必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「お前は美しい。ゆえにお前に邪な感情を向ける者もいるだろう。誰も信用するなとは言わぬが、見極める眼は持った方が良い。そして危害を加えられそうになったら、迷わず己の身を守れ。そして矜持などは捨てて、助けを求めるんだ。予兆があったならば、私たちに相談しても良い。変な気遣いを起こして一人で解決しようとするな。良いな?」
 屋敷にいる間、雪也は紫呉に剣術や体術を教え込まれている。弥生や紫呉ほどではないにせよ、何かあった時に助けを呼べるだけの時間を稼ぐことはできるだろう。
 必ずだと念押しする弥生に雪也が頷けば、屈託ない笑みを浮かべながら紫呉が雪也の肩に腕を回した。
「そうそう、遠慮なんかするんじゃねぇぞ。弥生も優も、もちろん俺も、お前に甘えられたら嬉しいんだからよ」
 一緒に飯を食ったら、もう家族だ。そう笑った紫呉に雪也も笑みを零す。与えられた刀を胸に抱いた時、指の腹に僅かな凹凸を感じた。何だろう、と不思議に思って視線を下ろす。そこに刻まれていたものに、雪也は思わず泣きそうな笑みを浮かべた。
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