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僕らは施設を出てさっそく出発の準備に移る。
「ちょっとお姉ちゃん! どうして私は連れて行ってくれないの!?」
サクラさんに魔王討伐メンバーに選ばれなかったサクラちゃんは憤っている。サクラちゃんの性格を考えれば当然か……
「サクラ、残念だが今のサクラの力では魔王とは戦えない」
「そんな! 私だって……! お姉ちゃんにも剣では負けてないわ!」
「……もちろんそれは分かってる。正直私だって魔王との戦いでは役には立たないだろう……私の役目は木本君が攻撃できるように魔王にスキを作るくらいだ」
「お姉ちゃん……」
「サクラはここで待っててくれ」
「……」
悔しがるサクラちゃん、お姉ちゃんごころなのだろう。
外にでると遠くの空がどす黒く曇っている。
あの雲の下に魔王がいるのだろうか?
さっそくヘリに乗り込む僕ら。
ヘリは太平洋の魔王の元に向かう。
「いよいよですね……」
恐怖と緊張で震える僕。
「ああ……今の木本君なら魔王とも渡り合えると信じているぞ」
「はい! キモオタ君は今レベル55、魔力も上がってなにより魔人化が使えます。精霊界含めても世界最強の戦士です!」
「僕の成長を全部見てきたガイドがそう言ってくれるなら自信が出てくるよ。世界最強か……」
レベル0だった僕が今では世界最強の戦士になった。魔王にも通用するはずだ。
「でも、あれだけやってもレベル55かぁ」
「人間界ではこのあたりが限界かもしれませんね。いつか私のいた精霊界では強力なモンスターも多いので、来てくれたらレベルアップお付き合いしますよ!」
「異世界転移か……レベル55で世界最強っていうならレベル100なんてどうなるんだろうね?」
「うーん……単純な強さも上がりますけど……前にも言いましたけど、キモオタ君なら光魔法を極めると死者蘇生が出来るようになるはずですよ。
まあ精霊界でも死者蘇生を使えた魔法使いがいたのは大昔の話みたいですけどね。それこそおとぎ話みたいな」
「なるほど。レベル100は甘くないね。まあでも死者蘇生もすごいけど、まずは魔王を倒さなければ僕たちに未来はないからね……」
「そうですね……」
空気が重くなる。余計なことを言ってしまったようだ。
「う、運転手さん! どれくらいでつくんですかね?」
空気を変えようと僕は運転手に話しかける。
「そうですね……あと20分ってとこですかね? 思ったよりヘリコプターがスピードでなくて……」
「ほう、僕が筋肉つけ過ぎて重くなっちゃったんですかね?」
「ははは……どうですかね……?」
運転手も緊張しているのか話が弾まない。
「大丈夫だ。私もサポートする。必ず魔王を倒すんだ!」
「……はい! サクラちゃんも待ってますからね」
置いていかれ悔しそうなサクラちゃんの顔を思い出す。
「ああ……思ったよりおとなしく言うことを聞いてくれて助かったよ」
「そうですね。悔し涙を流すサクラちゃんも可愛いかったですね」
「相変わらずキモいわね!」
ヘリコプターの後部から聞きなれた声が聞こえる。
「ははは、キモいって……えっ!?」
「サ、サクラ!?」
「ふふふ、甘いわね! 私がおとなしく待ってるわけないでしょ!」
後ろからひょっこりと顔をのぞかせるサクラちゃん。
「ど、どうして……?」
アスカさんも妹のいきなりの登場に驚く。
「世界の危機を救う瞬間に私がいないなんてありえないわ!」
「……さすがだね」
なるほど、ヘリコプターのスピードが出ない理由が分かったところでどす黒い雲の下に到着した。
海に浮かぶダンジョン、あそこに魔王がいる。
僕、アスカさん、ガイド、サクラちゃん、世界を救うことになったこの4人でダンジョンに降り立つ。
禍々しいオーラが漂っている。
僕らの最終決戦が始まる。
「ちょっとお姉ちゃん! どうして私は連れて行ってくれないの!?」
サクラさんに魔王討伐メンバーに選ばれなかったサクラちゃんは憤っている。サクラちゃんの性格を考えれば当然か……
「サクラ、残念だが今のサクラの力では魔王とは戦えない」
「そんな! 私だって……! お姉ちゃんにも剣では負けてないわ!」
「……もちろんそれは分かってる。正直私だって魔王との戦いでは役には立たないだろう……私の役目は木本君が攻撃できるように魔王にスキを作るくらいだ」
「お姉ちゃん……」
「サクラはここで待っててくれ」
「……」
悔しがるサクラちゃん、お姉ちゃんごころなのだろう。
外にでると遠くの空がどす黒く曇っている。
あの雲の下に魔王がいるのだろうか?
さっそくヘリに乗り込む僕ら。
ヘリは太平洋の魔王の元に向かう。
「いよいよですね……」
恐怖と緊張で震える僕。
「ああ……今の木本君なら魔王とも渡り合えると信じているぞ」
「はい! キモオタ君は今レベル55、魔力も上がってなにより魔人化が使えます。精霊界含めても世界最強の戦士です!」
「僕の成長を全部見てきたガイドがそう言ってくれるなら自信が出てくるよ。世界最強か……」
レベル0だった僕が今では世界最強の戦士になった。魔王にも通用するはずだ。
「でも、あれだけやってもレベル55かぁ」
「人間界ではこのあたりが限界かもしれませんね。いつか私のいた精霊界では強力なモンスターも多いので、来てくれたらレベルアップお付き合いしますよ!」
「異世界転移か……レベル55で世界最強っていうならレベル100なんてどうなるんだろうね?」
「うーん……単純な強さも上がりますけど……前にも言いましたけど、キモオタ君なら光魔法を極めると死者蘇生が出来るようになるはずですよ。
まあ精霊界でも死者蘇生を使えた魔法使いがいたのは大昔の話みたいですけどね。それこそおとぎ話みたいな」
「なるほど。レベル100は甘くないね。まあでも死者蘇生もすごいけど、まずは魔王を倒さなければ僕たちに未来はないからね……」
「そうですね……」
空気が重くなる。余計なことを言ってしまったようだ。
「う、運転手さん! どれくらいでつくんですかね?」
空気を変えようと僕は運転手に話しかける。
「そうですね……あと20分ってとこですかね? 思ったよりヘリコプターがスピードでなくて……」
「ほう、僕が筋肉つけ過ぎて重くなっちゃったんですかね?」
「ははは……どうですかね……?」
運転手も緊張しているのか話が弾まない。
「大丈夫だ。私もサポートする。必ず魔王を倒すんだ!」
「……はい! サクラちゃんも待ってますからね」
置いていかれ悔しそうなサクラちゃんの顔を思い出す。
「ああ……思ったよりおとなしく言うことを聞いてくれて助かったよ」
「そうですね。悔し涙を流すサクラちゃんも可愛いかったですね」
「相変わらずキモいわね!」
ヘリコプターの後部から聞きなれた声が聞こえる。
「ははは、キモいって……えっ!?」
「サ、サクラ!?」
「ふふふ、甘いわね! 私がおとなしく待ってるわけないでしょ!」
後ろからひょっこりと顔をのぞかせるサクラちゃん。
「ど、どうして……?」
アスカさんも妹のいきなりの登場に驚く。
「世界の危機を救う瞬間に私がいないなんてありえないわ!」
「……さすがだね」
なるほど、ヘリコプターのスピードが出ない理由が分かったところでどす黒い雲の下に到着した。
海に浮かぶダンジョン、あそこに魔王がいる。
僕、アスカさん、ガイド、サクラちゃん、世界を救うことになったこの4人でダンジョンに降り立つ。
禍々しいオーラが漂っている。
僕らの最終決戦が始まる。
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