61 / 78
第61話 西川西湖
しおりを挟む
翌日の放課後、真央は美沙希とカズミと佐藤、それにもうひとりの女子生徒を招集して、文化祭の打ち合わせを行った。
「川村さんとは話したことがないから、改めて自己紹介しますねっ。西川西湖ですっ。佐藤、また名前で笑いましたね。殺すよっ!」
西湖は赤渕眼鏡をかけた小柄な少女。銀色の髪を腰のあたりまで伸ばしている。
「よく訊かれるんだけど、この髪の毛は遺伝ですっ。染めているわけじゃありません。ボクのお祖母ちゃんがフィンランド人なのっ」
よく動く活発な瞳は青い。鼻が低いが、可愛らしい顔立ちをしている。鼻と背丈だけが日本人的。その他は北欧人的。きわめて個性的な女の子だ。
「趣味はタナゴ。タナゴ釣り、タナゴの飼育、タナゴの鑑賞。ここにも小さな釣りガールがいるのですよっ。えっへん」
「文化祭はとても忙しい行事よ。高校最大のイベントと言っても過言ではない。そこで、西湖ちゃんにも協力してもらうことにしたの。ここにいる5人をコアメンバーとして、1年1組の釣り展示を成功させたいと思う」と真央は言った。
美沙希は元気があり余っている雰囲気の西湖を見て、あからさまに怯えていた。
西湖が美沙希に接近し、彼女の手を取った。
「美沙希ちゃん、前からお話したいと思っていたんですっ。きれいですよねっ、あなた。実は隠れファンでしたっ」
「ちょっと、近いわよ、西川さん! 美沙希から離れてっ!」
「あれっ、嫉妬ですかっ、カズミちゃん。あと、ボクのことは西湖ちゃんと呼んでくださいと何度もお願いしていますよね。頼みますっ」
「西湖ちゃん、美沙希から距離を取って。震えているわよっ!」
「あれっ、ごめんなさい」と言いつつ、西湖は美沙希から離れず、その手をさらにギュッと強く握った。
西湖は青い瞳で美沙希の黒い瞳を覗き込んだ。
「ボクのことは西湖ちゃんって呼んでくださいねっ」
「さ、さ、西湖ちゃん、手を離して……」
「うふふっ、離しますよ」
むずかしい人間関係を形成してしまったかな、と真央は思ったが、タナゴが趣味の西湖が必要なメンバーだとの認識は変わらない。
心の奥底では、美沙希と西湖がつながり、私とカズミが結びついたら最高かも、という想いがある。
カズミは鬼のような形相で、しれっとしている西湖を睨んでいた。
「川村さんとは話したことがないから、改めて自己紹介しますねっ。西川西湖ですっ。佐藤、また名前で笑いましたね。殺すよっ!」
西湖は赤渕眼鏡をかけた小柄な少女。銀色の髪を腰のあたりまで伸ばしている。
「よく訊かれるんだけど、この髪の毛は遺伝ですっ。染めているわけじゃありません。ボクのお祖母ちゃんがフィンランド人なのっ」
よく動く活発な瞳は青い。鼻が低いが、可愛らしい顔立ちをしている。鼻と背丈だけが日本人的。その他は北欧人的。きわめて個性的な女の子だ。
「趣味はタナゴ。タナゴ釣り、タナゴの飼育、タナゴの鑑賞。ここにも小さな釣りガールがいるのですよっ。えっへん」
「文化祭はとても忙しい行事よ。高校最大のイベントと言っても過言ではない。そこで、西湖ちゃんにも協力してもらうことにしたの。ここにいる5人をコアメンバーとして、1年1組の釣り展示を成功させたいと思う」と真央は言った。
美沙希は元気があり余っている雰囲気の西湖を見て、あからさまに怯えていた。
西湖が美沙希に接近し、彼女の手を取った。
「美沙希ちゃん、前からお話したいと思っていたんですっ。きれいですよねっ、あなた。実は隠れファンでしたっ」
「ちょっと、近いわよ、西川さん! 美沙希から離れてっ!」
「あれっ、嫉妬ですかっ、カズミちゃん。あと、ボクのことは西湖ちゃんと呼んでくださいと何度もお願いしていますよね。頼みますっ」
「西湖ちゃん、美沙希から距離を取って。震えているわよっ!」
「あれっ、ごめんなさい」と言いつつ、西湖は美沙希から離れず、その手をさらにギュッと強く握った。
西湖は青い瞳で美沙希の黒い瞳を覗き込んだ。
「ボクのことは西湖ちゃんって呼んでくださいねっ」
「さ、さ、西湖ちゃん、手を離して……」
「うふふっ、離しますよ」
むずかしい人間関係を形成してしまったかな、と真央は思ったが、タナゴが趣味の西湖が必要なメンバーだとの認識は変わらない。
心の奥底では、美沙希と西湖がつながり、私とカズミが結びついたら最高かも、という想いがある。
カズミは鬼のような形相で、しれっとしている西湖を睨んでいた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
女の子なんてなりたくない?
我破破
恋愛
これは、「男」を取り戻す為の戦いだ―――
突如として「金の玉」を奪われ、女体化させられた桜田憧太は、「金の玉」を取り戻す為の戦いに巻き込まれてしまう。
魔法少女となった桜田憧太は大好きなあの娘に思いを告げる為、「男」を取り戻そうと奮闘するが……?
ついにコミカライズ版も出ました。待望の新作を見届けよ‼
https://www.alphapolis.co.jp/manga/216382439/225307113
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる