必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「弥生様が出立されてからけっこう経ったけど、あれから紫呉様も来ないし、ちょっと寂しいね~。まだお帰りにならないのかな? 弥生様がいないから、この町もちょっと元気ないし」
 それは雪ちゃんも同じだけどね~、と野菜を吟味しながら零す蒼に、雪也はどう言ったものかと苦笑する。今日は蒼の父がどこかへ出かけていないのか、店には湊の姿もあった。
「上様のお供だって仰ってたから、上様のご用事が終わらない限りは難しいんだろうね。優様も紫呉様も弥生兄様のお付きだから、あんまり弥生兄様から離れられないだろうし、仕方がない。由弦は槍の練習しながら、少し寂しそうだったけど」
 紫呉は由弦にとって特別な存在だから、こうも長く顔が見れないと気落ちもするだろう。由弦の寂しさを感じ取っているのか、このところサクラもあまり落ち着きがない。
「ちょっと違うかもだけど、由弦からしたら紫呉さんは親代わりみたいなもんらしいし、随分落ち込んでるだろうなぁ。――で、雪也を親みたいに慕ってる周は、あそこで何してんの?」
 立派な白菜を持ちながらチラと少し離れた場所に視線を向けた湊にも、雪也は苦笑して首を傾げた。
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