欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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エチゴ商隊が町に到着すると、直ぐに領主の伯爵の下へと案内された。

「休憩所作りだけでなく、盗賊の討伐まで。感謝する。
 これは盗賊討伐の礼だ。受け取って欲しい。」

領主が差し出す金は、あくまでもエチゴ商隊として活動しているので代表としてエチゴが受け取った。
簡単な話をし、エチゴがワイバーン、ロックバード、プテラの素材の販売を行うと

「そう言えば、兵士達に特別な肉を使った料理を振舞ってくれたそうだな。
 その肉に余裕は有るだろうか?」

改めて領主がたずねてくる。
拓は、あらかじめ切り分けておいた3種類の肉を提示しエチゴの方で値段交渉を行った。
その後は食事の為に部屋を移動すると、同席したのはすでに結婚されている女性だった。
特に拓に対し色気を振りまく事もなく、料理も美味しく本当に食事を楽しむことが出来た。
料理は特産品のチーズを使った物が多く、それぞれの料理に合わせたワインが用意される。

「チーズによって、こんなにも味が違うのですね。とても美味しいです。」

拓にとって、こんなに色々なチーズを味わったのは初めてだった。
全員が料理に満足し、領主に礼を言うと

「良ければ、明日も食事を如何かな。
 本日購入した肉で料理を用意したいと考えている。
 料理人達も張り切るだろうから、きっと楽しめると思う。」

それなりの量を価格を抑えて販売したので礼も兼ねているのだろう。
拓が期待を込めた目で皆を見ているので、明日も世話にな事にした。


領主が用意した宿へ行くと

「拓、モテなくて残念だったな。」

さっそくレオがからかって来る。

「普通に楽しめて良かったよ。あれって領主の配慮だよね。
 免責札なんかに振り回されないなんて、他の人達とは一味違うよ。」
「それなりのお歳だが、良い身体をしているしな。」

領主の事を褒めている拓を、レオがからかう。
一方、領主の屋敷では

「全く、何で娘を全員結婚させてしまったんだ。」

領主が頭を抱えていた。
血筋にも拓と丁度釣り合いが取れる女は居ない。
孫もいるが、未だ小さな子供だ。仕方なく結婚した娘を同席させた。

「最近王都で調合されている媚薬さえあれば、もう一人位頑張れたというのに。
 今日は良い感じで話も出来ていたから・・・離婚」

領主は直ぐに頭を振って今の考えを頭から追い出すと、深いため息を吐いていた。


次の日、エチゴはアルと他の貴族を回り魔獣の素材を売り、拓達は町散策。
ワイナリーやチーズ工場を回り試食、試飲をしながら購入し始めたのだが

「ガラ、レオ、買い過ぎじゃないの?」
「ここの酒は特別に美味いんだ。」「今買わなくて、いつ買うんだよ。」

大量に買っては自分のマジックバックに収納し、入りきらなくなると拓に保管する様に頼んでいた。
クリームの方でも同じ様な感じで、ジェニファーとロビンがアイテムボックスに収納していた。


そして夜に改めて領主の屋敷に行くと、色々な鶏料理が振舞われた。更に

「拓殿は料理をされると聞いたので、今回の料理を簡単にアレンジをしたレシピだ。
 良ければ、受け取って欲しい。」

料理のレシピまで用意してくれていた。

「ありがとうございます。同じものになりますが、こちらの肉を受け取ってください。」

拓は感謝し、昨日売ったのと同量のワイバーン、ロックバード、プテラの肉をプレゼントした。
これだけの物を簡単に差し出すとは・・・
領主は、拓を取り込もうとする気は無くなってしまった。
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