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しおりを挟む「でも、なんでサクラちゃんに会えないんですか? 妹ならなおさらなんとかなりそうな気も……」
「……前に家族が寝たきりになっていると言ったのを覚えているか?」
「はい……あっ!」
しまった、馬鹿なことを言ってしまった。
「そうだ、妹は少し前にあるダンジョンで戦い、敵にやられ寝たきりになってしまったんだ」
「そんな……」
確かに白野サクラちゃんは数か月前から体調不良でアイドルを休業している。
「サクラはアイドル活動をしていたが、冒険者としてのセンスもよくてな。そう遠くないうちに私を超すくらいの能力を秘めてたんだ」
「え? あのサクラちゃんが!?」
サクラちゃんが冒険者だったなんて……サクラちゃんオタクの僕も知らなかった……
「約束を守れなく本当に申し訳ない……それで相談なんだが……」
なぜか顔を赤らめるアスカさん。
「アスカさん?」
「サクラの代わりと言ってはなんだが……私を好きにしてくれてもいいぞ……!」
「えぇ!?」
アスカさんから衝撃的な言葉が飛び出した。
「約束だからな……木本君はダンジョンをクリアしてくれた」
「そんな……」
「構わない! 好きにしてくれ!」
据え膳食わぬは男の恥……と言うやつですね……
「分かりましたよ。アスカさん……」
脳内で流れるBGMはもちろん尾〇豊『卒業』だ。
「でも……」
いいのか!? 木本オタフク……こんな形でアスカさんを……
「アスカさん……やっぱりこんなのは……」
『ガンッ!』
「ぐわぁぁぁぁあ」
その時、僕の後頭部に衝撃が走る。投石か!?
「ちょっと! 何やってるんですかっーー!!」
投石ではなくガイドの跳び蹴り……いや、飛び蹴りだった。
「ちょっと! なにキモオタ君を誘惑してるんですか!!?」
「ゆ、誘惑!? ちがうッ!」
アスカさんは顔を真っ赤にする。
「キモオタ君! ダメよ! こんな年増を抱いた日には、後から何を言ってくるか!」
「年増だと!? 貴様ッ!!」
飛び回るガイドを掴みかかろうとするアスカさん。
「キャー! 助けて! キモオタ君!」
真夜中に突如始まったキャットファイト。なるほど、これがモテ男に気持ちなのだろうか?
「そういうことですか。目が覚めたらいきなりアスカがキモオタ君に言い寄ってるんですもん、ビックリしましたよ!」
「アスカって……呼び捨てかチビスケ……」
理由を聞いて誘惑していた訳ではないと分かったガイド。
「ま、まあまあ……それにしても……あんなに必死に言い寄るアスカさんを止めるなんて……
ガイドはもしかして僕のことが……す、好きなのかな?」
「え? キモ。いえ、全くそれはないです。でもなんか他の女に取られるのは嫌って言うか?」
「……そ、そう……」
容赦のない辛辣な言葉を吐くガイドだった。
「あの、妹さんがダンジョンに行って寝たきりってなったって聞こえたんですけど……?」
一転、真面目な表情になるガイド。
「ああ……医者の話じゃ医学的には体に問題はないようなんだが目を覚まさないんだ」
サクラちゃん、しばらくテレビで見ないと思っていたらそんなことになっていたのか。
「……妹さんはなんというダンジョンへ行ったんですか?」
「ダンジョンの名前は分からないが……ネクロマンサーというボスがいたようだ」
「ネクロマンサー!?」
ガイドが驚く。
「ああ、なにか知っているのか!?」
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