男子校の悪役令嬢

冴島

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高二ノ秋2

その先はコンプラ違反です

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 密室に二人きり。
 ベッドの上に押し倒されて、万歳の姿勢で両腕を頭上で一纏めにされている。完全にマウントを取られている状態なので、そう簡単に抜け出せない。
 両足を蹴り上げようとも、腿の上まで五十嵐の身体が乗っていて無理だった。

「冗談、だよな……?」

 五十嵐とは去年から同じクラスで、猫をかぶって大人しく過ごしていた頃からそれなりに知った仲だ。
 互いに深入りせず、他の奴等ともある程度距離を置いて接していた。

「去年から、ずっと司とこうしたいと思ってた」

 俺の制服のネクタイを解いてしまうと、頭上で纏めてある手首を結んで、ベッドの柵に括り付けてしまった。しかも結び目硬いなオイ。
 外すためには、ネクタイごと引き千切るしかない。

「正直生徒会の会計なんて、面倒だしチャラ男キャラなんて性に合わないから嫌だったんだけど……司が悪役令嬢なんてのに選ばれて、しかも会長が自分のものにする気満々とわかってから、逆に利用してやることにしたんだよ」
「何言って……」
「好きだよ、司」

 手首に意識が行っている間に、突然告げられた愛の告白。
 瞠目して五十嵐の顔を凝視した。
 奴の顔はひどく真面目で、慈しむように俺の頬を撫でた。

「普段猫かぶってるくせに、気を抜いたときに素が出るのが可愛い」
「は、恥ずかしい言い方するな……」
「本心だよ。だから、会長にも他の奴等にも渡せない」
「美作も、知らねーけど他の奴も冗談だろ。お遊びでやってるんだって」

 美作に関してはお遊びにしては度がすぎているけれど。きっとキスのひとつや二つ、大したことないと思っている人種に違いない。

「違うよ。本気で司を自分のものにしようとしている。こんな風に」
「は……」

 五十嵐の顔が近づいてきて、唇が重なった。キスされていると頭が認識する前に、舌が入ってきて絡み付いてきた。

「んッ、ふぅんッ!?」

 絡んだ舌が引っ張り出されて、すかさず吸いつかれて根元まで擦り合わされた。溶け合うような粘膜の摩擦に、眩暈がするような痺れが背筋を駆け抜けた。

「んく…っ、んんッ……んんん!」

 生理的な涙が目尻から伝い落ちて、後頭部にまで流れていく。
 歯茎の裏側や口蓋まで舌で擦られて、身体に力が入らずなすがままになっていた。
 抵抗らしい抵抗が出来ないのをいいことに、何を考えたのか五十嵐はワイシャツの隙間から手を突っ込んで腹を撫でてきた。
 冷たい手の感触に、びくりと腰が跳ねた。

「ん、んんー!」

 厭らしい手の動きで、腹やら腰を撫で回してくる。まて、こいつ何をする気だ。
 口の中は舌で翻弄され、服の中にまで入り込んでくる手が肌に触れる。意識してしまって敏感に反応してしまう身体に、ふふっと笑みを溢しながら余計わざとらしく這わせていった。

「やっ、め、ふぁっ、んんっ」
「このまま、ヤっちゃおうか」
「は!?」

 口の周りをびちゃびちゃにされながら、ようやく口を解放した五十嵐が、至近距離でニッと微笑んだ。
 爽やかな微笑みとも、チャラ男の軽薄な笑みとも違う。ゾクリとするような、欲の孕んだ視線。
 怖い。本能的な恐怖に、反射的にブチッとネクタイを引き千切って腕を振り上げた。

「うわっ!?」

 流石の五十嵐も咄嗟に後ろに避けた。その隙に、身体を起こして距離をとった。

「司、力強っ」
「ふざけんな、冗談でもこんなこと」
「あーごめんごめん、でもこの先は出来ないから安心して」
「?」

 ここまでやっておいて何を弁明するつもりだと睨みつけると、困ったように肩を竦めた。

「この学園、十八未満で淫行すると退学になるんだよ。だから、ヤるのは来年の誕生日までお預け」

 今時はコンプライアンスに煩いからね、と五十嵐は両手を上げてみせた。
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