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♡もふもふショタっ子と第1回イベント1日目♡
ミニレーヴくん爆誕! 〜パーティの今後について考える!〜
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「器用さ極振りの『プリースト』って何をするんですか……?」
私は素直に疑問を呈する。器用さなんて私、上げる意味のないステータスだと思ってたし、上げるにしても生産職とかそっち系の人かと思っていた。
「それはまあ実際に戦ってみてのお楽しみだが――結構面白いことができそうだぞ」
「ふーん、面白かことねぇ……」
浮かない表情で口にするミルクちゃんは、まだアオイちゃんの加入を快く思っていないらしい。もしかしたらアオイちゃんに私が取られると思ってるのかも。でも大丈夫。私とミルクちゃんは結婚してるんだよ?
「まあまあ、仲間が増えるのはいいことだと思うよ。――ねー?」
とミルクちゃんを宥めつつアオイちゃんのほうをうかがってみると、アオイちゃんは怯えた様子で露骨に顔を逸らしてきた。あーあ、嫌われちゃったかなぁ。
「ご主人様のばか……」
こっちもこっちで不貞腐れてるし!?
「そうだ。『レイドボス』のことだけど、二人は『レイドボス』についてどれくらい知ってるんだ?」
気まずい空気を変えようとしたのか、クラウスさんが手をパンッと叩いてから口を開いた。アオイちゃんはそれを聞いて首を振り、私は黙って首を傾げた。
「……知らねぇみたいだな」
当たり前だよ、初心者だし。なんかみんなで倒しにいくとても強いボス的なやつってことしか分からない。
「なんかうちん昔ん仲間ん邪龍がそげん感じで呼ばれとったことがあったようななかったような気がすると」
「えっ……」
ミルクちゃんのコメントに、クラウスさんが露骨にびっくりしたような反応をした。ごめんなさい、この子なんか【邪龍 アジ・ダカーハ】だったらしいんです。
「まあ、そんな感じの強いボスのことだな。倒し方としては、出現地点に集まったプレイヤー全員でパーティを組んで倒すことになるんだが――そいつがかなり美味い経験値やアイテムを落とすんで、参加した人全員が美味しい思いができるってわけだな」
「……なるほどです」
クラウスさんの説明にアオイちゃんが頷いた。するとクラウスさんはニヤッと意味深な笑みを浮かべる。
「なんだが、例えばその『レイドボス』を少人数で倒すことができたとしたら……?」
「そうか! 一人一人の報酬は破格になりますね!」
私はやっとクラウスさんの言わんとしていることが理解できた。
「で、でも……そんな上手くいくですかね?」
「そこで、お嬢ちゃんの『自爆魔法』だ。こいつを使えばレイドボスにかなりのダメージを与えることができる。1発打ち切りだったり唱えるのに時間がかかったり、そういう問題をクリアできれば実現可能だと思う」
クラウスさん、さては将来的には私に自爆魔法を連発する人間爆弾――大量破壊兵器に仕立て上げようとしているな!? 私としてもそれは望むところだけれど……あの快感の塊である自爆を連発して果たして私の理性はもつのだろうか……?
「もちろん今すぐには無理だ。レベルを上げてスキルを身につけて、仲間を増やして訓練を積まなきゃいけない。だが、俺は最終的にはそんなパーティを目指している。――どうかな?」
「すごく――いいと思います! 私は大賛成です!」
少人数で強いレイドボスを倒した。しかも私がほとんどのダメージを与えたとなれば、お兄ちゃんに自慢しまくれる。ただでさえ心凪(ここな)の正体がココアだとバレてしまって恥ずかしさMAXなので、絶対にかっこいい所見せてやるもん!
「アオイも賛成です」
「ご主人様がよかって言うならうちも賛成ばい」
残りの二人もどうやら賛成のようだ。
「おぉ、ありがとうみんな! そいじゃあまずはレベル上げに行くぞ。あとできるだけ各自で勧誘もよろしく。前衛と後衛を2人ずつくらい欲しいかな」
「あー、それなんですけど……私、昨日くらいからなんかやたらと一緒にパーティ組みたいって言ってくれる人が多くて……」
「なんだって!? どうしてそいつらを誘わないんだ!?」
私の言葉にクラウスさんは驚きの声を上げた。いや、だってね……?
「そいつらはご主人様んことばいやらしか目で見るけん嫌ばい!」
「――ってことなので」
「なるほど……」
ミルクちゃんの様子を見て、クラウスさんは納得したように頷き、パンケーキの残りを口に放り込んで席を立った。
「そんじゃ、まずはアオイの装備を見に行きますかね」
「アオイちゃんの装備? あっ、それなら!」
私はふと思いついてストレージのアイテム欄を漁る。そして、『レーヴ装備一式』を取り出して、試行錯誤しながらなんとかアオイちゃんにトレードを申請する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アオイさんにトレードを申請しました!
『レーヴ装備一式』 ⇔ 0ゴールド
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
申請されたアオイちゃんは目を見開いて驚いていたが、やがて、恐る恐るトレードを承認してくれたようだ。そして、ぎこちない手つきでウィンドウを操作する仕草で受け取った装備を身につけてくれた。その姿は――まさに『レーヴくんをさらに小さくしたような感じ』でとても可愛い。もふもふしたい。
「おぉ、すげぇなその装備! 『叡智のステッキ』に『神秘のタキシード』、『シルクの手袋』『黒蜥蜴のブーツ』おまけに『創造主の加護』とは……ベータテスターでもそんな装備持ってねぇぞ!? どこで手に入れたんだ!?」
「えっと……まあいろいろあって……私、装備できないんでよかったらどうぞ」
驚くクラウスさんに、レーヴくんにお詫びに渡されたって正直に言っちゃうと、レイプのことも言わなきゃいけなくなりそうで……そんなのは嫌なので私は咄嗟にごまかした。
「そ、そんなに強い装備なんですか……?」
不安そうなアオイちゃんはクラウスさんを見上げ
「あぁ」
と答えられると、顔をパァァァッと輝かせた。そして私の方を向いてぺこりと頭を下げる。
「ありがとうございます! アオイ、ココアさんのことずっと、えっちなお姉さんだと思ってたですけど、とてもいい人なんですね!」
「えっ、あの……喜んでもらえて嬉しいよ」
あと、私はえっちなお姉さんじゃないよ! とは言わなかった。また怯えられそうだし。
「よーし! 装備は揃ったことだし、初心者向けダンジョンの森で一狩りしに行くか!」
クラウスさんが元気よく宣言して、私たち4人は意気揚々とダンジョンへ出かけたのだった。
私は素直に疑問を呈する。器用さなんて私、上げる意味のないステータスだと思ってたし、上げるにしても生産職とかそっち系の人かと思っていた。
「それはまあ実際に戦ってみてのお楽しみだが――結構面白いことができそうだぞ」
「ふーん、面白かことねぇ……」
浮かない表情で口にするミルクちゃんは、まだアオイちゃんの加入を快く思っていないらしい。もしかしたらアオイちゃんに私が取られると思ってるのかも。でも大丈夫。私とミルクちゃんは結婚してるんだよ?
「まあまあ、仲間が増えるのはいいことだと思うよ。――ねー?」
とミルクちゃんを宥めつつアオイちゃんのほうをうかがってみると、アオイちゃんは怯えた様子で露骨に顔を逸らしてきた。あーあ、嫌われちゃったかなぁ。
「ご主人様のばか……」
こっちもこっちで不貞腐れてるし!?
「そうだ。『レイドボス』のことだけど、二人は『レイドボス』についてどれくらい知ってるんだ?」
気まずい空気を変えようとしたのか、クラウスさんが手をパンッと叩いてから口を開いた。アオイちゃんはそれを聞いて首を振り、私は黙って首を傾げた。
「……知らねぇみたいだな」
当たり前だよ、初心者だし。なんかみんなで倒しにいくとても強いボス的なやつってことしか分からない。
「なんかうちん昔ん仲間ん邪龍がそげん感じで呼ばれとったことがあったようななかったような気がすると」
「えっ……」
ミルクちゃんのコメントに、クラウスさんが露骨にびっくりしたような反応をした。ごめんなさい、この子なんか【邪龍 アジ・ダカーハ】だったらしいんです。
「まあ、そんな感じの強いボスのことだな。倒し方としては、出現地点に集まったプレイヤー全員でパーティを組んで倒すことになるんだが――そいつがかなり美味い経験値やアイテムを落とすんで、参加した人全員が美味しい思いができるってわけだな」
「……なるほどです」
クラウスさんの説明にアオイちゃんが頷いた。するとクラウスさんはニヤッと意味深な笑みを浮かべる。
「なんだが、例えばその『レイドボス』を少人数で倒すことができたとしたら……?」
「そうか! 一人一人の報酬は破格になりますね!」
私はやっとクラウスさんの言わんとしていることが理解できた。
「で、でも……そんな上手くいくですかね?」
「そこで、お嬢ちゃんの『自爆魔法』だ。こいつを使えばレイドボスにかなりのダメージを与えることができる。1発打ち切りだったり唱えるのに時間がかかったり、そういう問題をクリアできれば実現可能だと思う」
クラウスさん、さては将来的には私に自爆魔法を連発する人間爆弾――大量破壊兵器に仕立て上げようとしているな!? 私としてもそれは望むところだけれど……あの快感の塊である自爆を連発して果たして私の理性はもつのだろうか……?
「もちろん今すぐには無理だ。レベルを上げてスキルを身につけて、仲間を増やして訓練を積まなきゃいけない。だが、俺は最終的にはそんなパーティを目指している。――どうかな?」
「すごく――いいと思います! 私は大賛成です!」
少人数で強いレイドボスを倒した。しかも私がほとんどのダメージを与えたとなれば、お兄ちゃんに自慢しまくれる。ただでさえ心凪(ここな)の正体がココアだとバレてしまって恥ずかしさMAXなので、絶対にかっこいい所見せてやるもん!
「アオイも賛成です」
「ご主人様がよかって言うならうちも賛成ばい」
残りの二人もどうやら賛成のようだ。
「おぉ、ありがとうみんな! そいじゃあまずはレベル上げに行くぞ。あとできるだけ各自で勧誘もよろしく。前衛と後衛を2人ずつくらい欲しいかな」
「あー、それなんですけど……私、昨日くらいからなんかやたらと一緒にパーティ組みたいって言ってくれる人が多くて……」
「なんだって!? どうしてそいつらを誘わないんだ!?」
私の言葉にクラウスさんは驚きの声を上げた。いや、だってね……?
「そいつらはご主人様んことばいやらしか目で見るけん嫌ばい!」
「――ってことなので」
「なるほど……」
ミルクちゃんの様子を見て、クラウスさんは納得したように頷き、パンケーキの残りを口に放り込んで席を立った。
「そんじゃ、まずはアオイの装備を見に行きますかね」
「アオイちゃんの装備? あっ、それなら!」
私はふと思いついてストレージのアイテム欄を漁る。そして、『レーヴ装備一式』を取り出して、試行錯誤しながらなんとかアオイちゃんにトレードを申請する。
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アオイさんにトレードを申請しました!
『レーヴ装備一式』 ⇔ 0ゴールド
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申請されたアオイちゃんは目を見開いて驚いていたが、やがて、恐る恐るトレードを承認してくれたようだ。そして、ぎこちない手つきでウィンドウを操作する仕草で受け取った装備を身につけてくれた。その姿は――まさに『レーヴくんをさらに小さくしたような感じ』でとても可愛い。もふもふしたい。
「おぉ、すげぇなその装備! 『叡智のステッキ』に『神秘のタキシード』、『シルクの手袋』『黒蜥蜴のブーツ』おまけに『創造主の加護』とは……ベータテスターでもそんな装備持ってねぇぞ!? どこで手に入れたんだ!?」
「えっと……まあいろいろあって……私、装備できないんでよかったらどうぞ」
驚くクラウスさんに、レーヴくんにお詫びに渡されたって正直に言っちゃうと、レイプのことも言わなきゃいけなくなりそうで……そんなのは嫌なので私は咄嗟にごまかした。
「そ、そんなに強い装備なんですか……?」
不安そうなアオイちゃんはクラウスさんを見上げ
「あぁ」
と答えられると、顔をパァァァッと輝かせた。そして私の方を向いてぺこりと頭を下げる。
「ありがとうございます! アオイ、ココアさんのことずっと、えっちなお姉さんだと思ってたですけど、とてもいい人なんですね!」
「えっ、あの……喜んでもらえて嬉しいよ」
あと、私はえっちなお姉さんじゃないよ! とは言わなかった。また怯えられそうだし。
「よーし! 装備は揃ったことだし、初心者向けダンジョンの森で一狩りしに行くか!」
クラウスさんが元気よく宣言して、私たち4人は意気揚々とダンジョンへ出かけたのだった。
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