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♡イベント最終日 頂上決戦♡
決勝戦! 〜状態異常と空蝉の術!〜
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しかし、当のリーナちゃんは余裕の表情だ。むしろ、このためにあえてスキを作ったような……?
「あ、危ないっ!」
私は思わず叫んだけど、多分ユキノちゃんには届いていないだろう。リーナちゃんが何か小さな丸いものをユキノちゃん目掛けて投げつける。ユキノちゃんは一瞬それを弾き返そうか避けようか悩んだようだ。
だけど、得体の知れないものだし弾くのは怖いと思ったのだろう。咄嗟に右に跳んでかわした。場馴れした素早い判断だったが――
――パンッ!
地面に落下したそれは、大きな音を立てながら発光する。
『おぉっとこれは閃光弾(フラッシュグレネード)です! 不用意に武器で払っていたら眩暈(めまい)状態になるところでした! ユキノさん、素晴らしい判断です!』
「いや、果たしてそうかな?」
ユメちゃんの実況にクラウスさんが意味深な表情で呟く。えっ、どういうことだろう?
「かかったね?」
――パチン!
とリーナちゃんが指を弾く。すると、閃光弾に気を取られていたユキノちゃんの足元から何本もの縄のようなものが伸びてきて、彼女の足首から腰にかけて絡みつく。そしてしっかりと地面に固定した。
「くっ……!」
しまったという表情のユキノちゃん。するとまたしてもクラウスさんがこんなことを呟いた。
「最初の打ち合いは挨拶代わり。リーナはあれでユキノの〝クセ〟を学んだんだよ。咄嗟の時にどっちに避けるかとかね。その上で行けると思ったからあえてスキを作って罠を仕掛けた。あの罠(トラップ)は効果範囲こそ狭いが、抜け出すのは至難の業だぞ」
「で、それだけの時間があればリーナさんにとってはユキノさんを煮るなり焼くなり好きにできるってことですね」
キラくんも感心したように頷いている。次元が違いすぎてよく分からないけど、そういう戦略的な駆け引きが、あの場では行われていたらしい。
『な、なんとユキノさん、強引に罠を焼き払いましたぁ! 自分もダメージを受けているようですが大丈夫でしょうか?』
ユメちゃんの声に慌てて視線を戻すと、ユキノちゃんを拘束する縄は焼け焦げて彼女の足元に落ちており、ユキノちゃんは顔を顰めながら肩で息をしている。
よく見ると、彼女の下半身の一部にピンク色のダメージエフェクトが光っており、頭上のHPバーは1割ほど減少していた。右手の炎で縄を焼き払ったのだろう。スパッツやブーツも焦げて所々破れている。――なんかえっちだ。
「チッ!」
舌打ちをしながらリーナちゃんが投げた数本のクナイのような投擲武器も、ユキノちゃんは左手の氷で弾き返した。
「――まだまだです! ――三重憑依(トリプルエンチャント)、【烈風(れっぷう)】!」
「そうこなくちゃね!」
――ボウッ!
脚に風の力を憑依させたユキノちゃんが大きく跳ぶとリーナちゃんの背後に着地する。私との戦いで見せた技だ! が、リーナちゃんはそれを予測していたように、振り向きざまに正確にユキノちゃんのむき出しの腹部を狙って短刀を振るった。
「――っつ!?」
咄嗟に体を逸らして直撃を回避したユキノちゃん。だけど、そのお腹には小さなダメージエフェクトが残っていて……。
『リーナさんの状態異常攻撃がヒットしました! ユキノさん、毒状態になってます! これは辛いか!?』
ユキノちゃんのHPバーの隣に紫のアイコンが灯り、ジリジリとHPが減っていっている。
「何回もあなたの試合を見て、研究したから。要は慣れだよ。あなたはわたしには勝てない。――絶対にね」
「それなら――私はあなたの予想を上回るだけ……です!」
毒によるダメージをものともせずにユキノちゃんが風の力で跳ぶ。そして宙返りをしながらリーナちゃんの頭部に蹴りを放つ。
「甘いっての!」
リーナちゃんは腰に刺さっていた短刀をもう一本抜いて、ユキノちゃんの蹴りに合わせるように振るう。ザシュッと、何かを切り裂いたような音が響いた。
「うっ……!?」
ユキノちゃんは太ももの辺を押さえてその場にしゃがみこんでしまった。スパッツは大きく切り裂かれていて、黒いパンツが見えてるし……ていうかユキノちゃんやっぱりえっちじゃん、あんな紐みたいなパンツ穿いて……。
あれ、でも下着って弄れたっけ? 装備変更では変えられなかったはずだからどこかのオプションかな? それともキャラメイクの段階で? ――誰かに教えてもらって私もやってみよう。
って、それどころじゃない! ユキノちゃんのHPバーの隣にはさらに黄色いアイコンが光っている。あれは……麻痺だよ!
『ユキノさん、麻痺状態になってしまって動けない! 万事休すか!?』
「うわぁ、えっぐ! なにあれ! 状態異常ってほんとに酷いね!」
私だって麻痺もらってレイプされたし! 状態異常使うやつって変態ばかりだよきっと!
「まあ、『アサシン』は攻撃力に欠ける分、状態異常でダメ稼いだりするのさ」
「僕は『アサシン』なんかよりもココアさんの『闇霊使い』の方が好きですけどね!」
私のコメントにクラウスさんとキラくんが答えてくれた。てか、キラくん、それなんのアピールですか?
「……わたしの勝ち……だね」
リーナちゃんが動けないユキノちゃんの胸に短刀を突き刺す。
「ぐ……くうっ!」
ユキノちゃんの顔が苦痛に歪み……そのHPバーが遂に消え去った。
『ここでリーナさん、相手のHPを削りきりました! 勝負ありか!?』
――ブァァァァァァァッ!
地鳴りのような大歓声が闘技場を包む。誰もがリーナちゃんの優勝を確信していた――しかし
『――いや、まだだよ』
とレーヴくんの落ち着いた――落ち着きすぎた声が響いて、歓声が徐々に収まっていく。
HPが削りきられ、白い光となって消えたユキノちゃん。その身体があった場所には彼女が装備していた篭手があって――リーナちゃんはその篭手を短刀で貫いていた。
「スキル【空蝉(うつせみ)】!? でもあのスキルって『アサシン』限定の……」
「いや、【空蝉】は素早さ一定以上で解放されるスキルだ。だから、別に『アサシン』に限らず習得できる」
『な、なんということでしょう! ユキノさんは武器を一つ犠牲にすることでスキル【空蝉】を発動! リーナさんの攻撃を回避していたぁぁぁぁっ!!』
キラくん、クラウスさん、そしてユメちゃんが興奮した様子で声を上げるけれど、私にはとにかくユキノちゃんがまだやられていないってことしか分からなかった。
そして――
呆然としているリーナちゃんの背後に音もなく現れる人影が――
「【自動反撃(オートカウンター)】発動! 再憑依(リ・エンチャント)、【雷撃(らいげき)】!」
雷の力をまとったユキノちゃんの拳が――リーナちゃんの頭部に突き刺さった。
「あ、危ないっ!」
私は思わず叫んだけど、多分ユキノちゃんには届いていないだろう。リーナちゃんが何か小さな丸いものをユキノちゃん目掛けて投げつける。ユキノちゃんは一瞬それを弾き返そうか避けようか悩んだようだ。
だけど、得体の知れないものだし弾くのは怖いと思ったのだろう。咄嗟に右に跳んでかわした。場馴れした素早い判断だったが――
――パンッ!
地面に落下したそれは、大きな音を立てながら発光する。
『おぉっとこれは閃光弾(フラッシュグレネード)です! 不用意に武器で払っていたら眩暈(めまい)状態になるところでした! ユキノさん、素晴らしい判断です!』
「いや、果たしてそうかな?」
ユメちゃんの実況にクラウスさんが意味深な表情で呟く。えっ、どういうことだろう?
「かかったね?」
――パチン!
とリーナちゃんが指を弾く。すると、閃光弾に気を取られていたユキノちゃんの足元から何本もの縄のようなものが伸びてきて、彼女の足首から腰にかけて絡みつく。そしてしっかりと地面に固定した。
「くっ……!」
しまったという表情のユキノちゃん。するとまたしてもクラウスさんがこんなことを呟いた。
「最初の打ち合いは挨拶代わり。リーナはあれでユキノの〝クセ〟を学んだんだよ。咄嗟の時にどっちに避けるかとかね。その上で行けると思ったからあえてスキを作って罠を仕掛けた。あの罠(トラップ)は効果範囲こそ狭いが、抜け出すのは至難の業だぞ」
「で、それだけの時間があればリーナさんにとってはユキノさんを煮るなり焼くなり好きにできるってことですね」
キラくんも感心したように頷いている。次元が違いすぎてよく分からないけど、そういう戦略的な駆け引きが、あの場では行われていたらしい。
『な、なんとユキノさん、強引に罠を焼き払いましたぁ! 自分もダメージを受けているようですが大丈夫でしょうか?』
ユメちゃんの声に慌てて視線を戻すと、ユキノちゃんを拘束する縄は焼け焦げて彼女の足元に落ちており、ユキノちゃんは顔を顰めながら肩で息をしている。
よく見ると、彼女の下半身の一部にピンク色のダメージエフェクトが光っており、頭上のHPバーは1割ほど減少していた。右手の炎で縄を焼き払ったのだろう。スパッツやブーツも焦げて所々破れている。――なんかえっちだ。
「チッ!」
舌打ちをしながらリーナちゃんが投げた数本のクナイのような投擲武器も、ユキノちゃんは左手の氷で弾き返した。
「――まだまだです! ――三重憑依(トリプルエンチャント)、【烈風(れっぷう)】!」
「そうこなくちゃね!」
――ボウッ!
脚に風の力を憑依させたユキノちゃんが大きく跳ぶとリーナちゃんの背後に着地する。私との戦いで見せた技だ! が、リーナちゃんはそれを予測していたように、振り向きざまに正確にユキノちゃんのむき出しの腹部を狙って短刀を振るった。
「――っつ!?」
咄嗟に体を逸らして直撃を回避したユキノちゃん。だけど、そのお腹には小さなダメージエフェクトが残っていて……。
『リーナさんの状態異常攻撃がヒットしました! ユキノさん、毒状態になってます! これは辛いか!?』
ユキノちゃんのHPバーの隣に紫のアイコンが灯り、ジリジリとHPが減っていっている。
「何回もあなたの試合を見て、研究したから。要は慣れだよ。あなたはわたしには勝てない。――絶対にね」
「それなら――私はあなたの予想を上回るだけ……です!」
毒によるダメージをものともせずにユキノちゃんが風の力で跳ぶ。そして宙返りをしながらリーナちゃんの頭部に蹴りを放つ。
「甘いっての!」
リーナちゃんは腰に刺さっていた短刀をもう一本抜いて、ユキノちゃんの蹴りに合わせるように振るう。ザシュッと、何かを切り裂いたような音が響いた。
「うっ……!?」
ユキノちゃんは太ももの辺を押さえてその場にしゃがみこんでしまった。スパッツは大きく切り裂かれていて、黒いパンツが見えてるし……ていうかユキノちゃんやっぱりえっちじゃん、あんな紐みたいなパンツ穿いて……。
あれ、でも下着って弄れたっけ? 装備変更では変えられなかったはずだからどこかのオプションかな? それともキャラメイクの段階で? ――誰かに教えてもらって私もやってみよう。
って、それどころじゃない! ユキノちゃんのHPバーの隣にはさらに黄色いアイコンが光っている。あれは……麻痺だよ!
『ユキノさん、麻痺状態になってしまって動けない! 万事休すか!?』
「うわぁ、えっぐ! なにあれ! 状態異常ってほんとに酷いね!」
私だって麻痺もらってレイプされたし! 状態異常使うやつって変態ばかりだよきっと!
「まあ、『アサシン』は攻撃力に欠ける分、状態異常でダメ稼いだりするのさ」
「僕は『アサシン』なんかよりもココアさんの『闇霊使い』の方が好きですけどね!」
私のコメントにクラウスさんとキラくんが答えてくれた。てか、キラくん、それなんのアピールですか?
「……わたしの勝ち……だね」
リーナちゃんが動けないユキノちゃんの胸に短刀を突き刺す。
「ぐ……くうっ!」
ユキノちゃんの顔が苦痛に歪み……そのHPバーが遂に消え去った。
『ここでリーナさん、相手のHPを削りきりました! 勝負ありか!?』
――ブァァァァァァァッ!
地鳴りのような大歓声が闘技場を包む。誰もがリーナちゃんの優勝を確信していた――しかし
『――いや、まだだよ』
とレーヴくんの落ち着いた――落ち着きすぎた声が響いて、歓声が徐々に収まっていく。
HPが削りきられ、白い光となって消えたユキノちゃん。その身体があった場所には彼女が装備していた篭手があって――リーナちゃんはその篭手を短刀で貫いていた。
「スキル【空蝉(うつせみ)】!? でもあのスキルって『アサシン』限定の……」
「いや、【空蝉】は素早さ一定以上で解放されるスキルだ。だから、別に『アサシン』に限らず習得できる」
『な、なんということでしょう! ユキノさんは武器を一つ犠牲にすることでスキル【空蝉】を発動! リーナさんの攻撃を回避していたぁぁぁぁっ!!』
キラくん、クラウスさん、そしてユメちゃんが興奮した様子で声を上げるけれど、私にはとにかくユキノちゃんがまだやられていないってことしか分からなかった。
そして――
呆然としているリーナちゃんの背後に音もなく現れる人影が――
「【自動反撃(オートカウンター)】発動! 再憑依(リ・エンチャント)、【雷撃(らいげき)】!」
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