40 / 55
40話 卒業パーティー
しおりを挟む
「フィクタのポステーロス城文官勤務の内定が決まりました」
「私申し込んでないけど?」
「私も採用されましたよ」
就職先が勝手に決まった。
「私に意思確認しなさいよ」
「言ったら断るでしょう? 最初だけですよ。その内コロヌベーマヌに行くのもありですし、外交職に変えて諸外国を回ってもいいですね。勿論、マジア侯爵位を継ぐなら、私はマーロン侯爵位を兄に譲渡してそちらについていきます」
内容はさておき、就職に関してはエールがやらなくてもイグニスやマーロン兄、マジア侯爵夫妻がやるだろうと思ってたから予想通りではある。
エールがそういう役を買って出たあたりは真面目なのよね。だから怒る気にはなれない。そんな私の足元見てるのは気に入らないけど。
「仕事の件は分かったわ」
「ありがとうございます」
「……で? エール、距離とってくれる?」
「お断りです」
「随分強気ね」
「そうでないとフィクタに敵いません」
あのエールの宣言から何があったかというと、人前でも触れてくるようになった。髪に触れる、手を繋ぐは日常当たり前で隣に立つにしても前より近い。
「私がフィクタを愛してることが伝わらないと」
「充分よ」
こうした告白も増えた。学院にいるとこうしたシーンを見て女生徒は楽しいみたいできゃっきゃしてるけど、公の場でそういうことはよしてほしい。
人前はやめてと何度言ってもだめだった。
「帝国ではしてないですし」
「学院だって公の場よ」
「牽制しないと」
今までそれなりにしてたけど、さらに牽制する目的があるらしい。
「卒業だからだとフィクタに告白する人間が増えます」
「実際一人も告白しにきてないし」
「防ぎましたので」
学院での時間、常にエールが側にいた。二十四時間体制の監視に数年も耐えるって私すごくない?
「そうだ。フリーゴスとカロルのことありがとう」
「私に利点もありましたので」
双子を帝国騎士団にいれてくれた。ついでに言うならそのうち設立する中立な騎士団、すなわち国際平和騎士団の創立メンバーに内定されている。これがあったから私の文官という仕事先が決まっていたのを飲んだ。
「卒業パーティーも出るんでしょ?」
「フィクタが出ないなら私も出ませんが」
「いいわ。出るから」
「おや、珍しいですね」
学院理事長のメンツもある。私をここに通わせてくれて帝国への研修生としても抜擢してくれた。同郷の子たちの受け入れもしてくれてる以上、デビュタントと違って無下にはできない。
「デビュタントとは事情が違うから。でもすぐ帰るわ」
* * *
卒業パーティーは華やかなものだった。こういうとこに身を置きたがっていた小説のフィクタの気持ちが分からない。ああ、でも私自身なのよね? サクの言うことは正しいのだろうけど、いまいちしっくりこない。
「婚約破棄イベントでもあればいいのに」
「は?」
いけない、声に出てた。
周囲には当然聞こえていない。なぜならバルコニーでエールと二人きりだからだ。
バルコニーの端に少し寄りかかって会場内の明るい光ぼんやり眺め喧騒に耳を傾けていた。こういう学院ものの卒業パーティーイベントでは婚約破棄がメジャー。ヒロインの立場によっては断罪イベントも並行で破棄を言い渡す側が立場あると死刑やら国外追放が待っている。
「今、なんて?」
「聞かなかったことにして」
「聞き捨てならないことでしょう」
エールが持っていたグラスをバルコニー欄干に置いたので隣に置いた。お説教だろうな、これ。
バルコニーにもたれ掛かりながらエールと対面した。
「婚約破棄なんてしませんよ」
「そう」
私を囲うように腕が伸びる。
壁ドンじゃなくてなんだろう。バルコニードン? 略してバルドン……流行らなそうね。
「また余計なこと考えてますね」
「いつものことよ」
「知ってます」
でも今は、と腕を曲げて距離を詰めてきた。顔をあげてエールを見たら珍しく笑っていない。
「今は私に集中して下さい」
エールってば少し照れた。室内の眩しい光が照らす耳が赤くなっている。
「……背、こんなに高くなったの」
私の言葉に気の抜けた顔をした。眦を少しあげる。
「珍しいですね」
「何が?」
「いえ、私のことを気にしたので」
「集中しろとか言っといて?」
「フラルはいつもおしかぷと死亡ふらぐばかりではありませんか」
「そうねえ」
しょっちゅう言ってたからエールが用語を覚えてしまった。由々しき事態。
「おしかぷは解決しましたね?」
「うん」
「死亡ふらぐは?」
「全然解決してない」
「それならフラルの憂いを払い続けないといけませんね」
嬉しそうに言う台詞じゃない。そもそもマーロン侯爵である限りエールも死亡フラグなのに。
「……まあまだ死んでないし」
「はい」
「エールと十年以上一緒にいるから」
「証明されました?」
私がフラルに害をなさないこと。
ふと。
長くいすぎたと思ってしまった。同郷の子達のことを考えるのと同じくらいエールには情を抱いてしまっている。
ここで気づくべきじゃなかった。しくじったわ。
「……ふふ、少しは長く側にいた甲斐があったようですね」
「なによ、それ」
「見てくれる日がきたなと感慨深い思いに浸っています」
「エールも変わった女性の趣味してるわよね」
「そんなことありません」
フラルを好ましく思う人間は沢山いますよと苦笑する。告白されたのはエールだけよ。
「一人で多くを救おうとして世界まで変える人間なんてそういませんよ」
「私のこと?」
「ええ」
片手が私の頬を包む。
正直、本編ヒーローのサクがあまりに簡単にやってくれてたから、こんなに時間がかかっているのは問題だと思っていた。
「私が初めてフラルに会った時、この瞳がとても印象的でした」
「目?」
「とても力強く輝くので」
確かに見た目フィクタは眼光強めだ。印象に残るのは仕方ない。というかエールは見た目強めな顔立ち好きなのかしら。
「でもずっと違う所ばかり見ててやきもきさせられたものです」
今もですがと笑う。
「そうね。エールの気持ちはよく分かったわ」
「私がフィクタを愛していることですか?」
「ええ。私にはいまいちピンとこないけど好かれてるのは充分分かってる」
この回答じゃだめだったらしい。微笑みのままいまいちな顔をされた。
「んー……まだですかね」
「何が?」
「次の休みに二人で出掛けませんか?」
「急になに?」
あいてるからいいけど、話題振りが強引すぎる。
エールはにっこり笑ったまま、右の人差し指を私の唇に押し付けた。
「少しでも意識してくれれば、このまま口付けてもいいかなあと」
人差し指を放す。この会話でのキスは唇に、ということだろう。それは恥ずかしいからやめたい。
「……デートするわ」
「ありがとうございます」
よし、接触を避けたぞと思って安心したら、つっと下がって額に唇を寄せた。
「エール!」
「はい。好きです」
「もう……」
油断も隙もないんだから。
「私申し込んでないけど?」
「私も採用されましたよ」
就職先が勝手に決まった。
「私に意思確認しなさいよ」
「言ったら断るでしょう? 最初だけですよ。その内コロヌベーマヌに行くのもありですし、外交職に変えて諸外国を回ってもいいですね。勿論、マジア侯爵位を継ぐなら、私はマーロン侯爵位を兄に譲渡してそちらについていきます」
内容はさておき、就職に関してはエールがやらなくてもイグニスやマーロン兄、マジア侯爵夫妻がやるだろうと思ってたから予想通りではある。
エールがそういう役を買って出たあたりは真面目なのよね。だから怒る気にはなれない。そんな私の足元見てるのは気に入らないけど。
「仕事の件は分かったわ」
「ありがとうございます」
「……で? エール、距離とってくれる?」
「お断りです」
「随分強気ね」
「そうでないとフィクタに敵いません」
あのエールの宣言から何があったかというと、人前でも触れてくるようになった。髪に触れる、手を繋ぐは日常当たり前で隣に立つにしても前より近い。
「私がフィクタを愛してることが伝わらないと」
「充分よ」
こうした告白も増えた。学院にいるとこうしたシーンを見て女生徒は楽しいみたいできゃっきゃしてるけど、公の場でそういうことはよしてほしい。
人前はやめてと何度言ってもだめだった。
「帝国ではしてないですし」
「学院だって公の場よ」
「牽制しないと」
今までそれなりにしてたけど、さらに牽制する目的があるらしい。
「卒業だからだとフィクタに告白する人間が増えます」
「実際一人も告白しにきてないし」
「防ぎましたので」
学院での時間、常にエールが側にいた。二十四時間体制の監視に数年も耐えるって私すごくない?
「そうだ。フリーゴスとカロルのことありがとう」
「私に利点もありましたので」
双子を帝国騎士団にいれてくれた。ついでに言うならそのうち設立する中立な騎士団、すなわち国際平和騎士団の創立メンバーに内定されている。これがあったから私の文官という仕事先が決まっていたのを飲んだ。
「卒業パーティーも出るんでしょ?」
「フィクタが出ないなら私も出ませんが」
「いいわ。出るから」
「おや、珍しいですね」
学院理事長のメンツもある。私をここに通わせてくれて帝国への研修生としても抜擢してくれた。同郷の子たちの受け入れもしてくれてる以上、デビュタントと違って無下にはできない。
「デビュタントとは事情が違うから。でもすぐ帰るわ」
* * *
卒業パーティーは華やかなものだった。こういうとこに身を置きたがっていた小説のフィクタの気持ちが分からない。ああ、でも私自身なのよね? サクの言うことは正しいのだろうけど、いまいちしっくりこない。
「婚約破棄イベントでもあればいいのに」
「は?」
いけない、声に出てた。
周囲には当然聞こえていない。なぜならバルコニーでエールと二人きりだからだ。
バルコニーの端に少し寄りかかって会場内の明るい光ぼんやり眺め喧騒に耳を傾けていた。こういう学院ものの卒業パーティーイベントでは婚約破棄がメジャー。ヒロインの立場によっては断罪イベントも並行で破棄を言い渡す側が立場あると死刑やら国外追放が待っている。
「今、なんて?」
「聞かなかったことにして」
「聞き捨てならないことでしょう」
エールが持っていたグラスをバルコニー欄干に置いたので隣に置いた。お説教だろうな、これ。
バルコニーにもたれ掛かりながらエールと対面した。
「婚約破棄なんてしませんよ」
「そう」
私を囲うように腕が伸びる。
壁ドンじゃなくてなんだろう。バルコニードン? 略してバルドン……流行らなそうね。
「また余計なこと考えてますね」
「いつものことよ」
「知ってます」
でも今は、と腕を曲げて距離を詰めてきた。顔をあげてエールを見たら珍しく笑っていない。
「今は私に集中して下さい」
エールってば少し照れた。室内の眩しい光が照らす耳が赤くなっている。
「……背、こんなに高くなったの」
私の言葉に気の抜けた顔をした。眦を少しあげる。
「珍しいですね」
「何が?」
「いえ、私のことを気にしたので」
「集中しろとか言っといて?」
「フラルはいつもおしかぷと死亡ふらぐばかりではありませんか」
「そうねえ」
しょっちゅう言ってたからエールが用語を覚えてしまった。由々しき事態。
「おしかぷは解決しましたね?」
「うん」
「死亡ふらぐは?」
「全然解決してない」
「それならフラルの憂いを払い続けないといけませんね」
嬉しそうに言う台詞じゃない。そもそもマーロン侯爵である限りエールも死亡フラグなのに。
「……まあまだ死んでないし」
「はい」
「エールと十年以上一緒にいるから」
「証明されました?」
私がフラルに害をなさないこと。
ふと。
長くいすぎたと思ってしまった。同郷の子達のことを考えるのと同じくらいエールには情を抱いてしまっている。
ここで気づくべきじゃなかった。しくじったわ。
「……ふふ、少しは長く側にいた甲斐があったようですね」
「なによ、それ」
「見てくれる日がきたなと感慨深い思いに浸っています」
「エールも変わった女性の趣味してるわよね」
「そんなことありません」
フラルを好ましく思う人間は沢山いますよと苦笑する。告白されたのはエールだけよ。
「一人で多くを救おうとして世界まで変える人間なんてそういませんよ」
「私のこと?」
「ええ」
片手が私の頬を包む。
正直、本編ヒーローのサクがあまりに簡単にやってくれてたから、こんなに時間がかかっているのは問題だと思っていた。
「私が初めてフラルに会った時、この瞳がとても印象的でした」
「目?」
「とても力強く輝くので」
確かに見た目フィクタは眼光強めだ。印象に残るのは仕方ない。というかエールは見た目強めな顔立ち好きなのかしら。
「でもずっと違う所ばかり見ててやきもきさせられたものです」
今もですがと笑う。
「そうね。エールの気持ちはよく分かったわ」
「私がフィクタを愛していることですか?」
「ええ。私にはいまいちピンとこないけど好かれてるのは充分分かってる」
この回答じゃだめだったらしい。微笑みのままいまいちな顔をされた。
「んー……まだですかね」
「何が?」
「次の休みに二人で出掛けませんか?」
「急になに?」
あいてるからいいけど、話題振りが強引すぎる。
エールはにっこり笑ったまま、右の人差し指を私の唇に押し付けた。
「少しでも意識してくれれば、このまま口付けてもいいかなあと」
人差し指を放す。この会話でのキスは唇に、ということだろう。それは恥ずかしいからやめたい。
「……デートするわ」
「ありがとうございます」
よし、接触を避けたぞと思って安心したら、つっと下がって額に唇を寄せた。
「エール!」
「はい。好きです」
「もう……」
油断も隙もないんだから。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった
白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」
な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし!
ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。
ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。
その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。
内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います!
*ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。
*モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。
*作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。
*小説家になろう様にも投稿しております。
【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜
まほりろ
恋愛
ムーンライトノベルズで日間総合1位、週間総合2位になった作品です。
【完結】「ディアーナ・フォークト! 貴様との婚約を破棄する!!」見目麗しい第二王子にそう言い渡されたとき、ディアーナは騎士団長の子息に取り押さえられ膝をついていた。王子の側近により読み上げられるディアーナの罪状。第二王子の腕の中で幸せそうに微笑むヒロインのユリア。悪役令嬢のディアーナはユリアに斬りかかり、義理の兄で第二王子の近衛隊のフリードに斬り殺される。
三日月杏奈は漫画好きの普通の女の子、バナナの皮で滑って転んで死んだ。享年二十歳。
目を覚ました杏奈は少女漫画「クリンゲル学園の天使」悪役令嬢ディアーナ・フォークト転生していた。破滅フラグを壊す為に義理の兄と仲良くしようとしたら溺愛されました。
私の事を大切にしてくれるお義兄様と仲良く暮らします。王子殿下私のことは放っておいてください。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる