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5-ルークの父

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僕はこっぴどく怒られた。


そりゃそうだ。目の前で死なれたら気分悪いよね。ごめんね。


旦那様…もとい、僕の父にも報告がなされた。


そして今、どこの貴族だよと言いたくなる広間で、僕は父であろう僕と同じ黒髪に僕より少し明るめな青い目をした初老の人の目の前で頭を垂れていた。


「…馬鹿息子よ、顔を上げよ」


「…はい」


「何をしておるんだ…お前は」


「…」


死のうとしてました。


なんて言える空気でもなく、僕は無言になるしか無かった。


「…して馬鹿息子よ、記憶もないと申すか。自分の名前すらも分からないのか」


「…はい」


父は頭を抱えた。盛大なため息もおまけで。


「お前は先週、アーノルド王子との婚約をしたばかりだろう。そのような状態では私の立場が…」


頭を抱えながら青い顔をしてブツブツと恨み言を言う父。


可哀想な人だな。


僕はまるで他人事だった。というか、そんな父の様子よりも、婚約はもう決まっていたらしい事に僕は驚いていた。


…何やっちゃってんのルーク。せめてなんで婚約前に階段から落ちなかったんだ。
おかげで面倒臭い事に巻き込まれそう。


「お前に今死なれても困るのだ。どんなに馬鹿でもな。どんなに馬鹿でもな」


2回も言うな。


「いいか、ルークよ。お前は妃になるという役目がある。それはこの私…国のためだ。アーノルド王子とお前でより良い国を創る役目が残っている」


より良い国がおまけみたいに感じるのは気のせいかな。


「お前はそれまでは死んではならぬ。いいか?もし死ぬなら王子の跡継ぎを産んでから死ね。今はどんな手を使っても絶対に死ぬな。と言うより死なせぬ」


清々しいな、このひと


僕が唖然としていると父の使用人が僕の手首をつかみ、金色の細い腕輪を僕に付けた。


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