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417わだかまり

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拓は最後の休憩所を作り上げると、全身を伸ばして大きな欠伸をする。

「これで最後ですね。後は既に作った分の改造が残っているだけか。」

これで拓が考えていた流通に関する基本的な対応は終わらせた。

「王都で報告が終わったらズゲベ侯爵の領地に向かおうか。ガラ、レオは寄りたいところでもある?」
「そうだな。少し街道を外れてしまうが、綺麗な湖が有るんだ。ちょっと寄ってみたいな。」
「それは見ておきたいな。レオは?」
「改めて聞かれると、特にないな。美味い酒が有れば十分だ。」

エチゴとの旅で結構な量の酒を買っているので何も問題ない・・・が

「レオ、何か思う所でも有るのか?他にやりたい事が有るとか?」

何となくだが、拓にはレオの雰囲気が何時もと違う様に見えた。

「具体的な事は考えていないが、もっと強くなりてぇと思ってな。この先、OZとして活動するのなら力を付けた方が良いだろ。」
「レオって、この先危険な事をしようと考えているのか?」
「「お前が言うな。」」

拓の言葉にレオだけでなくガラも反応した。

「ガラももっと鍛えたいと思っているのか?」
「やはり、剣士として生きていくのなら、上を目指したいな。」

拓にも手伝える事も有るし、逆に試してみたい事もあり、その辺は協力し合うしかない。
が、拓にはガラとレオは十分な強さだと思っていて、特別な特訓については何も考えが無い。
それよりも、拓はこの世界での結婚式について確認しておく必要が有った。

「エチゴさん、貴族の結婚式だと幾ら位包めば良いか分かりますか?」
「包むとは何ですか?」
「祝い金を幾ら位にすれば良いのかという事です。」

エチゴは少し考えてから話をする。
この世界での貴族の結婚式の祝いは金でなく品物が贈られる。
領地の特産品や工芸品などが一般的となる。

「そうなると、私は何を贈れば良いのですか?一応、冒険者としての参加で良いと言われています。」
「冒険者ならお金で良いと思うのですが、拓さんの場合はどうするのが良いのか。」

エチゴも冒険者と言われているとはいえ、免責札を持つ者としての立場だと良い考えが出てこない。
貴族の事は貴族にという事で、ブルネリ公爵かサリナ姫辺りに聞いてみることにする。


王都に帰る前にバラキエ公爵が開拓している村に寄ってみと、未だ作っている所も有るが村人も移住してきて畑作りが始まっていた。
着いたのが昼だったため金狼やワンガの仲間の冒険者達は居なかったが、スラム街出身の技術者達が働いている。
やはり拓を見ると気まずそうにしていたので、拓が監督に話をしてスラム街出身の技術者を集めてもらった。

「本来であれば先の話が出来れば良かったのですが、将来が不安になっていたと思います。
 この先、皆さんの仕事が上手く行くことを願っています。
 こちらも皆さんが残してくれた図面のお陰で、開拓が上手く行きました。
 本当にありがとうございました。」

拓が挨拶をすると、技術者達は背筋を伸ばし拓に向かって頭を下げた。
中には涙を流している人までいる。

「こちらも色々と動きが有り、この先仕事で係わる事も有るでしょう。
 その時は、お互いに協力し合い技術を高め合って頂きたいと思います。よろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いします。」」」

これ以上、技術者に時間を割かせる訳にはいかず拓は礼を言って仕事に戻ってもらった。
仕事を行う技術者達の顔は明るく、憑き物が落ちたかのようだった。

「拓殿、本当にありがとうございました。これであいつ等も働いていけます。」

監督がやって来て、拓に礼を言う。
スラム街出身の技術者達は、ここに来たことを後ろめたく思い続けていた。
今回の拓の話で、やっと彼等が前向きに仕事を行なえると喜んでいた。
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