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第二章
王の決断とウーラノスの決断
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「学園より火急の使者が、サリバン子爵夫人ご本人です。」
王は顔色を変えた。
**********
この光景を見ていた者がいた。
ハワード侯爵と、先程任ぜられたばかりのドゥラーク辺境伯である。
2人は次回の遠征についで話し合っているところだった。
先程まで警備に当たっていた、生え抜きの護衛の者が居なくなっている。
アイツ、コイツ、それに、あの者も••••
みんな、土魔法使いじゃないか?
ドゥラーク辺境伯はハワード侯爵と目を合わせた。
( 何が始まっている? )
ハワード侯爵は言った。
「ウーラノス殿、貴殿の力を借りるかもしれん。敵は雷使いだ、、、」
「雷使い、では王家縁のものか?」
「そうだ!私は陛下に合わなければ、、、」
俺はハワード侯爵と一緒に廊下に出た。
「おお、ハワード侯爵、探しました」
近衛騎士団長のユチノフ卿が走って来た。
陛下より五家の方に連絡をと、隣の部屋にてお待ちです。
俺などが同席して良いものか?
「一緒に来て欲しいのだ」
ハワード侯爵は縋るような目で私に訴えた。
広間の隣の王家控室。
入室すると、5人の騎士が揃っていた。
王の脇にはエチケット夫人(失礼、名前を失念してしまった)が控えていた。
「ハワード侯爵、今しがた連絡が入った。
始まってしまった。」
「始まった?まだ、一年ありますぞ、何故?どういう事ですか!」
「ジェイコブがマリアベルを討とうとしているらしい。」
「なんですと!!!」私は話に割って入った
「そんな、大変な事が起きているのに、悠長に話し合いですか。
殿下と姫の命が掛かっておいでなのですよ。
私が、向かいます。
状況わかるものは、どなたか?」
エチケット夫人は王の顔色を伺った。
「この期に及んで何を躊躇させておる。御二方が死んだらどうする!」
夫人は心を決めて話始めた。
「ジェイコブ殿下がマリアベル様を私怨で断罪し、討とうとしています。
ただ今、職員の土魔法が使える者と、ウッドフィールド子息が木のバリアを張り防いでおります。
ここに向かう途中、フランシス•カーバンクル嬢が 殿下に魔封じの腕輪を付ける計画を実行してみると言っておりました」
なんと無謀な•••
「陛下、何卒、何卒わたくしの生徒達をお守り下さい。」
エチケット夫人は膝を下り頭を垂れた。
「夫人、非はどちらにあるのですか?」
「殿下の、一方的な怨恨です。マリアベル様には全く罪はありません。」
「よし!話し合いは後から出来る。
陛下、マリアベル様をお救いしてよろいしですな?
そして、姫を救う為に ジェイコブ殿下の生死は問わない、でよろしいですな!」
「待ってくれ、ジェイコブは生かして保護してくれ!!!」
王は懇願した。
「陛下、あれだけの魔力のある殿下を生かして保護するとなると、100名以上の騎士が死ぬ事になるでしょう。私とて命の保証は無い。
もちろんマリアベル様も、、、」
「そして、貴方は愚王の汚名を着る事となる。」
俺は冷たく言い放った。
「私は1人でも行きます、マリアベル様を助けに」
「いや、2人だな!」ハワード侯が笑って言った。
2人の漢はマントを翻し 王に背を向けた。
トラビス王は叫んだ
「皆の者、将軍らに続け!マリアベルと学園を守るのだ!!!
その際、ジェイコブの生死は問わん。
健闘を祈る。」
うおおぉー
後ろから、五人の騎士が走って来た。
「直ぐにも、第二陣を向かわせる、なんとかしのいでくれ。」
後ろから王の声が聞こえた。
************
俺たちは馬で学園に向かった。
ここから馬で15分の距離にある。
息をする時間も惜しい。
ハワード侯が、馬を脇に付た。
「ジェイコブ殿下はマリアベル様を本気で殺す気でいる。躊躇は要らぬ、我々五家はマリアベル様をお助けする為に動いている。
王に遠慮はいらぬ。」
「よし、あいわかった!」
生かして捕らえる事ほど難しいものはない。
相手の力量が高いほどその難易度は高い。
マリアベル様をお助けする。
その一心で俺は動く!
学園に付き、ホールへ急ぐ
俺も学園の卒業生だ、ホールの場所位は覚えている。
近づくにつれ、焦げ臭い匂いがしてくる。
火を付けたのか?
ホールに入ると彼方此方に土塀バリアの残骸が散らばっている。そして、何故か木々が生えていた。
そして、中央では マリアベル様と殿下、お二人が睨みあっていた。
殿下の回りに光が集まっている。
危ない、雷を放つ気だ
俺は持てるだけの力で、走りながら土バリアを飛ばした。
「マリアベル様ーー!!!」
その時だった
ジェイコブ殿下は上に向かって巨大な光の柱を放った
雷が落ちる
マリアベル様ーー 間に合わない!
せめて、御前に、俺を、貴方の前に、、、
<<<<<<<パキーン>>>>>>>
{{{{{{{{ドッカン}}}}}}}}}
その音はほぼ同時に響いた。
屋根に穴が空き雷が落ちた
ああぁぁ、、、間に合わなかった
お助け出来なかった
いや、、、、
キラキラ、キラキラ、キラキラ
いや、なんだ、あの星屑のドームは
光の粒子が彼女の回りを包んでいる。
そしてそれは、すべてを包み込み、空に向かって舞い上がって行く。
スターダストが••••
キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ
こんな光景は初めて見た。あまりに美しく幻想的な風景に ついつい見惚れるてしまうほどであった。
あっ、マリアベル様は、
ご無事か!!!
しっかりとご自分の足で立っておられる。
殿下は、腰を抜かしているところを ハワード殿に取り押さえられていた。
マリアベル様は、殿下に近づいて、、、
なんと、殿下に1発食らわした!
ワハハ、豪快なお方だ。
おお、ポカポカ殴っているぞ、猫パンチだけど、、
実にお可愛らしい。
殿下は子供みたいに癇癪起こして泣き叫んでいるし、、、 あいつ アホだな。
なになに、
「お前なんて砂漠に嫁に行け、あそこのジジイと結婚しろ。
二度と帰ってくるなぁ、王命だぁ!」
砂漠のジジイと結婚だと?、俺と?
殿下がマリアベル様に掴みかかった
あっ、やばい、マリアベル様のカツラが外れた。
高貴な御姿が一目に晒される。
何とかしなければ、、、
俺は、咄嗟に パンパンと手拍子を打った。
人の注目が俺に集まる。
その隙にマリアベル様にマントを被せた。
でもなぁ、流石に王命と言えど、マリアベル様を嫁にもらうのは、何だかなぁ、、、
子供だし、イケナイよなぁ、、、
混乱の最中だ、殿下の戯言として 人も忘れてくれるだろう。
取り敢えずこの場を納めないと、
「先ほど殿下に言われた砂漠のジジイです。
ウーラノス•ドゥラークと申します。
いや、先程爵位を賜りましたのて、ドゥラーク辺境伯ですかな。」
殿下に挨拶をしてマリアベル様をこの場からコッソリとお連れするつもりだったのだが、
だか、しかし、
なんと、マリアベル様から逆プロポーズ?
目をキラキラさせて、、、
本当にこの方は、なんとお可愛らしいのだ!
俺、オッサンだけどいいのかなぁ?どうしよう•••
まあ、、、いいか。くれると言うならもらっておこう。
本人も嫁に来てくれるというし、、
よし、決めた!
マリアベル様は俺がもらう。
俺は、星の姫を隠すように大事にマントに包み、攫うように連れて帰った
**********
帰り道の馬車の中
坊ちゃん、その荷物は?
殿下からお土産もらったのだよ。
ヘェ~、大きいですね。なんですか?
ああ、人生最高の贈り物さ!
なんですか?
邸に着いてからのお楽しみ♡
(みんな、驚くぞ!)
***********
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