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「「小関支社長、お疲れ様で~す!」」
増田ホールディングスの忘年会ではあるけれど、同じビルに入っている子会社に所属しているお父さんもこの忘年会に参加している。
福富さんと佐伯さんが可愛らしくお父さんに声を掛けてくれているのに、お父さんは小さく会釈をしただけで私のことを真っ直ぐと見たまま・・・
「生活が苦しいのか?
そのワンピース、一平と貴子さんがうちに挨拶に来た時だけじゃなく、両家の顔合わせでも着てただろ。」
そんなことを大真面目な顔で言ってきた。
「母さんに聞いても総務部の一平に聞いても一美が住んでるマンションの住所は教えてくれないけどな、一平から聞いた話ではオフィス街にあるマンションだとは聞いた。」
「うん、オフィス街にあるマンションに住んでるんだよね。」
「何で誰も俺に住所を教えてくれないんだ?
親なら把握しておく必要があるだろ。
これについては加藤まで絶対に口を割らない。」
「うん、加藤さんにも言わないようにお願いしてあるから。」
「何で皆して俺に言わないんだ?」
「だって、言ったら絶対に来るでしょ?」
「それはそうだろ、娘が住んでる場所を把握しておくのも親の務めだろ。」
「私、もう31歳だよ?」
「何歳になっても娘だろ。
新しいドレスもワンピースも買えないくらいのマンションに住んでるなら、それを正すのも親の務めだからな。」
「小関支社長、それは誤解で~!」
佐伯さんが少し高い声で間に入ってきた。
佐伯さんにやっと視線を移したお父さんが佐伯さんのことを把握したことが分かった。
佐伯さんは増田社長繋がりで入社をしている女の子でもあるから。
「私、今年もドレスを着たくなくて。
でも結構みんなドレスを着てるし、経理部に迷惑を掛けることにもなるのかなと悩んで・・・。
それを羽鳥さんにご相談したら、自分もドレスを着ないことにするから大丈夫って言ってくださって。」
佐伯さんが名演技でそんな嘘を言い始め、それには苦笑いを我慢して“普通”の顔になるよう顔面を固定する。
「私も私も!!
私もドレス着たくないんですけど!!
小関支社長から増田社長に言ってくださいよ~!!
何で忘年会にドレスなんですか!?」
福富さんが可愛く頬を膨らまし私のお父さんに詰め寄ると、お父さんは少し焦りながら一歩後退った。
「社長は特にドレスの指定をしているわけではないが・・・。」
「え!?そうなんですか!?
じゃあ何でみんなドレス着てるんですか!?」
「それは・・・古くからうちの忘年会ではそうなっていて・・・。
昔は女性達も喜んで着飾る人ばかりだとは聞いていたが。」
「昔はこの場が出会いの場でもあったみたいだからね。」
戸惑っているお父さんに代わり私が声を出した。
「社内で出会って結婚する人達も多くいたから、女の人皆が結構気合いを入れていた時代もあったみたい。」
「え~・・・私、社内恋愛とか不可能なんですけど。
佐伯さんは?
大人気なんだから社内恋愛すればいいじゃん。」
「私は社内恋愛どころか恋愛に興味がないから。」
佐伯さんが可愛く笑った後にお父さんのことを見上げた。
「時代も変わりましたからね。
増田財閥もここ数年で大きく変わったそうですし、財閥の分家や親の務めが変わったとしても不思議ではないですよね。」
増田ホールディングスの忘年会ではあるけれど、同じビルに入っている子会社に所属しているお父さんもこの忘年会に参加している。
福富さんと佐伯さんが可愛らしくお父さんに声を掛けてくれているのに、お父さんは小さく会釈をしただけで私のことを真っ直ぐと見たまま・・・
「生活が苦しいのか?
そのワンピース、一平と貴子さんがうちに挨拶に来た時だけじゃなく、両家の顔合わせでも着てただろ。」
そんなことを大真面目な顔で言ってきた。
「母さんに聞いても総務部の一平に聞いても一美が住んでるマンションの住所は教えてくれないけどな、一平から聞いた話ではオフィス街にあるマンションだとは聞いた。」
「うん、オフィス街にあるマンションに住んでるんだよね。」
「何で誰も俺に住所を教えてくれないんだ?
親なら把握しておく必要があるだろ。
これについては加藤まで絶対に口を割らない。」
「うん、加藤さんにも言わないようにお願いしてあるから。」
「何で皆して俺に言わないんだ?」
「だって、言ったら絶対に来るでしょ?」
「それはそうだろ、娘が住んでる場所を把握しておくのも親の務めだろ。」
「私、もう31歳だよ?」
「何歳になっても娘だろ。
新しいドレスもワンピースも買えないくらいのマンションに住んでるなら、それを正すのも親の務めだからな。」
「小関支社長、それは誤解で~!」
佐伯さんが少し高い声で間に入ってきた。
佐伯さんにやっと視線を移したお父さんが佐伯さんのことを把握したことが分かった。
佐伯さんは増田社長繋がりで入社をしている女の子でもあるから。
「私、今年もドレスを着たくなくて。
でも結構みんなドレスを着てるし、経理部に迷惑を掛けることにもなるのかなと悩んで・・・。
それを羽鳥さんにご相談したら、自分もドレスを着ないことにするから大丈夫って言ってくださって。」
佐伯さんが名演技でそんな嘘を言い始め、それには苦笑いを我慢して“普通”の顔になるよう顔面を固定する。
「私も私も!!
私もドレス着たくないんですけど!!
小関支社長から増田社長に言ってくださいよ~!!
何で忘年会にドレスなんですか!?」
福富さんが可愛く頬を膨らまし私のお父さんに詰め寄ると、お父さんは少し焦りながら一歩後退った。
「社長は特にドレスの指定をしているわけではないが・・・。」
「え!?そうなんですか!?
じゃあ何でみんなドレス着てるんですか!?」
「それは・・・古くからうちの忘年会ではそうなっていて・・・。
昔は女性達も喜んで着飾る人ばかりだとは聞いていたが。」
「昔はこの場が出会いの場でもあったみたいだからね。」
戸惑っているお父さんに代わり私が声を出した。
「社内で出会って結婚する人達も多くいたから、女の人皆が結構気合いを入れていた時代もあったみたい。」
「え~・・・私、社内恋愛とか不可能なんですけど。
佐伯さんは?
大人気なんだから社内恋愛すればいいじゃん。」
「私は社内恋愛どころか恋愛に興味がないから。」
佐伯さんが可愛く笑った後にお父さんのことを見上げた。
「時代も変わりましたからね。
増田財閥もここ数年で大きく変わったそうですし、財閥の分家や親の務めが変わったとしても不思議ではないですよね。」
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