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第2章 お前の毒牙になら喜んで。
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しおりを挟む目の前に横たわる女はぐっすりと眠っていて、息をするたびに胸元が上下に動いている。ふわふわの髪の毛も自然な睫毛も、これまで触れてきた女とは違い過ぎた。恐る恐る伸ばした右手を沙也加の頬に当てると、柔らかい弾力が押し返している。
「んんぅ」
気持ちよさそうに寝返りを打つ沙也加から目が放せなくなっている。小さく寝言をこぼす柔らかそうな唇が誘う様にぱくぱくと動く。花に惹きつけられた蝶のようにゆっくりと顔を近付ける。美味しそうな蜜の香りは赤い唇の向こうに・・・。吸い込まれるように口付けを落とした。これまで長きにわたり貴臣を苦しめてきた吐き気は込み上げてこない。
夢中で唇に吸い付いていた。無防備に見えて侵入を許さない唇に苛立ちを覚えながら、やり場のない高ぶる想いが全て溢れてしまいそうだった。
時刻は0時を回りそうだった。片付けなければならない仕事も残っている。それでも極上の誘惑が目の前に横たわっているのに、この時間を無駄に出来るはずなど無かった。
「おい、起きろ。・・・おい?」
起こしたいのか、このまま口付けていたいのか曖昧な気持ちから出たのは、小さく消え入りそうな声だった。なんと寝つきのいい女なのか、この数時間起きる気配は無い。もし、起きたらなんと言おうか。考えながらも、口付けの甘美な刺激にいい考えが思いつかない。
「んんっ」
突然もがきだした沙也加の腕を押さえつけると、更なる征服欲と罪悪感を掻き立てられる。沙也加は パニックになっているのか、鼻呼吸を忘れて必死に息をしようと唇を開けた。その機を逃すはずもなくぬるりと侵入させた舌は、逃げ惑う甘い舌を絡めとる。求めれば求めるほど、麻薬の様に貴臣を魅了していく。
「あ、の・・・どなたですか?」
初めて自分に向けらる言葉がこんなものだとは思わなかった。乱れた呼吸を隠すように、息を飲みながら話す沙也加に何を言うのが正解だったのかはわからない。ただ、無意識に、逃げられないように、恐れおののきながら私を求めるように。
「___お前のご主人様」
さあ、従え。
今は恐れでもいいから、いつかその柔らかな唇で私の名を呼んでくれ。
甘く囀るように、私の隣で笑ってくれ。
酷く身勝手な私を、呪いながら愛してくれ。
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