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少しすると、目の前を女子達に囲まれて、東条が通り過ぎていく。

何かワイワイと話しているが、俺の耳に聞こえてくるのは、女子達のキャッキャウフフばかり。

「ねぇねぇ、東条君は気になる人とか、いるの?」

(な……っ)

東条の隣を歩く女子の質問に、俺はつい反応してしまう。

耳をそばだてていると、微かに東条の声が聞こえてきた。

「うーん、気になる人かぁ……それは、恋愛対象として、ということかな?」

「うふっ♡もちろんそうだよ。でも、東条君は今、恋愛について私たちと学んでる途中だしぃ、そこの見極めってやっぱり難しい?」

「んー、どうだろう……僕はね……」

悩ましいポーズのまま、東条は女子達を従えてカフェテリアの奥へと進んでいく。

(ま、待って……っ)

遠ざかっていく東条達に、俺は気配を消してコソコソとついていった。

(くっそ……気になる!)

今度は大きめの観葉植物の後ろに身を潜める。

つか俺、なにやってんだろ……。

しかし、今は多少不審者でも仕方がない。

気になるもんは気になる。

というわけで、息を潜めて耳を澄ませていると、東条の話声が聞こえてきた。

「僕にはね、今とても大切にしたい人がいるんだよ。けど、それが恋なのかと言われると……正直、まだよく分からない」

(大切な、人……?それって……)

続きが気になって、俺は少し前のめりになりながら話の先を待つ。

東条に質問した女子は、頬を膨らませて腕組みをした。

「えー、ズル~い!その人、東条君と同い年?どんな人なの?」





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