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“攻められる”と思っていたし、“頷かせることが出来る”とも思っていた。
研修で営業を経験しているとはいえ今は財務部の配属になっている砂川さん。
めっちゃ変な人ではあるけれどもっと変わっているお客様を私は何人も頷かせてきた。
凄く驚いた顔で私のことを見上げている砂川さんのことを見下ろしながら続ける。
「砂川さんは私のことが普通の女の子に見えているんですよね?」
「それは・・・当たり前だよ。
化粧もしているし髪の毛も短いけど女の髪型だし顔の作りもちゃんと女だし・・・。」
砂川さんの視線が私の顔から身体の方へゆっくりと移っていく。
「昨日はスーツだったけどスカートだったし、今日もワンピースを着ている。
それに高い靴も履いていたしそもそも骨格が女の骨格だからね。」
そんな理由で私のことを“女の子”だと言っていたことについては悲しい気持ちにもなるけれど、それで終わりにすることなく気持ちを維持したまま何度も頷く。
その頷きは砂川さんの言葉に対しての頷きではない。
“まだ攻められる”と自分自身に言い聞かせる為の頷き。
「砂川さん以外の人は私のことが女ではなく男に見えるらしいです。
ちゃんと女の格好をしているのに私は女ではなく男なんです。」
砂川さんに一歩、近付く。
「ソコ、私が処理します。」
スーツのジャケットの下にあるであろう砂川さんの下半身を指差す。
「私が変な話をしたせいで砂川さんのモノが反応してしまいました。
そういう欲がないはずの砂川さんのモノが反応してしまったなんて、私の責任は重大です。
砂川さんは幸い私のことを女として認識出来るようですし、私が責任を持って処理します。」
「それはいいよ。」
「はい、じゃあ始めます。」
「え・・・。」
砂川さんはスーツのジャケットを手に持ち慌てたように立ち上がった。
大慌ての顔をしている砂川さんに笑顔を作り口にする。
“攻められる”としか思えないくらいの反応で、私の心はどんどん興奮していく。
これから起きるであろう“初めて”のことに向かい興奮していってしまう。
「“いいよ”って言ってくれましたよね?」
「その“いいよ”はそういう“いいよ”ではなくて・・・。
“結構です”の“いいよ”だよ。」
「断る時はちゃんと断らないとダメですよ。
営業の研修、ちゃんとやってましたか?」
分かっていたけれどわざとさっきのやり取りをした。
私の言葉で砂川さんがどんな反応をするのかが見たかったから。
“これは絶対に頷く”
そうとしか思えないくらい砂川さんは動揺している。
スーツのジャケットにより下半身はどうなっているのかは判断出来ないけれど、私の提案に揺らいでいるのは明らかだった。
1人掛けのソファーの向こう側に立った砂川さんに向かってまた1歩、近付く。
そしたら砂川さんは慌てて後退っていく。
まるでどっちが男でどっちが女か分からないような構図に心の中で笑う。
私はお母さんのお腹の中に男のモノを忘れただけで、本当は男だったのだと変な自覚をしながら。
「砂川さん、私はエッチがしたいです。」
揺らぎまくっている砂川さんに笑顔を作り嘘を言う。
「私は性欲が強いんです。」
そんな嘘をついた後にこの言葉を続ける。
「でも1度も男の人とエッチをすることなくこの人生が終わるのだと覚悟もしていました。
男の人とエッチが出来る機会があるのなら私はエッチがしたいです。」
これは本当のことだった。
これはずっと思ってきたことだった。
こんな私でも普通の男女の恋愛や結婚、男女のエッチには他の女の子達と同じように興味があった。
いや、普通の女の子達以上に興味があるのかもしれない。
“私はそれらが出来ないまま終わる”
その覚悟をしている分、普通の女の子達以上に興味を持ってしまっている気がする。
だって今日で会うのが2回目の砂川さんを目の前に私はこんなにも“エッチがしたい”と思っている。
“どうしてもエッチがしたい”と、そう強く思ってしまう。
その気持ちを自覚しながら、私は笑顔を作る。
お客様達を頷かせ、沢山の契約書に判を押させてきた私の武器でもあるこの顔とこの笑顔で砂川さんに笑い掛ける。
「砂川さん、私エッチがしたい。」
“頷く”と・・・“絶対に頷く”と、そう思った。
だって砂川さんのあの反応は絶対に“そういう反応”だったから。
営業として培ってきたこの目で見た砂川さんの反応は、どこをどう見ても“そういう反応”だった。
笑顔を作り続けたまま1人掛けのソファーの向こう側に立つ砂川さんのことを見詰めていると、砂川さんは私の顔を真剣な顔でジッと見詰め・・・
そして、困ったように笑って口を開いた。
「俺は付き合う女の子としかセックスはしないよ。」
研修で営業を経験しているとはいえ今は財務部の配属になっている砂川さん。
めっちゃ変な人ではあるけれどもっと変わっているお客様を私は何人も頷かせてきた。
凄く驚いた顔で私のことを見上げている砂川さんのことを見下ろしながら続ける。
「砂川さんは私のことが普通の女の子に見えているんですよね?」
「それは・・・当たり前だよ。
化粧もしているし髪の毛も短いけど女の髪型だし顔の作りもちゃんと女だし・・・。」
砂川さんの視線が私の顔から身体の方へゆっくりと移っていく。
「昨日はスーツだったけどスカートだったし、今日もワンピースを着ている。
それに高い靴も履いていたしそもそも骨格が女の骨格だからね。」
そんな理由で私のことを“女の子”だと言っていたことについては悲しい気持ちにもなるけれど、それで終わりにすることなく気持ちを維持したまま何度も頷く。
その頷きは砂川さんの言葉に対しての頷きではない。
“まだ攻められる”と自分自身に言い聞かせる為の頷き。
「砂川さん以外の人は私のことが女ではなく男に見えるらしいです。
ちゃんと女の格好をしているのに私は女ではなく男なんです。」
砂川さんに一歩、近付く。
「ソコ、私が処理します。」
スーツのジャケットの下にあるであろう砂川さんの下半身を指差す。
「私が変な話をしたせいで砂川さんのモノが反応してしまいました。
そういう欲がないはずの砂川さんのモノが反応してしまったなんて、私の責任は重大です。
砂川さんは幸い私のことを女として認識出来るようですし、私が責任を持って処理します。」
「それはいいよ。」
「はい、じゃあ始めます。」
「え・・・。」
砂川さんはスーツのジャケットを手に持ち慌てたように立ち上がった。
大慌ての顔をしている砂川さんに笑顔を作り口にする。
“攻められる”としか思えないくらいの反応で、私の心はどんどん興奮していく。
これから起きるであろう“初めて”のことに向かい興奮していってしまう。
「“いいよ”って言ってくれましたよね?」
「その“いいよ”はそういう“いいよ”ではなくて・・・。
“結構です”の“いいよ”だよ。」
「断る時はちゃんと断らないとダメですよ。
営業の研修、ちゃんとやってましたか?」
分かっていたけれどわざとさっきのやり取りをした。
私の言葉で砂川さんがどんな反応をするのかが見たかったから。
“これは絶対に頷く”
そうとしか思えないくらい砂川さんは動揺している。
スーツのジャケットにより下半身はどうなっているのかは判断出来ないけれど、私の提案に揺らいでいるのは明らかだった。
1人掛けのソファーの向こう側に立った砂川さんに向かってまた1歩、近付く。
そしたら砂川さんは慌てて後退っていく。
まるでどっちが男でどっちが女か分からないような構図に心の中で笑う。
私はお母さんのお腹の中に男のモノを忘れただけで、本当は男だったのだと変な自覚をしながら。
「砂川さん、私はエッチがしたいです。」
揺らぎまくっている砂川さんに笑顔を作り嘘を言う。
「私は性欲が強いんです。」
そんな嘘をついた後にこの言葉を続ける。
「でも1度も男の人とエッチをすることなくこの人生が終わるのだと覚悟もしていました。
男の人とエッチが出来る機会があるのなら私はエッチがしたいです。」
これは本当のことだった。
これはずっと思ってきたことだった。
こんな私でも普通の男女の恋愛や結婚、男女のエッチには他の女の子達と同じように興味があった。
いや、普通の女の子達以上に興味があるのかもしれない。
“私はそれらが出来ないまま終わる”
その覚悟をしている分、普通の女の子達以上に興味を持ってしまっている気がする。
だって今日で会うのが2回目の砂川さんを目の前に私はこんなにも“エッチがしたい”と思っている。
“どうしてもエッチがしたい”と、そう強く思ってしまう。
その気持ちを自覚しながら、私は笑顔を作る。
お客様達を頷かせ、沢山の契約書に判を押させてきた私の武器でもあるこの顔とこの笑顔で砂川さんに笑い掛ける。
「砂川さん、私エッチがしたい。」
“頷く”と・・・“絶対に頷く”と、そう思った。
だって砂川さんのあの反応は絶対に“そういう反応”だったから。
営業として培ってきたこの目で見た砂川さんの反応は、どこをどう見ても“そういう反応”だった。
笑顔を作り続けたまま1人掛けのソファーの向こう側に立つ砂川さんのことを見詰めていると、砂川さんは私の顔を真剣な顔でジッと見詰め・・・
そして、困ったように笑って口を開いた。
「俺は付き合う女の子としかセックスはしないよ。」
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