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20 練られていた計画と両親の想い
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翌朝、目が覚めるとクロードが僕を抱き締めて寝ていた。あの後、体を拭いてくれたのかスッキリしていて、寝衣も着ている。未だに夢心地で幸せで、地に足が着いてない気がする。後継のこととか、両親への説明とかまだまだ考えることは多いのに、クロードと2人なら何でも出来る気がする。クロード頭良いし。
持ち前の前向きさで気持ちを新たにし、クロードの胸に顔を寄せた。
「ふふ……おはようレイ。」
バッと顔を上げると、クロードが愛おしそうに僕を見て頭を撫でていた。
「おはようクロード。起きてたの?」
「レイと同じくらいに起きたよ。体温が温かくて、抱き締めながら微睡んでたんだ。」
「うん、クロードと抱き合っていると幸せだよ。毎朝こうしたいな。」
「レイ本当に可愛い。毎晩一緒に寝て、毎朝一緒に起きよう」
起きてからもしばらくイチャイチャしていると、コンコンとノックされ、扉越しに家令の声が聞こえた。
「レイフォード様、クロード様。旦那様と奥様が共に朝食を摂りながらお話があるそうです。ご準備が整い次第、食堂へお越し頂けますようお願い致します。」
「分かった。」
家令の言葉にクロードはいつも通りに返事をした。だが僕は普段とは違う朝に不安を感じた。
「いつも、皆が朝揃う時はわざわざ言わなくても一緒に朝食を摂っていたのに、なんで今日は家令が呼びに来たんだろう……。」
その話の内容が僕たちのことなのか、それ以外の重要なことなのか分からないが、何れにせよ話し合いは避けられないことに変わらない。
「レイ。想定していたより早いけど、お父様たちにレイとのことを話すよ。大丈夫、心配いらない。2人とも祝福してくれるはずだよ。」
「そんな……。お父様とお母様の大事なクロードを僕が……許してくれるだろうか。」
「レイフォード。レイもお父様たちの大事な息子だよ。分かっているのにそんな言い方をしてはダメだ。言うなら連帯責任。どちらかと言うとオレの分が悪い。」
「分が悪い?」
「この後お父様からする話を聞いても、オレのこと嫌いにならないで。」
「何があっても、何をされても僕はクロードのことが大好きだよ。それだけは絶対に変わらないから。」
「ありがとう、愛してる。」
チュッチュとお互いにキスし合い、準備を始めた。
「言い訳を聞こう。」
食堂に入り、重い空気が漂う中、席に着くなり父が発した言葉がコレだ。
「誠に申し訳ございませんお父様。言い訳のしようもございません。ただ、申し上げるとすれば、まだ一線は越えておりません。」
「グレーゾーンには突入したってこと?」
「メアリー、話が複雑になるから話すのは待っててくれるかい?」
「どこまでをグレーと言えるか分かりませんが、限りなく黒に近いグレーには突入しました。」
「クロード、開き直って自白するんじゃない。」
はぁー……、と深い溜め息をつく父と、何やら楽しそうな母。謝るけど謝りませんみたいな態度のクロード。僕だけが、理解出来ていない。
「レイフォード。」
父が僕に近付き、座っている僕と目線が合うように腰を屈め、話しかける。僕への愛情と心配を感じさせる、そんな表情。
「レイ、君は本当にクロードのことが好きかい? 弟としてではなく、家族としてでもなく、今後2人で力を合わせて生涯を共にする覚悟はあるかい?」
全てを知っていたかのように優しく語りかける。ずっと、愛されてきた。実の子のように、いや、実の子として、僕は両親に愛されてきた。実の両親が亡くなった時に既に物心が付いていたばかりに、どこかで、でも本当の本当は、実の両親ではないと思っていたのかもしれない。
父の目を真っ直ぐに見つめ返す。息子の気持ちを尊重し、将来を心配している父親の目をしていた。
「僕は、クロードのことを愛しています。」
「本当に? 脅されたとかじゃなくて? 自分以外の人を連れ合いにしたらその相手を殺すとか友人たちの命の保証はないとか言われてない? あと体は大丈夫? 無理されなかった? 嫌なことされたら殴るなり蹴るなりして身を守るんだよ。あぁーやっぱり護身術だけでも習わせておけば良かった!!!」
早口過ぎて全部聞き取れなかった。
父にとってクロードはどんな人物なんだろう。血を分けた息子のはずだが、大分評価が酷い。
「お父様、クロードは優しくしてくれます。僕を大事にしてくれます。僕は、出来ればお父様とお母様に祝福されて、クロードと幸せになりたいと思っています。」
「うん、レイはこう見えて頑固だからね。勿論反対はしないし、祝福するよ。レイが辛いと思ったり離れたいと思ったりしたら直ぐに私に相談しなさい。そして、必ず幸せになること、これが条件だ。」
「お父様……! ありがとうございます! 愛しています、お父様。」
「あぁ、私も愛しているよ。」
「レイ。幸せになるのよ。この家でそのまま暮らしても良いし、クロードが成人したら2人で家を持って移り住んでも良いわ。力になるから安心なさいね。」
「お母様……大好きです。愛しています。ありがとうございます。」
「オレ抜きで話が進み、終わっていく。」
「クロードはまだ話があるから、残りなさい。別室に朝食を用意してあるから、レイとメアリーは先にご飯を食べていてくれ。シーナもそちらにいる。」
「かしこまりましたわ。行きましょう、レイ。」
「え……もしクロードが何か咎められるなら僕も一緒にお叱りを受けます……。」
「レイ、大丈夫だよ。今後のことに付いてお父様と話すだけだから、先にご飯食べて待っていて。」
「うん、分かった……。待ってるね。」
母とシーナと3人で朝食を摂り、全てが食べ終わった頃に父とクロードがやってきた。2人とも疲れている様子だったが、話の内容は教えてくれなかった。あ、後継の話とか何も無かったけど、大丈夫なのかな?
持ち前の前向きさで気持ちを新たにし、クロードの胸に顔を寄せた。
「ふふ……おはようレイ。」
バッと顔を上げると、クロードが愛おしそうに僕を見て頭を撫でていた。
「おはようクロード。起きてたの?」
「レイと同じくらいに起きたよ。体温が温かくて、抱き締めながら微睡んでたんだ。」
「うん、クロードと抱き合っていると幸せだよ。毎朝こうしたいな。」
「レイ本当に可愛い。毎晩一緒に寝て、毎朝一緒に起きよう」
起きてからもしばらくイチャイチャしていると、コンコンとノックされ、扉越しに家令の声が聞こえた。
「レイフォード様、クロード様。旦那様と奥様が共に朝食を摂りながらお話があるそうです。ご準備が整い次第、食堂へお越し頂けますようお願い致します。」
「分かった。」
家令の言葉にクロードはいつも通りに返事をした。だが僕は普段とは違う朝に不安を感じた。
「いつも、皆が朝揃う時はわざわざ言わなくても一緒に朝食を摂っていたのに、なんで今日は家令が呼びに来たんだろう……。」
その話の内容が僕たちのことなのか、それ以外の重要なことなのか分からないが、何れにせよ話し合いは避けられないことに変わらない。
「レイ。想定していたより早いけど、お父様たちにレイとのことを話すよ。大丈夫、心配いらない。2人とも祝福してくれるはずだよ。」
「そんな……。お父様とお母様の大事なクロードを僕が……許してくれるだろうか。」
「レイフォード。レイもお父様たちの大事な息子だよ。分かっているのにそんな言い方をしてはダメだ。言うなら連帯責任。どちらかと言うとオレの分が悪い。」
「分が悪い?」
「この後お父様からする話を聞いても、オレのこと嫌いにならないで。」
「何があっても、何をされても僕はクロードのことが大好きだよ。それだけは絶対に変わらないから。」
「ありがとう、愛してる。」
チュッチュとお互いにキスし合い、準備を始めた。
「言い訳を聞こう。」
食堂に入り、重い空気が漂う中、席に着くなり父が発した言葉がコレだ。
「誠に申し訳ございませんお父様。言い訳のしようもございません。ただ、申し上げるとすれば、まだ一線は越えておりません。」
「グレーゾーンには突入したってこと?」
「メアリー、話が複雑になるから話すのは待っててくれるかい?」
「どこまでをグレーと言えるか分かりませんが、限りなく黒に近いグレーには突入しました。」
「クロード、開き直って自白するんじゃない。」
はぁー……、と深い溜め息をつく父と、何やら楽しそうな母。謝るけど謝りませんみたいな態度のクロード。僕だけが、理解出来ていない。
「レイフォード。」
父が僕に近付き、座っている僕と目線が合うように腰を屈め、話しかける。僕への愛情と心配を感じさせる、そんな表情。
「レイ、君は本当にクロードのことが好きかい? 弟としてではなく、家族としてでもなく、今後2人で力を合わせて生涯を共にする覚悟はあるかい?」
全てを知っていたかのように優しく語りかける。ずっと、愛されてきた。実の子のように、いや、実の子として、僕は両親に愛されてきた。実の両親が亡くなった時に既に物心が付いていたばかりに、どこかで、でも本当の本当は、実の両親ではないと思っていたのかもしれない。
父の目を真っ直ぐに見つめ返す。息子の気持ちを尊重し、将来を心配している父親の目をしていた。
「僕は、クロードのことを愛しています。」
「本当に? 脅されたとかじゃなくて? 自分以外の人を連れ合いにしたらその相手を殺すとか友人たちの命の保証はないとか言われてない? あと体は大丈夫? 無理されなかった? 嫌なことされたら殴るなり蹴るなりして身を守るんだよ。あぁーやっぱり護身術だけでも習わせておけば良かった!!!」
早口過ぎて全部聞き取れなかった。
父にとってクロードはどんな人物なんだろう。血を分けた息子のはずだが、大分評価が酷い。
「お父様、クロードは優しくしてくれます。僕を大事にしてくれます。僕は、出来ればお父様とお母様に祝福されて、クロードと幸せになりたいと思っています。」
「うん、レイはこう見えて頑固だからね。勿論反対はしないし、祝福するよ。レイが辛いと思ったり離れたいと思ったりしたら直ぐに私に相談しなさい。そして、必ず幸せになること、これが条件だ。」
「お父様……! ありがとうございます! 愛しています、お父様。」
「あぁ、私も愛しているよ。」
「レイ。幸せになるのよ。この家でそのまま暮らしても良いし、クロードが成人したら2人で家を持って移り住んでも良いわ。力になるから安心なさいね。」
「お母様……大好きです。愛しています。ありがとうございます。」
「オレ抜きで話が進み、終わっていく。」
「クロードはまだ話があるから、残りなさい。別室に朝食を用意してあるから、レイとメアリーは先にご飯を食べていてくれ。シーナもそちらにいる。」
「かしこまりましたわ。行きましょう、レイ。」
「え……もしクロードが何か咎められるなら僕も一緒にお叱りを受けます……。」
「レイ、大丈夫だよ。今後のことに付いてお父様と話すだけだから、先にご飯食べて待っていて。」
「うん、分かった……。待ってるね。」
母とシーナと3人で朝食を摂り、全てが食べ終わった頃に父とクロードがやってきた。2人とも疲れている様子だったが、話の内容は教えてくれなかった。あ、後継の話とか何も無かったけど、大丈夫なのかな?
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