を出し切っていないのだろう。
恐ろしい程の魔力量とその熟練した魔力操作。
拓は中級魔法しか使えないが勇者と同等、それ以上の力を持っているのではないだろうか。
それだけの実力を身に付けるのに、想像を絶する修練を積んできたはずだ。
才能という言葉だけでは片づけられるはずがない。
ただ、その使い方が少々変わっているが・・・

「少し戦いに参加させてもらうね。特訓の前に俺も皆の動きに慣れた方が良さそうだ。」

拓がサポートを始めると格段に魔獣討伐の効率が上がった。

「やっぱり調整が必要だな。何時も同じメンバーでパーティを組んでいるから癖が付いているみたいだ。
 少し、俺の練習に付き合ってもらうよ。」

ただ、拓だけが納得いっていない。
拓のサポートによって、冒険者達は難なく魔獣討伐を行っていく。
このままだと周囲の魔獣を退治し尽くしてしまうので、森の奥へと進む事に。

「なぁ、これって練習と言うより完全な魔獣討伐じゃねぇか?」
「OZってこんなのを練習とか言っているのかよ。」
「こんな魔導士のサポートが有るんだな・・・よし、俺だってやってやる。」

冒険者達が驚きながらも拓の練習に付き合っていると、短時間の内に拓のサポート力が更に上がっているのが分かる。
ワンガは何か有った時のためにと拓に付いていたが、何もする事が無かった。
そして、拓が納得した所で調査を終えることになった。

「拓、勇者の特訓は問題無く出来そうか?」
「十分ですよ。逆に俺の調整の方が足りなかったみたいです。
 今日付き合ってもらって、勇者3人のサポートが出来るイメージが出来ました。」

正直、勇者3人の力は強すぎるので、下手をするとその攻撃は冒険者達を巻き込むかもしれない。
拓は勇者3人の力と冒険者の動きを把握したので、どの程度のマージンを取れば良いのかを測っていた。

「所で、相方はリーンさんでしたっけ?その後はどうなんですか?」

拓がヤラシイ顔でワンガに聞いてくる。

「まぁ、良い感じに付き合っているぞ。」
「ゴルゴさんとサブと4人でやったりしているとか?」
「している訳ねぇだろ。全く、何を考えているんだ。」
「えっ?人生を楽しんでいるか聞いているだけだけど?」
「・・・」

変態じみた変わり者の方が、凄い魔導士になるのだろうか?
勇者の3人とも仲が良いみたいだが、3人も変わり者なのだろうか?
ワンガは拓を見て思わず勇者との訓練が大丈夫か心配になっていた。

「拓さん、ワンガさん、明日は大丈夫でしょうか?」

噂をすればリーンがやって来た。
拓は真顔になると今日のサポートした時の様子について話始めた。
ワンガはその変わり様に驚きながらも、拓の説明を聞いていた。

「正直、俺は剣士では無いので、あくまでもサポートする魔導士側からの話です。
 ガラやレオの意見も聞けると使える話になるんですけどね。」

拓はそう言うが、意見は的確だった。
凄いのだが・・・。

拓は最後に金狼と軽く合同訓練を行っていた。
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