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456報告書作り

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最後にピスタ子爵を尋ねた。

ピスタ子爵の元にジャイア子爵、ポップ子爵も来てくれ、結婚式やアンデットの話をしたのだが、ルーカスも同席。

「ルーカスは自分の屋敷に居ないと思ったら、何でここに居るんだ?」
「拓さんがハックと色々と話すだろうから、同席させてもらおうと思いまして。」
「・・・特に特別な話は無いけど、治癒魔導士の人達が治癒魔法について報告書をまとめているって位かな。」
「拓さんは参加しなくて良いのですか?」

ハックが何故か心配そうに聞いてくる。

「手伝ったけど、気付きについては俺だと良く分からないからね。報告書が出来上がったらルーカスとハックの分も貰えることになっているから読んでみると良いよ。」
「「「ありがとうございます。」」」

ルーカスとハックだけでなく、ピスタ子爵まで頭を下げられ慌てる拓。
ハックはピース神官、トリス神官が王都に戻って来たと聞いて直ぐに神殿に向かったのだが、何か重要な話が有ると言われ10日程は教育の時間が作れないと言われたらしい。
ピース神官とトリス神官の様子が少しおかしく、拓とは途中で別れて暫くは王都に戻ってこないと言われ少し心配になっていた。

「一緒にクロイツ公爵の治癒魔導士も居ただろ。3人とも報告書を作る事で頭が一杯で他に気が回らなくなっているみたいなんだ。
 移動中も夜中まで話し合っていて、ちょっと近寄りがたい状態だったかな。
 10日か・・・明日で良いのかな。神殿に伺ってみようか。」


次の日、ガラとレオはゴルゴとサブと一緒に剣術の訓練を行い、拓はハックとルーカスと一緒に神殿へ。
拓達が神殿に着くと、受付の女性が急かすように部屋の前へ連れて行く。

「何卒、宜しくお願い致します。」

部屋の前で拓に頭を下げると、扉を開けた。

「どうした。今は人と会う事が出来ないと言っているじゃないか・・・おぉ、拓殿。よく来てくれた。」

部屋にはピース神官とトリス神官、クロイツ公爵の治癒魔導士、更には神殿長まで一緒だった。
拓達は神殿長に部屋へ引きずり込まれると、扉が閉められた。

「拓殿、幾つか質問が有るが良いだろうか?」

そこからは、質問の嵐だった。正直「そんな事まで考えて対応していません」という感じだったが、拓は可能な限り答えていた。
昼食の用意が出来たと呼びに来られて、やっと一時開放。

「王都に戻って来てから、ずっとこの調子だったのですか?」
「まとめた資料を読むと色々と疑問が出て来てな。こんなに充実した時間は久しぶりだな。」

疲れた拓に、神殿長が嬉しそうに答える。
受付の女性が何をお願いしたいのかは理解したと思うが、拓の手には負えない・・・
おまけにハックまでが神官長達の話を身を乗り出して聞いているので、拓としては本気で困ってしまう。

「正直、怪我の状態も人によって違いますし、一度に完璧な物を作り上げるのは難しいのではないでしょうか。
 ここは基本的な内容をまとめ、今後、色々な実例を寄せ合って更に詳しい本にするのはどうでしょう。
 今回は、治癒魔導士にとっての指針となる冊子を作り上げるのが良いかと。」

拓が真っ当そうな事を言ってみると、神殿長は頷いて何か考え込む。

「貴族のパーティに合わせて、治癒魔導士の報告会・・・学術会を行うのはどうだ。
 貴族も自分達の治癒魔導士を連れてきているだろうし、パーティの次の日に神殿主催なら問題ないだろう。」
「成程、その案は良いですね。そこで出てくる資料をまとめて公開すれば、参加できない魔導士も勉強になります。」

話が盛り上がり、先ずは現状分かっている事と今後の課題点を記載する事にした。
そして、ドク医局長まで呼び出し、今後の方針を練るとの事。

「では、私は少し用事が有るので失礼させて頂きます。資料が出来上がるのを楽しみにしています。
 ハックとルーカスはどうする?残るのなら後で迎えに来るよ。」

話が一区切りついた所で拓は帰る事にしたが、ハックとルーカスは残ると言う。
今まで拓の治療を側で観察してきたハックは、ピース神官とトリス神官が考えていた以上の知識を持っていた。

「拓さんは話に参加しないで良いのですか?」
「そうです。こんな素晴らしい話し合いだというのに。」

ハックとルーカスに拓も残った方が良いと勧められるが、この先は本職の人に任せ帰る事にした。
拓としては技術を向上させたいが、探索魔法と治癒魔法を合わせた治療は拓にとって当たり前で話の重要ポイントが全く分かっていない。
まとまった資料を見せて貰うくらいが丁度良さそうだった。
時間が余った拓は、ノンビリと王都の様子を見て回る事にした。
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