上 下
84 / 226
5

5-10

しおりを挟む
アヤメさんが一歩だけ私に近付き、私の左の二の腕に手を添えた。



「私からは、“少しの度胸”を。」



ぼやける世界の中、その言葉を聞き・・・その言葉が私の心に重なった・・・。



「本当は沢山の度胸だと良いんだけど、私には“少しの度胸”しかないから。
“女は度胸”なんて言うくらいだけど、私には1人で面接にも来られないくらいの“少しの度胸”しかないから。」



その言葉が私の心に重なり、泣きそうになった・・・。



そして、明さんも一歩だけ前に出て・・・私の右手の二の腕に優しく手を添える。




「あたしからは、“少しの女らしさ”!!」




その言葉も私の心に重なり、泣きそうになる・・・。




「あたしも、本当は沢山の女らしさをあげたいところだけど・・・。
あたしは“ゲイ”だから!!
だから、“少しの女の子らしさ”!!」




明さんのその言葉も、その言葉も、私の心に重なる・・・。





ぼやける世界の中、いつもよりもっとぼやけているような気がする・・・。





そんな世界の中、2人を見る・・・。






「採用です・・・。
お二人とも、採用です・・・。」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

女子に虐められる僕

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:2,186pt お気に入り:18

俺様系和服社長の家庭教師になりました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:448

大好きすぎて殺したい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:0

私、あなた達の味方ではないから。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:163pt お気に入り:448

初耳なのですが…、本当ですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:1,205

処理中です...