キモオタ レベル0★世界最弱のオタク高校生の僕だけレベルアップ!美女に囲まれハーレム青春物語

さかいおさむ

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「いやぁ、デート日和ですね!」
 その日の僕はウキウキであった。

「……そうかな? 普通の天気だが……?」
 今日はアスカさんと武器を買いに行く日だ。

「ちょっとキモオタ君? 私もいるんですからね?」
 契約で僕から離れられないガイドももちろん一緒だ。


「今日はどこの武器屋に行くんですか?」

「私たちギルドの行きつけの武器屋だよ。質の良い武器が揃っている良い店だ」

「おーアスカさん行きつけ……きっとすごい武器屋なんでしょうね……」


 武器屋に到着する。

 冒険者の多いこの世界では武器屋はたくさんある。
 庶民向けの安い店から、プロ御用達の高級店まで様々だ。

「こ、ここは……」
 トップ冒険者のアスカさん行きつけという武器屋は、外観からして明らかに高級店だ。
 まるで高級外車のディーラーのような豪華な店に僕は緊張した。

「いらっしゃいませ。アスカ様」
 高そうなスーツを着た店員が話しかけてくる。どこか胡散臭い男だな……

「今日は何をお求めでしょうか?」

「今日は私ではなく、この子の武器を探しに来たんだ」

「この子……?」
 店員が僕を見る。

「この子……この方の武器ですか……?」

「……どうも」
 店員は明らかに高級店に場違いな僕を怪しげな目で見てくる。当然だ。

「えーっと……『初めてのダンジョンセット』のような武器でしょうか……?」

「そんなわけないだろ! 失礼だな!」
 アスカさんが声を荒げる。

「し、失礼いたしました! どのようなモンスターと戦うご予定でしょうか?」

「魔王だ」
 アスカさんは言った。

「ま、魔王……!?」
 聞き返す店員。当然、僕ら以外は魔王のことなど知らない。

「とにかく、この店で1番いい剣を持ってきてくれ!」
 カッコイイ注文の仕方をするアスカさん、お金は大丈夫なのだろうか……?

「はい……」
 アスカさんでなければ冷やかしだと思われても仕方ないだろう。
 店員は店の奥から剣を持ってきた。

 ギラギラに装飾された箱。箱だけでも高級そうだ。

「こちらが当店で一番いい剣です」
 店員が箱を開ける。

「こ、これはすごい剣だ……」
 アスカさんも驚くほどの剣のようだ。
 光り輝く刃、シンプルながら美しい柄の装飾。素人目に見ても良い剣だ。

「どうだろう? 木本君」
 アスカさんが僕に聞く。気に入るに決まっているじゃないか!

「は、はい……よくわかりませんが、カッコイイ剣ですね……」
 僕は剣を持ってみる。

「いいじゃないか。ピッタリ合っているよ」
 アスカさんが言う。

「キモオタ君! 素敵ですよ!」
 ガイドも褒めてくれる。

「へへへ、お似合いですよ、お客様! かっこいい! イケメン!」
 店員も思ってもないようなことを言っている。

「いい剣ですね……しっくりきますよ」
 しかし、本当に良い剣に間違いなかった。

「よし! じゃあこれをもらうよ」
 アスカさんが即決する。

「お買い上げ、ありがとうございます!」
 頭を深々と下げる店員。


「アスカさん! 本当にこんな剣を買ってもらっていいんですか……?」

「ああ、この剣でますます頑張ってくれよ!」
 ありがたい、大切にしよう。

「アスカさん、剣のことで相談があるんですが」

「お、どうした? 剣のメンテナンスか?」

「この剣には『勇者の剣』という名前を付けようと思うのですが良いですかね?」

「……ああ……(どうでも)いいじゃないか……」

「キモオタ君……ネーミングセンスも激キモなんですね……」

 どうしてガイドが馬鹿にするのか分からないが、僕は勇者の剣手に入れた。

「勇者の剣(けん)じゃなくて、勇者の剣(つるぎ)ってところがポイントなんですよ!」

「……それはよかったな」
 なぜか冷たい目のアスカさんであった。


「ではアスカ様、お会計はこちらになります」
 店員が伝票を持ってくる。

「クレジットカードで頼むよ、一括で」

 この剣……いくらするんだろうか……?
 僕はチラッと伝票を見る。

「えっ!? ア、アスカさん! こんな高い剣、受け取れませんよ!」
 目玉が飛び出るかと思った。木本家の一軒家より高い金額だろう。

「気にするな! いい武器は高くなるんだよ」
 アスカさんはそう言ってくれた。

「で、でも……」

「いいんだ! 私はそこそこ稼いでいるからな!」
 アスカさんは金ピカのクレジットカードを見せてくる。

「……大事にします! ガンガンレベル上げますね!」

「ああ、でも学校もちゃんと行くんだぞ?」
 一瞬、怖い目つきになるアスカさん。

「はい……」

 僕はこうして最高の剣を手に入れた。
 あとはレベルを上げるだけだ!
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