3 / 39
第一章
プロローグ
しおりを挟む僕は今、人生で一番の壁に当たって居る──────
そう、ココはエルフの国。
自然豊かで気候も穏やか。犯罪も少なく平和な国。皆、仲睦ましく過ごしている。
急だけど、少し昔の話をしよう。
この世には五つの種族が存在し、昔には人間、魔族、獣人、エルフの四つの種族が争って居た。一向に終わらない争いと耐えない死者。四種族は平和協定を結び、世界を四つに分けた。それによって争いは終息したのだった。
これが一億年前の話。
エルフの国は万が一に備えて他種族の国への侵入、他種族からの襲撃を防ぐために結界が貼られている。
エルフは数が少ないので国が一つしかない。その一つの王城の中に結界のコアと呼ばれる物が在る。
エルフは基本的に争いを好まない。が、・・・エルフの中にも戦いを好む者も居る。そのコアを壊して、他種族との争いを再開させたい派閥が出来てしまった。反逆罪として捕まえたが全てを捕まえる事は出来ず、逃してしまった。
これが五千年前の話。
そうそう、こんな事を呑気に語っているのは僕。僕は、騎士団長なんだ。元々歴代最年少の二十三歳で騎士団に合格した。エルフは千年以上生きるので二十代など赤子同然。最初の頃は子供だと虐められる事もあったが、親に似て剣術も魔術にも恵まれていたのでボロボロにされずに済んだ。
まぁ、父上が騎士団長で母上が魔術団長だった事も関係があるんだけど。細かい事は気にしなくて良いんだよ。
そんな父上と母上の良い所を受け継いだ僕だけど、勿論悪い所も受け継いでいる。
母上から受け継いだこの低身長。僕は母上より小さく、155.1cmしか無い。でもでも、僕はチビじゃない。155cm以上あるから!
低身長のついでに体には筋肉が付きにくくて、初めてあった人などには良く、折れそう、なんて言われる。おまけに日焼けもしない。訓練してない癖に・・・!なんて良く言われたが、毎日ちゃんとしてる!僕も怒るんだからね!そんな事言う奴は僕が魔法で直々に・・・!失礼、何でもないよ。って事で体が母上似なんだよね。
父上から受け継いだのはこの性格。素直に物を言えないと言うか、なんと言うか・・・。ついつい強く当たってしまう所。目上の人や、知らない人、親しくない人には強く当たっちゃう。
なので色んな人に目の敵にされる事も多い。でもこれのお陰で舐められなかったのだけど。まぁ、そのせいで凄く困っている。うん、凄く・・・。
因みに僕には魔法道具オタクの妹、カレアが居るのだけど、僕より背が高いし、母上に似て素直な性格。けれど、ガチのオタクなので研究塔から出てこない。だから関わるのは少ない。身長・・・凄く羨ましいと思う。
歳は百六十一歳。お世辞抜きで見た目が超可愛い。よく告白されて付き合うけど、オタクなのですぐ別れる。魔法最優先の人だからね・・・お兄ちゃんは将来が心配・・・。
僕は、百七十三歳で、妹とは十二歳差。結婚もしてないし、婚約者も居ない。・・・結婚平均年齢は二百歳程だ。
冒頭で言った様に、僕は人生で一番の壁に当たって居る。
そう、僕は・・・
僕は・・・!
素直に・・・
好きだって!
言いたぁぁぁぁぁあああい!!!!!
そう、僕こと、レリスライト・ユルティムは、宰相のルドウィン・オークディール様にこ、こっ、こ・・・!
恋をしています!
本当に一目惚れだった。あれは僕がまだ副団長の時。父上と歩いて居たら、父上の知り合いに会って・・・。綺麗な髪だって思ったら、その人の隣にも人が居て。そんなのが出逢いだった。
好き!めっちゃ好き!あの触ったらサラサラそうな青紫の髪に、海の様に綺麗な青い瞳!少し無愛想で思った事を何でも言えるルドウィン様はかっこいい!横から見るとまつ毛が長くて素敵で色白、そして高身長イケメン!彼もまた、最年少の宰相だ。頭も良くて顔も性格も背丈も全てが素敵!そんなルドウィン様が大好きなんだ!
だけど・・・
誰がアレを見て僕がルドウィン様の事を好きだと思うのだろうか。多分、父上と母上と妹と俺の専属従者、ベン、唯一仲の良い同僚のロビン、副団長のストラード、と六人程しか居ないだろう。
道のりは長い・・・。
取り敢えず、誰にでも優しく接する事が出来るようになりたい。まずはそこからゆっくりやろう。
明日から四月、大きく気持ちを切り替えて頑張って行こう。・・・絶対諦めないもんね。
そう決心して眠りに着いた僕だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる