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2、ゼリーの日々

空っぽのワンルーム

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 そんな風にして瞬のワンルームに居ついた伸幸だったが。

「ただいまー……っと」

(あれ?)

 瞬が靴を脱ぎ終わる前に、伸幸は「おかえりなさい」と迎えに出てくる。

 なのに。

「伸幸さん……?」

 狭いワンルームはガランと空っぽだった。

「何か買いものに出てんのかな。冷蔵庫ん中いっぱいなのに」

 午前の盛りつけシフトが終わって帰宅した瞬は、昼メシのしたくのため冷蔵庫を開けた。

 食材のストックは、塊のベーコンととうもろこしとピーマン。

(相変わらずちぐはぐな……)

 棚を見ると、先日伸幸が買ってきたパスタが半分残っていた。

 これを茹でて、ベーコンとピーマンで炒めるか。

 とうもろこしは新鮮さが命なので、とりあえず茹でておやつにしてやる。

 パスタもとうもろこしも茹であがった。

 伸幸は戻ってこなかった。
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