34 / 100
♡もふもふショタっ子と第1回イベント1日目♡
新しい仲間! 〜もふもふのジェラシー!〜
しおりを挟む
◇ ◆ ◇
ユメちゃんとレーヴくんに見送られ、私が転送されたのはやはり、街の噴水広場だった。えっと、グラタンみたいな名前の街の……。
「ミルクちゃーん! いるんでしょー?」
私は空中に呼びかけた。すると、目の前に白い光の塊が現れ、中からメイド服を着たミルクちゃんが現れる。
「おかえりなさいませ、ご主人様ぁ!」
「え、待ってそのセリフどこで覚えたの?」
危うく萌え転がりそうになった。ミルクちゃんはまるでメイド喫茶のメイドさんのようなセリフで挨拶してきたのだ。もちろん、私はそんなセリフをミルクちゃんに仕込むほど変態ではない。
「んー? 特に誰かに教えてもろうたわけやなかばい」
「え、じゃあ自分で習得したの?」
だとしたら天才だ。
「何かまずかこと言うた?」
「いやいや、むしろ嬉しいです! ありがとうございます!」
ミルクちゃんと戯れるのもいいけれど、私はイベントに備えてガンガンレベル上げをしなきゃいけないので、このくらいにしておかないと!
私は、クラウスさんにメッセージを送ることにした。イベントのためのレベル上げと、対人戦の練習、両方お願いできるのはやっぱり彼しかいない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
差出人︰ココア
タイトル︰レベル上げしたいです
本文︰イベントに向けてのレベル上げと対人戦の練習がしたいです。街の噴水広場で待ってます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
これでよし、と。
返事はしばらく来ないかと思いきや、すぐに返ってきた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
差出人︰クラウス
タイトル︰了解
本文︰今行く。ちょうど俺たちのパーティに新しい仲間を勧誘できたところなんだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クラウスさん、パーティに誰か勧誘できたらしい。よかったね! 私も昨日から何人かパーティ組みませんか? と話しかけられることあったけど、みんな結局動機が不純で、半分ナンパみたいなものだったから……。
しばらく噴水広場でミルクちゃんと待っていると、銀色の鎧に身を包んだ大柄のイケメン――クラウスさんがのそのそとやってきた。あれ、一人……?
「よお、お嬢ちゃん。昨日は付き合ってやれなくて悪かったな。突然『レイドボス』が現れてな。つい参戦しちまった」
「いやいや、いいんですよ。――よかったらその『レイドボス』についても詳しく教えてほしいです」
「おう、任せろ。そうだな、ここだとなんだから、また例のカフェに移動するか」
「はい!」
と、話しながら私たちはカフェに向かって歩き始める。すると、私はクラウスさんの背後に、小さな人影が隠れていることに気づいた。大柄なクラウスさんの陰に隠れていたので私もミルクちゃんも全く気づかなかったようだ。
「クラウスさん、その子は?」
「ひいっ!?」
私に気づかれたことがよっぽどショックだったのか、その子が怯えたような声を出す。そんな、私怯えられるような見た目してるかな……? 私も少しショックだよ。
「ん? あぁ。紹介しよう。――この子はアオイといって、今日から始めた初心者らしい。俺がいろいろ教えてやってるんだ。パーティにも入ってくれるって」
ほーん、なるほど、初心者を捕まえましたか。でもほんとに役に立つのかな? この子クラウスさんの背後に隠れてばかりで私もいまだに見た目がよく分からないんだけど?
「よろしくね、アオイちゃん? 私はココアっていうの。よかったらお顔見せてくれる?」
私が精一杯優しく話しかけると、クラウスさんが「ほら、自己紹介しろ」と言いながらアオイちゃんの背中を押して私の前に押し出してくる。そこでやっと私はアオイちゃんの姿をしっかりと確認することができた。
私よりも一回りくらい小さい背丈、茶色いショートの髪の毛、青い目、頭には髪色と同じく茶色の猫耳と、尻にはしっぽを生やしている。服装は初心者装備の『ぬののふく』だけれど、その見た目はまるで「茶色くてとても気弱なレーヴくん」と例えるのが良い。――端的に言うと、めちゃくちゃ可愛い!
見た目が幼いから男女は不詳だけれど、可愛いならよし!
「あ、あの……アオイっていいます。種族は『ケットシー』で……職業は『プリースト』……です。よろ……しく」
それだけ言うと、アオイちゃんは再びクラウスさんの背後に隠れてしまった。
「あーん! なんて可愛いの! もふもふ! もふもふさせて!」
「おいおい、アオイが怖がってるだろ」
アオイちゃんをモフろうとしたらクラウスさんに止められた。完全に保護者ヅラだ。
「誰だか知らんばってん、ご主人様はうちばモフってればよかっちゃん! 浮気は良うなかばい!」
さらには嫉妬の化身と化したミルクちゃんに腕を引っ張られ、私はやっとアオイちゃんを追い回すのをやめたのでした。くー、残念。
そうこうしているうちに私たちはカフェに到着した。
早速窓際の四人がけのボックス席に陣取る。
アオイちゃんの隣にクラウスさん、私の隣にはミルクちゃんが座ってしっかりと睨みをきかせている。モフる隙がない。辛い。
私は特大パフェ、クラウスさんはパンケーキ、アオイちゃんはオレンジジュース、ミルクちゃんは水をオーダーする。が、そこで私は大変なことに気づいてしまった。
「私、お金奪われちゃって持ってないよ!」
「仕方ねぇな。この前助けてくれた借りがあるから今日のところは俺が皆の分奢ってやるわ」
「ありがとうございますクラウス先生!」
「調子のいいやつだなお嬢ちゃんは……」
呆れ顔のクラウスさんだったけど、やがてアオイちゃんをパーティに誘った理由について話し始めた。
「そうそう、このアオイもなかなかぶっ飛んだやつでな」
「ふーん、まさかアオイちゃんもステータス極振りの不遇職とかですか?」
「そのとおり」
マジですか。皆こういうの好きだよね。……人のことは全く言えないけれど!
「……で、アオイちゃんは何に極振りしてるんですか?」
クラウスさんは私の問いかけに、じっくりとためを作ってから答える。
「聞いて驚くなよ?
――器用さだよ」
ユメちゃんとレーヴくんに見送られ、私が転送されたのはやはり、街の噴水広場だった。えっと、グラタンみたいな名前の街の……。
「ミルクちゃーん! いるんでしょー?」
私は空中に呼びかけた。すると、目の前に白い光の塊が現れ、中からメイド服を着たミルクちゃんが現れる。
「おかえりなさいませ、ご主人様ぁ!」
「え、待ってそのセリフどこで覚えたの?」
危うく萌え転がりそうになった。ミルクちゃんはまるでメイド喫茶のメイドさんのようなセリフで挨拶してきたのだ。もちろん、私はそんなセリフをミルクちゃんに仕込むほど変態ではない。
「んー? 特に誰かに教えてもろうたわけやなかばい」
「え、じゃあ自分で習得したの?」
だとしたら天才だ。
「何かまずかこと言うた?」
「いやいや、むしろ嬉しいです! ありがとうございます!」
ミルクちゃんと戯れるのもいいけれど、私はイベントに備えてガンガンレベル上げをしなきゃいけないので、このくらいにしておかないと!
私は、クラウスさんにメッセージを送ることにした。イベントのためのレベル上げと、対人戦の練習、両方お願いできるのはやっぱり彼しかいない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
差出人︰ココア
タイトル︰レベル上げしたいです
本文︰イベントに向けてのレベル上げと対人戦の練習がしたいです。街の噴水広場で待ってます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
これでよし、と。
返事はしばらく来ないかと思いきや、すぐに返ってきた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
差出人︰クラウス
タイトル︰了解
本文︰今行く。ちょうど俺たちのパーティに新しい仲間を勧誘できたところなんだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クラウスさん、パーティに誰か勧誘できたらしい。よかったね! 私も昨日から何人かパーティ組みませんか? と話しかけられることあったけど、みんな結局動機が不純で、半分ナンパみたいなものだったから……。
しばらく噴水広場でミルクちゃんと待っていると、銀色の鎧に身を包んだ大柄のイケメン――クラウスさんがのそのそとやってきた。あれ、一人……?
「よお、お嬢ちゃん。昨日は付き合ってやれなくて悪かったな。突然『レイドボス』が現れてな。つい参戦しちまった」
「いやいや、いいんですよ。――よかったらその『レイドボス』についても詳しく教えてほしいです」
「おう、任せろ。そうだな、ここだとなんだから、また例のカフェに移動するか」
「はい!」
と、話しながら私たちはカフェに向かって歩き始める。すると、私はクラウスさんの背後に、小さな人影が隠れていることに気づいた。大柄なクラウスさんの陰に隠れていたので私もミルクちゃんも全く気づかなかったようだ。
「クラウスさん、その子は?」
「ひいっ!?」
私に気づかれたことがよっぽどショックだったのか、その子が怯えたような声を出す。そんな、私怯えられるような見た目してるかな……? 私も少しショックだよ。
「ん? あぁ。紹介しよう。――この子はアオイといって、今日から始めた初心者らしい。俺がいろいろ教えてやってるんだ。パーティにも入ってくれるって」
ほーん、なるほど、初心者を捕まえましたか。でもほんとに役に立つのかな? この子クラウスさんの背後に隠れてばかりで私もいまだに見た目がよく分からないんだけど?
「よろしくね、アオイちゃん? 私はココアっていうの。よかったらお顔見せてくれる?」
私が精一杯優しく話しかけると、クラウスさんが「ほら、自己紹介しろ」と言いながらアオイちゃんの背中を押して私の前に押し出してくる。そこでやっと私はアオイちゃんの姿をしっかりと確認することができた。
私よりも一回りくらい小さい背丈、茶色いショートの髪の毛、青い目、頭には髪色と同じく茶色の猫耳と、尻にはしっぽを生やしている。服装は初心者装備の『ぬののふく』だけれど、その見た目はまるで「茶色くてとても気弱なレーヴくん」と例えるのが良い。――端的に言うと、めちゃくちゃ可愛い!
見た目が幼いから男女は不詳だけれど、可愛いならよし!
「あ、あの……アオイっていいます。種族は『ケットシー』で……職業は『プリースト』……です。よろ……しく」
それだけ言うと、アオイちゃんは再びクラウスさんの背後に隠れてしまった。
「あーん! なんて可愛いの! もふもふ! もふもふさせて!」
「おいおい、アオイが怖がってるだろ」
アオイちゃんをモフろうとしたらクラウスさんに止められた。完全に保護者ヅラだ。
「誰だか知らんばってん、ご主人様はうちばモフってればよかっちゃん! 浮気は良うなかばい!」
さらには嫉妬の化身と化したミルクちゃんに腕を引っ張られ、私はやっとアオイちゃんを追い回すのをやめたのでした。くー、残念。
そうこうしているうちに私たちはカフェに到着した。
早速窓際の四人がけのボックス席に陣取る。
アオイちゃんの隣にクラウスさん、私の隣にはミルクちゃんが座ってしっかりと睨みをきかせている。モフる隙がない。辛い。
私は特大パフェ、クラウスさんはパンケーキ、アオイちゃんはオレンジジュース、ミルクちゃんは水をオーダーする。が、そこで私は大変なことに気づいてしまった。
「私、お金奪われちゃって持ってないよ!」
「仕方ねぇな。この前助けてくれた借りがあるから今日のところは俺が皆の分奢ってやるわ」
「ありがとうございますクラウス先生!」
「調子のいいやつだなお嬢ちゃんは……」
呆れ顔のクラウスさんだったけど、やがてアオイちゃんをパーティに誘った理由について話し始めた。
「そうそう、このアオイもなかなかぶっ飛んだやつでな」
「ふーん、まさかアオイちゃんもステータス極振りの不遇職とかですか?」
「そのとおり」
マジですか。皆こういうの好きだよね。……人のことは全く言えないけれど!
「……で、アオイちゃんは何に極振りしてるんですか?」
クラウスさんは私の問いかけに、じっくりとためを作ってから答える。
「聞いて驚くなよ?
――器用さだよ」
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる