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29.緊急会議
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今日も研究所では、朝から緊急会議が開かれている。
昨日と違うのは、私もその場にいるということ。
事の始まりは、魔族たちの研究所への突然の来訪だった──
傷だらけで疲弊しきった魔族たち。
その中に、見知った顔があった。
銀髪の魔族に抱えられていたのはゼヴォスさん。
見るからに重傷で、今にも命の灯が消えそうだった。
迷う暇はなかった。
勝手な判断だったけど、私はグランド・ヒールを唱え、ゼヴォスさんを含む魔族たちの傷を癒した。
間に合わず後悔するのはもう嫌だったから……説教なら、あとでいくらでも受けるつもりだった。
でも、フィオルさんはそれに対して何も言わなかった。叱ることも咎めることもなく、ただじっと私のことを見ていた。
「……迷惑をかけてすまない」
ゼヴォスさんの静かな声が会議室に響く。
そこには、傷が癒えたばかりのゼヴォスさんと、彼の側近であるダリオスさんの姿があった。
ダリオスさんは、ゼヴォスさんを抱えていた銀髪の魔族。
二人はここへ来るまでに何があったのか、そのすべてを語り始めた。
「……ゼルナートの王は、狂っている」
ダリオスさんから静かに語られる言葉とは裏腹に、その声音には怒りと悔しさが滲んでいた。
魔王軍はゼルナートへの侵攻を開始した。
だけど、結局それは失敗に終わってしまう。
そこにいたとある人物により想定外の強力な魔法が魔王軍のもとに降り注ぎ、圧倒的な力で蹂躙されてしまったんだ。
「まさか、奴らが勇者の召喚に成功していたとは……」
その場にいる全員が息を呑んだ。
聖女の召喚に続き、勇者までをも呼び寄せていたゼルナート。
異世界の人間をこちらに召喚するには膨大な犠牲を伴う必要があるらしく、それを二度にも渡って行ったという事実がゼルナートの愚かな王の異常性を浮き彫りにしていた。
「……すまない、ミア。
お前の友の仇を討つことはできなかった」
ゼヴォスさんのその言葉を聞いて私は胸を締め付けられた。
私がゼヴォスさんと初めて会った日、魔王である彼にセス君のことを問い詰めたことがある。
勘違いしていたとはいえ、その時私は酷い態度を取ってしまったというのに、ゼヴォスさんはそのことを覚えていてくれたのか……。
「魔王としては、お前とはもう会うつもりは無かったのだがな……」
それは、以前にゼヴォスさんが私に言い残した言葉。
私も、ゼヴォスさんとは二度と会えないと思っていた。
「こんな形でなくても、私はまたゼヴォスさんに会いたいと思っていました」
「フッ……運命とは、思い通りにはならんものよ」
本当にゼヴォスさんが助かってよかったと思う。
大目標がゼルナートの支配から魔物たちを解放することだったとしても、まさかセス君の仇も取ってくれようとしていたなんて……。
ゼヴォスさんは、私が子供の頃に読んでいた絵本や民間に伝わる伝説に出てくる魔王とは全く違う。
昔の魔王はそうだったかもしれないけど、この人は無闇な殺戮や破壊を望むような人じゃない。
「我が国はあちらと手を切って正解だったようだな」
声がした方を向くと、いつの間にか王様先輩が側近の人と近衛兵たちを引き連れて会議室に来ていた。
「魔族の王、ゼヴォスよ。私はこの国の王、ファルディオスだ」
「初めてお目にかかる。エルデリアの王、ファルディオス」
「今回の問題は、我々だけで片付く問題ではないのでな。あらかじめ国王も呼んでおいた」
ここから先は、上層部だけでの話し合いが行われるみたいだ。
課長以下、私たちは退室し、あとは成り行きを見守ることになった。
どんな決定が下るのかはわからないけど、いよいよゼルナートとの本格的な戦争が始まるのかもしれない。
「フィオルさん……決定を待たずに魔法を使ってすみませんでした」
「ミアがやらなきゃ俺がやってた……だから、気に病むことはないよ。心配だったけど、魔力切れも無かったみたいだし」
事務所に向かう途中、私たちは研究所内にある噴水広場に立ち寄った。
「勇者か……魔王であるゼヴォスさんをあそこまで追い込むとは、とんでもないやつだな……」
「勇者って、カエデと同じ聖属性なんですよね」
「多分な……」
勇者、聖女、伝説ではあと一人、この研究所の創立者、賢者コーデリア。
この三人がかつての魔王を倒した英雄として崇められている。
コーデリアはこの世界の人で、異世界の住人ではなかった。
ゼルナートの王が何を企んでいるのかはわからないけど、伝説通りになぞらえて三人の英雄を揃えているのだとしたら、この世界にいる賢者に準ずる人物を既に擁立しているのかもしれない。
「思えば、あの国に関してはおかしなことが多い。
他国との戦争だって、ずっと長いこと続けていると聞いている。
友好国であったはずのエルデリアにまで粉をかけて、あの国は何をしたいんだろうな……」
「わかりません……だけど、私は本当に怖いのは魔物でも魔族でもなく、人間なんだって思いました」
***
事務所に戻ると、カエデの姿が見当たらなかった。
どこに行っているのかと思ったら、オーウェンさんと一緒に訓練場に行ったらしい。
「聖女の力を目覚めさせて、早くみんなの役に立ちたいんですって」
「オーウェンに聖女の特訓が務まるのか?」
カエデは凄いな……この世界に来たばかりの時は元の世界に帰りたいって言ってたのに、聖女である自分を受け入れることにしたんだ。
私がカエデと同じ立場だったら、そんなふうに行動できていたかわからない。
「俺たちが会議に出てる間、何か依頼はあったか?」
「こちらにはありませんでしたけど、討伐戦術課に依頼が入って、こちらからは治癒士が数名同伴しています」
「戦術課か……何の魔物が出たんだ?」
「雷鳥だと聞いています。村の猟師が被害に遭って、雷による火傷を負ったんだとか」
雷を操る魔物なんているのか。
雷って、一体何属性になるんだろう……。
もしかして、これもゼルナートの王に操られた魔物なのかな……。
「向かったのはリシテアか?」
「今回は違いますね。あちらにも新人がいますから、その方が向かったようです」
「すごい、もう一人で回ってるんですね!」
討伐戦術課の新人さんに会ったことはないけど、時期的にはケイドさんたちと同じくらいか、もう少し後に入ってきた人になるんだよね。
私だって一人で回れるのに半年以上かかったのに、その人よっぽど優秀なんだ。
「うちのケイドも、ヒーリングまで覚えてくれればいつでも独り立ちさせられるんだけどな」
「俺は土属性ですもん! もう少し長い目で見てやってくださいよ」
「自分で言うなよ……」
「戻りましたー!」
「カエデ! お帰りなさい」
訓練場に行っていたカエデが戻ってきた。
オーウェンさんも一緒だ。
「おっ、フィオルにミアも戻って来てたのか」
「カエデの特訓に付き合ってたんだって?」
「ああ。この間、ミアが無詠唱の答えを発見しただろ?
だから、名前と効果はわかっていても詠唱がわからない、文献にあった魔法をいろいろ試して来たんだ」
「そっか、無詠唱ならそういうのも試せますもんね!」
「おかげで結果はバッチリだ。三つの聖魔法を使えるようになったぞ」
三つも!? 一個ずつ覚えていった私とは大違いだ?
やっぱり、聖女って凄いんだね。
「ケイド先輩、そこに立ってみて!」
「俺ですか!? 痛いことしないでくださいよ……」
カエデの魔力が白い光となって手のひらに集まる。
「【ハルモニア】!」
白い光がカエデの手から放たれた。
見た感じはルミナスみたいな魔法だ。
「お、おぉ?」
着弾すると、白い光がケイドさんの身体を包んで消えていった。
「どう? 疲れが取れたでしょ」
「たしかに……」
「ミアのルミナスと似てるな」
「効果はヒールレベルの回復だそうだ。ほとんどルミナスと同じだが、付随効果に肩こりが治るとあるな」
なんて健康的な魔法! さすが聖女!
「他にはオーラっていう身体能力を上げる魔法と、フォースっていう魔力をぶつける攻撃魔法を覚えました!」
「じゃあケイドでフォースとやらも試してみるか?」
「やめてください! 死んでしまいます!」
私も古書店で光属性の魔法の文献を見てみようかな?
もしかすると、何か強力な魔法を習得できるかもしれない。これからのことを考えると、魔法の種類はあって困ることはないから。
魔法が発動できたら、そこから逆算して詠唱を見つけたりってできないんだろうか?
今度、エリオット課長にその辺のことも聞いてみようかな。
昨日と違うのは、私もその場にいるということ。
事の始まりは、魔族たちの研究所への突然の来訪だった──
傷だらけで疲弊しきった魔族たち。
その中に、見知った顔があった。
銀髪の魔族に抱えられていたのはゼヴォスさん。
見るからに重傷で、今にも命の灯が消えそうだった。
迷う暇はなかった。
勝手な判断だったけど、私はグランド・ヒールを唱え、ゼヴォスさんを含む魔族たちの傷を癒した。
間に合わず後悔するのはもう嫌だったから……説教なら、あとでいくらでも受けるつもりだった。
でも、フィオルさんはそれに対して何も言わなかった。叱ることも咎めることもなく、ただじっと私のことを見ていた。
「……迷惑をかけてすまない」
ゼヴォスさんの静かな声が会議室に響く。
そこには、傷が癒えたばかりのゼヴォスさんと、彼の側近であるダリオスさんの姿があった。
ダリオスさんは、ゼヴォスさんを抱えていた銀髪の魔族。
二人はここへ来るまでに何があったのか、そのすべてを語り始めた。
「……ゼルナートの王は、狂っている」
ダリオスさんから静かに語られる言葉とは裏腹に、その声音には怒りと悔しさが滲んでいた。
魔王軍はゼルナートへの侵攻を開始した。
だけど、結局それは失敗に終わってしまう。
そこにいたとある人物により想定外の強力な魔法が魔王軍のもとに降り注ぎ、圧倒的な力で蹂躙されてしまったんだ。
「まさか、奴らが勇者の召喚に成功していたとは……」
その場にいる全員が息を呑んだ。
聖女の召喚に続き、勇者までをも呼び寄せていたゼルナート。
異世界の人間をこちらに召喚するには膨大な犠牲を伴う必要があるらしく、それを二度にも渡って行ったという事実がゼルナートの愚かな王の異常性を浮き彫りにしていた。
「……すまない、ミア。
お前の友の仇を討つことはできなかった」
ゼヴォスさんのその言葉を聞いて私は胸を締め付けられた。
私がゼヴォスさんと初めて会った日、魔王である彼にセス君のことを問い詰めたことがある。
勘違いしていたとはいえ、その時私は酷い態度を取ってしまったというのに、ゼヴォスさんはそのことを覚えていてくれたのか……。
「魔王としては、お前とはもう会うつもりは無かったのだがな……」
それは、以前にゼヴォスさんが私に言い残した言葉。
私も、ゼヴォスさんとは二度と会えないと思っていた。
「こんな形でなくても、私はまたゼヴォスさんに会いたいと思っていました」
「フッ……運命とは、思い通りにはならんものよ」
本当にゼヴォスさんが助かってよかったと思う。
大目標がゼルナートの支配から魔物たちを解放することだったとしても、まさかセス君の仇も取ってくれようとしていたなんて……。
ゼヴォスさんは、私が子供の頃に読んでいた絵本や民間に伝わる伝説に出てくる魔王とは全く違う。
昔の魔王はそうだったかもしれないけど、この人は無闇な殺戮や破壊を望むような人じゃない。
「我が国はあちらと手を切って正解だったようだな」
声がした方を向くと、いつの間にか王様先輩が側近の人と近衛兵たちを引き連れて会議室に来ていた。
「魔族の王、ゼヴォスよ。私はこの国の王、ファルディオスだ」
「初めてお目にかかる。エルデリアの王、ファルディオス」
「今回の問題は、我々だけで片付く問題ではないのでな。あらかじめ国王も呼んでおいた」
ここから先は、上層部だけでの話し合いが行われるみたいだ。
課長以下、私たちは退室し、あとは成り行きを見守ることになった。
どんな決定が下るのかはわからないけど、いよいよゼルナートとの本格的な戦争が始まるのかもしれない。
「フィオルさん……決定を待たずに魔法を使ってすみませんでした」
「ミアがやらなきゃ俺がやってた……だから、気に病むことはないよ。心配だったけど、魔力切れも無かったみたいだし」
事務所に向かう途中、私たちは研究所内にある噴水広場に立ち寄った。
「勇者か……魔王であるゼヴォスさんをあそこまで追い込むとは、とんでもないやつだな……」
「勇者って、カエデと同じ聖属性なんですよね」
「多分な……」
勇者、聖女、伝説ではあと一人、この研究所の創立者、賢者コーデリア。
この三人がかつての魔王を倒した英雄として崇められている。
コーデリアはこの世界の人で、異世界の住人ではなかった。
ゼルナートの王が何を企んでいるのかはわからないけど、伝説通りになぞらえて三人の英雄を揃えているのだとしたら、この世界にいる賢者に準ずる人物を既に擁立しているのかもしれない。
「思えば、あの国に関してはおかしなことが多い。
他国との戦争だって、ずっと長いこと続けていると聞いている。
友好国であったはずのエルデリアにまで粉をかけて、あの国は何をしたいんだろうな……」
「わかりません……だけど、私は本当に怖いのは魔物でも魔族でもなく、人間なんだって思いました」
***
事務所に戻ると、カエデの姿が見当たらなかった。
どこに行っているのかと思ったら、オーウェンさんと一緒に訓練場に行ったらしい。
「聖女の力を目覚めさせて、早くみんなの役に立ちたいんですって」
「オーウェンに聖女の特訓が務まるのか?」
カエデは凄いな……この世界に来たばかりの時は元の世界に帰りたいって言ってたのに、聖女である自分を受け入れることにしたんだ。
私がカエデと同じ立場だったら、そんなふうに行動できていたかわからない。
「俺たちが会議に出てる間、何か依頼はあったか?」
「こちらにはありませんでしたけど、討伐戦術課に依頼が入って、こちらからは治癒士が数名同伴しています」
「戦術課か……何の魔物が出たんだ?」
「雷鳥だと聞いています。村の猟師が被害に遭って、雷による火傷を負ったんだとか」
雷を操る魔物なんているのか。
雷って、一体何属性になるんだろう……。
もしかして、これもゼルナートの王に操られた魔物なのかな……。
「向かったのはリシテアか?」
「今回は違いますね。あちらにも新人がいますから、その方が向かったようです」
「すごい、もう一人で回ってるんですね!」
討伐戦術課の新人さんに会ったことはないけど、時期的にはケイドさんたちと同じくらいか、もう少し後に入ってきた人になるんだよね。
私だって一人で回れるのに半年以上かかったのに、その人よっぽど優秀なんだ。
「うちのケイドも、ヒーリングまで覚えてくれればいつでも独り立ちさせられるんだけどな」
「俺は土属性ですもん! もう少し長い目で見てやってくださいよ」
「自分で言うなよ……」
「戻りましたー!」
「カエデ! お帰りなさい」
訓練場に行っていたカエデが戻ってきた。
オーウェンさんも一緒だ。
「おっ、フィオルにミアも戻って来てたのか」
「カエデの特訓に付き合ってたんだって?」
「ああ。この間、ミアが無詠唱の答えを発見しただろ?
だから、名前と効果はわかっていても詠唱がわからない、文献にあった魔法をいろいろ試して来たんだ」
「そっか、無詠唱ならそういうのも試せますもんね!」
「おかげで結果はバッチリだ。三つの聖魔法を使えるようになったぞ」
三つも!? 一個ずつ覚えていった私とは大違いだ?
やっぱり、聖女って凄いんだね。
「ケイド先輩、そこに立ってみて!」
「俺ですか!? 痛いことしないでくださいよ……」
カエデの魔力が白い光となって手のひらに集まる。
「【ハルモニア】!」
白い光がカエデの手から放たれた。
見た感じはルミナスみたいな魔法だ。
「お、おぉ?」
着弾すると、白い光がケイドさんの身体を包んで消えていった。
「どう? 疲れが取れたでしょ」
「たしかに……」
「ミアのルミナスと似てるな」
「効果はヒールレベルの回復だそうだ。ほとんどルミナスと同じだが、付随効果に肩こりが治るとあるな」
なんて健康的な魔法! さすが聖女!
「他にはオーラっていう身体能力を上げる魔法と、フォースっていう魔力をぶつける攻撃魔法を覚えました!」
「じゃあケイドでフォースとやらも試してみるか?」
「やめてください! 死んでしまいます!」
私も古書店で光属性の魔法の文献を見てみようかな?
もしかすると、何か強力な魔法を習得できるかもしれない。これからのことを考えると、魔法の種類はあって困ることはないから。
魔法が発動できたら、そこから逆算して詠唱を見つけたりってできないんだろうか?
今度、エリオット課長にその辺のことも聞いてみようかな。
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