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絶望の先にあるのは

絶望の先にあるのは

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嘘だと思うなら、渋川《兄貴》に聞いてみろ。どけ、邪魔だ」
ヤスさんがドスのきいた低音ボイスで男たちを睨み付けた。醸し出す桁違いのオーラに気圧され男たちが後退りし道を開けた。
「四季行こうか」
「ヤスさん待って」
「どうした?」
「真山さんに聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
「うん。最近のキヨちゃんの様子。マタニティーブルーも酷かったみたいだし、予定より早く赤ちゃんが生まれたから心配で……余計なお世話なのは分かってる。人の心配をする前に自分の心配をしななきゃならないことも」
「きみって子は……」
ヤスさんが驚いたように目を見開いた。
「キヨがなんであんなに変わってしまったのか。俺の知ってる明るく素直で可愛いキヨちゃんはもうどこにもいなかった。キヨはお前が大嫌いなんだと。殺したいほど憎いだと。理由を聞くと、都合が悪いのか話しを逸らすんだ。久保木ってヤロウがキヨを愛してるのは知ってる。キヨの代わりにまなみ先生を轢き殺したことも。俺は久保木よりキヨを愛してる。だからプロポーズした。円谷に勝手に婚姻届を出され、100日過ぎないと再婚出来ないと言われた時は腸が煮えくり返るくらい腹が立った。キヨに何があったか、分かる範囲でいい。教えてくれ。この通りだ、頼む」
さっきまでの上から目線から、手のひらを返すように真山さんが深々と頭を下げた。
「四季と話しがしたかったら、まずはオヤジを通してもらわないと。オヤジは四季をとても可愛がってる。だから、あんたのイロ《情婦》が四季の命を狙っていることがどうしても許せないんだ。アンタなら分かるよな?」
「はい」
形勢が逆転した。
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