別れの曲

 主人公・森下陽和は幼少の頃、ピアノを弾くことが好きだった。
 しかし、ある日医師から『楽譜“だけ”が読めない学習障害を持っている』と診断されたことをきっかけに、陽和はピアノからは離れてしまう。

 月日が経ち、高校一年の冬。

 ピアニストである母親が海外出張に行っている間に、陽和は不思議な夢を視る。
 そこで語り掛けて来る声に導かれるがまま、読めもしない楽譜に目を通すと、陽和は夢の中だけではピアノが弾けることに気が付く。
 夢の中では何でも自由。心持ち次第だと声は言うが、次第に、陽和は現実世界でもピアノが弾けるようになっていく。

 時を同じくして、ある日届いた名無しの手紙。
 それが思いもよらぬ形で、差出人、そして夢の中で聞こえる声の正体――更には、陽和のよく知る人物が隠していた真実を紐解くカギとなって……

 優しくも激しいショパンの旋律に導かれた陽和の、辿り着く答えとは……?
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