欲にまみれた楽しい冒険者生活

450アドバイス？

途中の村を回りながら被害が出ていないか確認していたが、特に問題は無い。
魔獣と遭遇した時は、勇者の３人で対応していた。
事前に拓が探索魔法で察知し、攻撃目標、込める魔力量等を指示していた。
以前より魔法制御は良くなっていて、兵士、魔獣の数が少なければ何とか対応出来ている。
だが、兵士が密集してしまえば危険だろう。

「訓練を続けているけど、魔力を抑えた攻撃だと精度が上がらなくて。何か、アドバイスは無いですか？」
「アドバイスか・・・魔法を放つ時に通り道をイメージしてその通りに飛ばせば良いだけなんだけどな。」

拓が浩司に説明をするが、拓の言う通り出来れば誰も困っていない。

「探索魔法が使えると、周囲の行動を把握してターゲットをロックオンすれば自然と魔法を飛ばす道が決まるけどね。」

実際に拓が攻撃を行うと、動きの速い魔獣でも急所に問題なく当てられている。
更に探索魔法を使うと、複数の魔獣に対してでも急所に当てられ、ガラ、レオに攻撃に参加してもらっても普通なら死角になる様な場所に居る魔獣も問題なく倒すことが出来ていた。
拓の感覚では、探索魔法で状況把握をすると視野が広がり複数の物を同時に認識でき、複数の攻撃魔法のルートも問題なく操作できる。
ただ、拓ほどの探索魔法と攻撃魔法を使える魔導士が居ないため、これが一般的な事かも分からない。

「探索魔法を使わないと死角が出来るけど、魔獣との戦いで兵士が縦に並ぶことは無いだろ。
　だったら、兵士に当てない様に攻撃魔法が放てれば乱戦でもサポートが可能かな。
　大丈夫、攻撃魔法の精度を数センチに高めて、兵士の動きを予測しながらコースを変化させるだけだから。」

拓は気楽に言うが、そんな簡単な事ではない。
異世界人の特殊才能、個人的な資質、または魔力による集中力の強化の為かは分からないが、拓の話は浩司達の役には立たなかった。
浩司達に強力な魔法を放ってもらうと、かなり精度が上がっている。
ただ攻撃範囲が強すぎて乱戦での使用は無理だった。
拓は魔獣と浩司達の間に光の玉を作り出し、その球に当てない様にして魔獣を倒すと言う訓練を行う事にした。

『この３人を助けるには俺の重力魔法を公開した方が良いだろうけど、そこまですると面倒だな。』

ガラとレオにも相談してみたが、それだけは止めた方が良いと強く忠告されてしまった。
流石に、この世界の人間が使えない魔法が使えると知られれば、完全に国に縛られることになってしまうとの事。

「と言っても、いざとなったら拓は使うんだろうな。変装する用意だけはしておくか？」
「新しい仮面と服装か・・・普通の変装道具の方が良いかも知れないな。
　俺達のは前にダンジョンに潜ったときのカツラとかが有るけど、拓のも手頃なのを用意しねぇか。」

話が盛り上がるガラとレオに、拓は変装道具を渡して身につけてもらう。
ワイルドなガラに、髪の有る男前のレオ。
何時もと違う雰囲気に拓が欲情し、拓が抱き付いて来るので話はそこまでとなった。
ガラとレオもお互いの姿に来るものが有り、拓を相手にするよりも２人で楽しみ始めてしまった。

「俺も混ぜろよ。」

２人は文句を言う拓を見て笑うと、３人で激しく盛り始めた。


移動中の魔獣退治は拓と勇者３人で行っていたため、夜の警護は兵士達が行い、村ではピース神官やトリス神官達が怪我人を治療をするのでＯＺの出番はなかった。
村でＯＺがノンビリと過ごす中、クロイツ公爵の所の治癒魔導士とピース神官やトリス神官が拓との治療を通してまとめた資料の見直しを遅くまで続けていた。
途中、アンデットの被害にあった領主の居る町に立ち寄ると、ＯＺに対し謝礼金を提示してきので、冒険者として十分な金額だけ受け取り残りは返すこととし領主の私兵達とはここで別れることになった。

拓としては逞しい身体が減ってしまうのは残念だが仕方ない。

「クロイツ公爵。少し遠回りになりますが、バラキエ公爵の行っている開拓地を覗いて帰りたいと思っているのですが良いでしょうか。」

拓としてはＯＺだけで別行動と考えていたが、クロイツ公爵も同行する事になった。
ただ、軍の兵士達は直接王都へ帰る。
オリバー隊長の好意でパウロ、ヨーゼフを含め５名ほど兵士を付けてくれることになった。