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「さぁ。僕にもよくわからないんだけど、あんまり僕に外に出てほしくない? みたい。でも、そういうわけにもいかないから今も薬届けるついでに、こうして寄ったんだけど、どうしてか後ろからついてきてるみたいで……。何か怖いことでもあったのかな?」
雪也を庵の中に閉じ込めてしまいたいみたいだ。そんな風に思った蒼は、ふと思い出し、ひとり納得する。もしかしたら周はあの噂を聞いたのかもしれない。
「きっと雪ちゃんが心配でしかたないんだろうね~。尾行は……あんまりできていないけど、それで周が安心するなら、ちょっとくらいは良いんじゃない?」
雪也個人のことを思えば周の行動はあまり褒められたものではないだろうに、どちらかと言えば周の行動を擁護するような蒼の言葉に、湊はチラと蒼に視線を向ける。しかしニコニコと微笑む蒼からは何かを読み取ることはできず、湊は胸の内で首を傾げながらも無言を貫いた。
(ま、雪也もあんまり気にしてないみたいだし、いっか)
嫌なら雪也が周に注意するなり何なりするだろう。彼らには彼らの関係があるのだ。口を挟むべきではない。
雪也を庵の中に閉じ込めてしまいたいみたいだ。そんな風に思った蒼は、ふと思い出し、ひとり納得する。もしかしたら周はあの噂を聞いたのかもしれない。
「きっと雪ちゃんが心配でしかたないんだろうね~。尾行は……あんまりできていないけど、それで周が安心するなら、ちょっとくらいは良いんじゃない?」
雪也個人のことを思えば周の行動はあまり褒められたものではないだろうに、どちらかと言えば周の行動を擁護するような蒼の言葉に、湊はチラと蒼に視線を向ける。しかしニコニコと微笑む蒼からは何かを読み取ることはできず、湊は胸の内で首を傾げながらも無言を貫いた。
(ま、雪也もあんまり気にしてないみたいだし、いっか)
嫌なら雪也が周に注意するなり何なりするだろう。彼らには彼らの関係があるのだ。口を挟むべきではない。
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