真っ白子犬の癒やし方

雨宮くもり

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10 光の矢

10-2 恥辱

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(……いつになったら終わるんだ……クソッ……)


 やっと引き抜かれたかと思えば、数秒もたたないうちに違う温度のものがねじこまれ、また揺さぶられる。
 いっそ理性を失いたいと願っても、時折スフェーンの声が聞こえる度『屈してたまるか』という思いが燃え上がる。

「あはんっ、あは、あう、……くっ、あぐっ、アっア、あーーーーー!!」

 だが、一番燃えているのは腹の奥のほう。そそぎこまれた薬のせいで強制的に熱を発しているそこは、男たちの欲望をあびせかけられるたびにさらに温度が上がっていく。

「はあっ、は……あ、う、ん、あ!」

 永遠に肉体を焦がし続けるように思えた頃、俺の上に乗ったのはスフェーンだった。周りにはもう誰の気配もしない。
 汗と涙でじっとりと濡れた目隠しを外してきたかと思えば、頬に手を添えて強制的に俺と目を合わせてくる。


「キミのおかげで今夜はちっともさびしくなかったよ。どうもありがとう」


 いつもは焦点の合わないスフェーンの瞳が、そのときだけはハッキリと俺をとらえていた。

 俺はもはや、口をきく余力すら残っていなかった。息を吸って吐くだけで必死だった。
 スフェーンはゆったりと微笑むと、熱い吐息に吸い寄せられたように唇を重ねてきた。

 スフェーンの手ほどきは他の男とは比べ物にならないほど優しいものだった。
 荒々しく犯され続けた最後に、甘く抱かれながら果てるのは一番の恥辱に等しい。


「あっ、あは、う、あ……」

「……っ、く、……ツゲ殿ッ、は……くっ……」


 ねちっこく腰を揺らすスフェーンが時折、天井を見上げながらツゲの名を口にしていたのは、気を失う寸前の幻聴だったのかもしれない──。

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