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第58話 夏休みは終わる。青春は終わらない。
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夏休みの宿題、残りは現代社会のレポートと読書感想文だ。
8月30日。休みはあと2日しかない。
「これは写したら、バレるよね」
「確実にバレる。全部やるしかない」
「現代社会からやろうかな。憲法について、ネットで調べるよ」
「一緒に調べよう」
ふたりはスマホで日本国憲法と大日本帝国憲法について調べた。
日本国憲法では、主権は国民にあり、天皇は国民統合の象徴であり、戦力は保持せず、基本的人権を保障している。
大日本帝国憲法では、主権は天皇にあり、天皇は国家元首であり、陸海軍を保有し、国民には兵役の義務があり、人権は法律の範囲内に制限される。
ふたりはレポートに取りかかった。
約1200字のレポートを書くのに丸1日かかった。
8月31日、夏休み最後の日。
日本文学と外国文学の読書感想文を書かなくてはならない。
「1日では無理だ……」とカズミはうめいた。
「やるの。午前と午後でひとつずつ書けば終わる」
「本を読まなきゃ読書感想文は書けないのよ。美沙希はどの本の感想を書くか決めているの?」
「決めてない」
「そっからかよ。あたしは決めているよ。日本文学は宮澤伊織の『裏世界ピクニック』、外国文学は『グリム童話』。ふたつとも読了済み」
「カズミに負けてる……」と美沙希はうめいた。テンパっていて、「童話かよ!」と突っ込むこともできなかった。
カズミは読書感想文を書き始めた。
美沙希は本棚をのぞき、どの本の感想を書くか考えた。
日本文学は開高健の『オーパ!』、外国文学はヘミングウェイの『老人と海』にした。どちらの本も何回も読み返し、内容は頭に入っている。
美沙希は本の感想というより、釣りがいかに楽しく、人生にとって有意義であるかについて、主に自分自身の体験から書いた。感想は付け足していった。
読書感想文を書き上げるのは容易ではなかった。
カズミは苦労しながら、午後5時に『裏世界ピクニック』の感想文を仕上げ、美沙希は午後7時に『オーパ!』の感想文を書き終えた。
外国文学の感想文を書くのは夜になった。
彼女たちはコンビニで買ったサンドイッチを食べながら、文章を書きつづけた。ふたりとも疲れ果てていた。
午後11時、カズミは『グリム童話』の感想文を書き終えた。そして、美沙希のようすを見た。
彼女はまだ文章を書きつづけていた。
午後12時になっても終わらず、日付が9月1日に変わった。
カズミはお風呂に入った。出てきたときも、まだ美沙希は国語の宿題に取り組んでいた。彼女の顔は青白く、目の下には隈ができていた。
「ちくしょう。文が思い浮かばない……」
カズミは漫画を読みながら、美沙希の宿題が終わるのを待った。
「終わった……」と美沙希が言ったのは、午前2時のことだった。
美沙希もお風呂に入った。身体を清め、湯船から出て、バスタオルで肌についた水滴を拭き取り、パジャマを着た。
「終わったね、宿題」とカズミが美沙希に声をかけた。
「全部終わった……。疲れた……」
「22日からずっと勉強ばっかり。遊べなかったね」
「明日から遊ぶ」
「もう今日だけどね」
「そっか……」
美沙希がベッドに倒れ込んだ。
カズミはその隣に寝転んだ。
ふたりはずっと同じベッドで眠っている。
9月1日午前3時、釣りガールズは短い眠りに就いた。
目覚まし時計は7時にセットしてある。
夏休みは終わったが、ふたりの青春は終わらない。
始まったばかりだ。
8月30日。休みはあと2日しかない。
「これは写したら、バレるよね」
「確実にバレる。全部やるしかない」
「現代社会からやろうかな。憲法について、ネットで調べるよ」
「一緒に調べよう」
ふたりはスマホで日本国憲法と大日本帝国憲法について調べた。
日本国憲法では、主権は国民にあり、天皇は国民統合の象徴であり、戦力は保持せず、基本的人権を保障している。
大日本帝国憲法では、主権は天皇にあり、天皇は国家元首であり、陸海軍を保有し、国民には兵役の義務があり、人権は法律の範囲内に制限される。
ふたりはレポートに取りかかった。
約1200字のレポートを書くのに丸1日かかった。
8月31日、夏休み最後の日。
日本文学と外国文学の読書感想文を書かなくてはならない。
「1日では無理だ……」とカズミはうめいた。
「やるの。午前と午後でひとつずつ書けば終わる」
「本を読まなきゃ読書感想文は書けないのよ。美沙希はどの本の感想を書くか決めているの?」
「決めてない」
「そっからかよ。あたしは決めているよ。日本文学は宮澤伊織の『裏世界ピクニック』、外国文学は『グリム童話』。ふたつとも読了済み」
「カズミに負けてる……」と美沙希はうめいた。テンパっていて、「童話かよ!」と突っ込むこともできなかった。
カズミは読書感想文を書き始めた。
美沙希は本棚をのぞき、どの本の感想を書くか考えた。
日本文学は開高健の『オーパ!』、外国文学はヘミングウェイの『老人と海』にした。どちらの本も何回も読み返し、内容は頭に入っている。
美沙希は本の感想というより、釣りがいかに楽しく、人生にとって有意義であるかについて、主に自分自身の体験から書いた。感想は付け足していった。
読書感想文を書き上げるのは容易ではなかった。
カズミは苦労しながら、午後5時に『裏世界ピクニック』の感想文を仕上げ、美沙希は午後7時に『オーパ!』の感想文を書き終えた。
外国文学の感想文を書くのは夜になった。
彼女たちはコンビニで買ったサンドイッチを食べながら、文章を書きつづけた。ふたりとも疲れ果てていた。
午後11時、カズミは『グリム童話』の感想文を書き終えた。そして、美沙希のようすを見た。
彼女はまだ文章を書きつづけていた。
午後12時になっても終わらず、日付が9月1日に変わった。
カズミはお風呂に入った。出てきたときも、まだ美沙希は国語の宿題に取り組んでいた。彼女の顔は青白く、目の下には隈ができていた。
「ちくしょう。文が思い浮かばない……」
カズミは漫画を読みながら、美沙希の宿題が終わるのを待った。
「終わった……」と美沙希が言ったのは、午前2時のことだった。
美沙希もお風呂に入った。身体を清め、湯船から出て、バスタオルで肌についた水滴を拭き取り、パジャマを着た。
「終わったね、宿題」とカズミが美沙希に声をかけた。
「全部終わった……。疲れた……」
「22日からずっと勉強ばっかり。遊べなかったね」
「明日から遊ぶ」
「もう今日だけどね」
「そっか……」
美沙希がベッドに倒れ込んだ。
カズミはその隣に寝転んだ。
ふたりはずっと同じベッドで眠っている。
9月1日午前3時、釣りガールズは短い眠りに就いた。
目覚まし時計は7時にセットしてある。
夏休みは終わったが、ふたりの青春は終わらない。
始まったばかりだ。
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