欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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魔導士団だけでなく、国王や他の騎士団までがが見守る中、拓、バラン将軍、オリバー隊長が組んで第3騎士団の兵士8人との対峙する。
拓が5人でなく8人なのを聞くと、「拓殿にとって5人では物足りないだろう。」笑顔で答えるバラン将軍。
拓にとって5人でも十分過ぎるのだが、諦めるしかない。

「拓殿。これは魔導士団に見せるためなので、姿を隠さずに対応をして欲しい。」

バラン将軍に言われ、頷く拓。
試合が始まると、兵士達はのっけから全力攻撃。
更にバラン将軍とオリバー隊長は何時も以上に動きが速い。
強化魔法を使って乱戦に付いて行く拓。
おまけにバラン将軍とオリバー隊長の壁を抜けて兵士達が直接拓に攻撃を加えてくる・・・いや、わざと不意打ちの様に兵士を通して来る。

「デモンストレーションじゃなかったのかよ。」

拓が思わずため口で言ってしまうが、笑顔でスルーするバラン将軍。
その笑顔はベットの上で見せて欲しいと思いながらも、拓は兵士達に攻撃を行った。



「これでも、拓殿は問題無かったか。最後に1人で対応して貰っても良いだろうか。
 勿論、姿を隠してもらっても問題無い。」

戦いを終えて一息ついていた拓に、止めとばかりのバラン将軍の発言。
バラン将軍の無茶振りに周囲から拍手が上がる。
拓は連続で戦っていて疲れているのだが、仕方なく対応する事に・・・

姿を隠して良いと言いながら、拓を中心に囲むように兵士を配置して始めることになった。
それも兵士の数は10人。逃げる隙が無い。

「始め」

バラン将軍の掛け声と共に、拓は兵士達の顔を狙って魔法による一斉攻撃を仕掛ける。
そして、同時に闇魔法で隠した攻撃魔法を足元へ。
兵士達は顔の攻撃は避けたが、足元への攻撃を受けて倒れる者も居た。
兵士達は直ぐに体制を立て直し、拓を攻撃しようとしたが既に姿を消している。

「円陣を崩すな。まだ包囲網は崩れていない。」

そう叫ぶ兵士が包囲網を縮めようと前に進もうとすると、足元の土が崩れて穴に落ちていた。
更に兵士達の背後に攻撃魔法が放たれ土が爆ぜると、後ろを振り向き後ずさりした5人が同じ様に穴に落ちた。

残った4人が周囲を見て拓を見付けようとしていると、初めと同じ位置に姿を現す拓。
兵士達が驚き隙が出来た所に、拓の魔法攻撃が行われ残り4人も倒され試合終了。
拓としては我ながら計算通りに事が進んだと喜んでいたのだが、

「拓殿。もう一試合お願いします。」

第3騎士団の兵士達から声が上がる。更に

「私達も手合わせをお願いします。」「それなら私達も。」

第1騎士団、第2騎士団からも・・・
第1騎士団のダッソン将軍や第2騎士団のシンシア将軍も声に出さないが見るからに試合をしたがっている。
そんな中、国王が立ち上がると場が静かになった。

「拓殿も連続の試合で疲れているだろうから、今日はここまでとしよう。
 魔法師団は良い刺激になっただろう。
 この先、皆の成長を期待する。
 拓殿、素晴らしい戦いだった。これからも宜しく頼む。」

国王の言葉で、試合は終了した。
ホッとした拓に周囲から拍手が送られる。

国王が退席されると、戦った兵士達から声を掛けられる。

「今回位は拓殿に一本入れられると思たが、また完敗だな。」
「かなり良い感じに攻撃が出来たと思たんだが。」

「その前に、これって魔獣退治の訓練だよね。俺みたいな戦い方をする魔獣を知らないけど。」

拓の疑問に笑うだけの兵士達。これは上司たるバラン将軍の影響だろうか。

「拓殿。これだけの訓練を組むことが出来れば、魔獣との戦いに余裕が出来る。本当に助かっている。」

笑顔で話しかけてくるバラン将軍。やはり兵士達はバラン将軍の影響を受けてるみたいだ。

「拓殿、シャワーで汗を流しに行かないか。」

パウロとヨーゼフに声を掛けられ、拓はシャワー室へ向かう。


宮廷魔導士達は拓の戦い方の分析を始めた。
大量の魔力を持ち複数の魔法を使う拓の真似は出来ないが、拓の戦いを手本としようとしていた。
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