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第62話 文化祭実行委員会
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美沙希とカズミにとって、忙しい日々がつづいた。
1年1組文化祭コアメンバーとの打ち合わせ、勉強、そして釣り。
小鳥遊からカズミに連絡があり、9月の取材は第2日曜日に行うことが決まった。これも忙しさに拍車をかける。
第2火曜日には、文化祭実行委員会の開催があった。生徒会メンバー、文化部の代表者、全クラスの委員が視聴覚室に集まった。
当然、美沙希とカズミも出席しなければならなかった。美沙希は視聴覚室の末席で震えていた。カズミが一緒でなければ、逃げ出していたにちがいない。
「私は生徒会長の泉カナです。文化祭実行委員会事務局長を兼ねています。所属は2年3組。よろしくお願いします。
これまで文化祭の準備は、生徒会、文化部の部長、2年生の委員を中心に行ってきました。これからは3年生と1年生の委員にも加わってもらって、準備をしていきます。必要に応じて、全体会議を開催します。まあ、だいたいは生徒会と文化部で仕切るから、各クラスの委員は自分のクラスのことだけ進めてもらえばいいです。安心してください。
我らが水郷高校の文化祭は、この地域の風物詩のひとつです。盛り上げていくわよ!」
生徒会長は金髪碧眼の美人だった。彼女にも白人の血が混じっているのだろうか、と美沙希とカズミは思った。
「僕は文化祭実行委員長の星村銀河です。文芸部長でもあります。2年3組です。委員長なんかやりたくなかったんだけど、幼なじみのカナちゃんにうまく丸め込まれて、やるはめになりました。やるからには一生懸命にやります。ま、カナちゃんの傀儡なんだけど……」
「それは言わないでよ! 事実だとしても!」
「ご、ごめん、カナちゃん」
委員長はハンサムというより、かわいいという感じの男子生徒だった。
ふたりはつきあっているのだろうか、と美沙希とカズミは思った。ものすごく仲がよさそうだ。
文化祭実行委員会では、文化祭の予算分配、必要物品の購入、今後の日程、地域への協力依頼、広報、装飾、受付、案内、警備など、さまざまなことが話し合われた。
1年1組の釣り展示は無事に承認された。説明はカズミがした。予算は1万5千円が分配されることになった。領収書と引き換えに、使用した分だけ文化祭実行委員会の会計から支払われる。
美沙希はひと言もしゃべっていないのに、緊張して、ぐったりと疲れ果ててしまった。
終了後、美沙希はカズミに愚痴った。
「私には無理……。つづけられない……」
「何もしなくていいよ。あたしが全部やるから」
「聞いているだけで死にそう……」
「そこだけはがんばって。社会勉強だと思ってさ」
「社会……。絶望した……」
顔面蒼白の美沙希もかわいい。
カズミは生涯をかけて彼女を守りたいと思った。どうしようもなく好きだった。
なんでこんなに美沙希を愛しているのだろう?
きっかけはひとめ惚れだった。
でもいまは容姿だけじゃない。彼女のすべてが愛おしい。理由なんかわからない。いつからそうなったのかもわからなかった。
1年1組文化祭コアメンバーとの打ち合わせ、勉強、そして釣り。
小鳥遊からカズミに連絡があり、9月の取材は第2日曜日に行うことが決まった。これも忙しさに拍車をかける。
第2火曜日には、文化祭実行委員会の開催があった。生徒会メンバー、文化部の代表者、全クラスの委員が視聴覚室に集まった。
当然、美沙希とカズミも出席しなければならなかった。美沙希は視聴覚室の末席で震えていた。カズミが一緒でなければ、逃げ出していたにちがいない。
「私は生徒会長の泉カナです。文化祭実行委員会事務局長を兼ねています。所属は2年3組。よろしくお願いします。
これまで文化祭の準備は、生徒会、文化部の部長、2年生の委員を中心に行ってきました。これからは3年生と1年生の委員にも加わってもらって、準備をしていきます。必要に応じて、全体会議を開催します。まあ、だいたいは生徒会と文化部で仕切るから、各クラスの委員は自分のクラスのことだけ進めてもらえばいいです。安心してください。
我らが水郷高校の文化祭は、この地域の風物詩のひとつです。盛り上げていくわよ!」
生徒会長は金髪碧眼の美人だった。彼女にも白人の血が混じっているのだろうか、と美沙希とカズミは思った。
「僕は文化祭実行委員長の星村銀河です。文芸部長でもあります。2年3組です。委員長なんかやりたくなかったんだけど、幼なじみのカナちゃんにうまく丸め込まれて、やるはめになりました。やるからには一生懸命にやります。ま、カナちゃんの傀儡なんだけど……」
「それは言わないでよ! 事実だとしても!」
「ご、ごめん、カナちゃん」
委員長はハンサムというより、かわいいという感じの男子生徒だった。
ふたりはつきあっているのだろうか、と美沙希とカズミは思った。ものすごく仲がよさそうだ。
文化祭実行委員会では、文化祭の予算分配、必要物品の購入、今後の日程、地域への協力依頼、広報、装飾、受付、案内、警備など、さまざまなことが話し合われた。
1年1組の釣り展示は無事に承認された。説明はカズミがした。予算は1万5千円が分配されることになった。領収書と引き換えに、使用した分だけ文化祭実行委員会の会計から支払われる。
美沙希はひと言もしゃべっていないのに、緊張して、ぐったりと疲れ果ててしまった。
終了後、美沙希はカズミに愚痴った。
「私には無理……。つづけられない……」
「何もしなくていいよ。あたしが全部やるから」
「聞いているだけで死にそう……」
「そこだけはがんばって。社会勉強だと思ってさ」
「社会……。絶望した……」
顔面蒼白の美沙希もかわいい。
カズミは生涯をかけて彼女を守りたいと思った。どうしようもなく好きだった。
なんでこんなに美沙希を愛しているのだろう?
きっかけはひとめ惚れだった。
でもいまは容姿だけじゃない。彼女のすべてが愛おしい。理由なんかわからない。いつからそうなったのかもわからなかった。
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