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高二ノ秋2
油断も隙もない
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「発案は、美作会長。今年の目玉役割である悪役令嬢を巻き込んでしまえってな」
「面倒な事言い出しやがって」
「ま、実際その手のアニメだと悪役令嬢と学園の生徒会ってのは切っても切れない関係らしいから」
それについては、我孫子に「悪役令嬢とは何か」をみっちり教え込まれた際に例として見せられたアニメでも、舞台が学園で男連中は生徒会役員だった気がする。
ちなみにそっちはファンタジーなので、悪役令嬢の婚約者が生徒会長で、しかもその国の王太子だったりする。盛りすぎだろ。王太子って生徒会長するもんなの?
「俺は美作の婚約者じゃねーぞ」
「そりゃね。あくまでもこの学園の生徒会は王道学園に準拠してるからさ」
「王道、ねぇ……」
世界観謎すぎるんだよな。
我孫子曰く、王道学園の設定の元ネタはボーイズラブ、つまり男同士の恋愛ものの界隈が発祥となっている。対して悪役令嬢の方は、乙女ゲームーーギャルゲーの逆でイケメンを攻略する女性向けのゲームが元ネタだとか。
ここでややこしいのが、悪役令嬢が「乙女ゲームに出てくるヒロインの敵役の女」と見せかけて、世に出てるリアル乙女ゲームにはそんなのいないことが多いってことだ。ほんとややこしいな。
「だけど会長が、強引に決めたんだよ。悪役令嬢、東條司に積極的に絡みに行くって」
「五十嵐……お前に異論はないわけ?」
「俺としては、出来るだけ無難にチャラ男を演じて過ごしていきたかったんだけどさ。副会長もやる気出しちゃってるし、書記は……不思議キャラだからわっかんねーや」
「副会長って、確かA組の島崎だっけ」
「そう、バンドマンだったのに腹黒系やってる」
「皆大変だな……」
「司はもっとちゃんとキャラ作れよ」
「人前だとちゃんとやってるって」
しかしよくもまあ、皆真面目に求められたキャラを演じているものだ。やっぱ五十嵐は、素で喋ってる方がしっくりくるし。
「あーめんどくせぇ……なんで美作は俺に構おうとするだよ」
放っておいてほしい。
悪役令嬢断罪イベントとやらをやりたいのなら、事前にアポを取って計画的に進めて欲しい。ほんっとなんでキスなんかしてきたんだか。
「そりゃ、お前のこと狙ってるからだろ」
「ハァ?」
「司のこと、エロい目で見てるってこと」
「ちょっと意味わかんないだけど……えっと、BL的な役割のため?」
そんなことのために、男にぶっちゅーとかましたのなら、随分なプロ根性だ。何のプロなのかさっぱりわかんないけど。
「それもあるだろうけど、もっとシンプルなんだよ。司が欲しい……ちなみに、俺もそうだから」
「……は?」
何を言い出したのか理解できず、お茶を飲んでいた手を止めて、五十嵐の顔を見た。
「駄目だよ、簡単に男と二人きりになったら」
腕を強く引かれて、ベッドの上に引き倒された。
状況を咀嚼する前に、五十嵐が馬乗りになってくる。完全に押し倒された形になっていた。
「どけよ」
「会長に異論が無かった理由は簡単。これに乗じて、俺も司が欲しい。俺もお前のことエロい目で見てる一人だよ」
押し倒された格好で、五十嵐が顔を近づけて囁いた。
「面倒な事言い出しやがって」
「ま、実際その手のアニメだと悪役令嬢と学園の生徒会ってのは切っても切れない関係らしいから」
それについては、我孫子に「悪役令嬢とは何か」をみっちり教え込まれた際に例として見せられたアニメでも、舞台が学園で男連中は生徒会役員だった気がする。
ちなみにそっちはファンタジーなので、悪役令嬢の婚約者が生徒会長で、しかもその国の王太子だったりする。盛りすぎだろ。王太子って生徒会長するもんなの?
「俺は美作の婚約者じゃねーぞ」
「そりゃね。あくまでもこの学園の生徒会は王道学園に準拠してるからさ」
「王道、ねぇ……」
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ここでややこしいのが、悪役令嬢が「乙女ゲームに出てくるヒロインの敵役の女」と見せかけて、世に出てるリアル乙女ゲームにはそんなのいないことが多いってことだ。ほんとややこしいな。
「だけど会長が、強引に決めたんだよ。悪役令嬢、東條司に積極的に絡みに行くって」
「五十嵐……お前に異論はないわけ?」
「俺としては、出来るだけ無難にチャラ男を演じて過ごしていきたかったんだけどさ。副会長もやる気出しちゃってるし、書記は……不思議キャラだからわっかんねーや」
「副会長って、確かA組の島崎だっけ」
「そう、バンドマンだったのに腹黒系やってる」
「皆大変だな……」
「司はもっとちゃんとキャラ作れよ」
「人前だとちゃんとやってるって」
しかしよくもまあ、皆真面目に求められたキャラを演じているものだ。やっぱ五十嵐は、素で喋ってる方がしっくりくるし。
「あーめんどくせぇ……なんで美作は俺に構おうとするだよ」
放っておいてほしい。
悪役令嬢断罪イベントとやらをやりたいのなら、事前にアポを取って計画的に進めて欲しい。ほんっとなんでキスなんかしてきたんだか。
「そりゃ、お前のこと狙ってるからだろ」
「ハァ?」
「司のこと、エロい目で見てるってこと」
「ちょっと意味わかんないだけど……えっと、BL的な役割のため?」
そんなことのために、男にぶっちゅーとかましたのなら、随分なプロ根性だ。何のプロなのかさっぱりわかんないけど。
「それもあるだろうけど、もっとシンプルなんだよ。司が欲しい……ちなみに、俺もそうだから」
「……は?」
何を言い出したのか理解できず、お茶を飲んでいた手を止めて、五十嵐の顔を見た。
「駄目だよ、簡単に男と二人きりになったら」
腕を強く引かれて、ベッドの上に引き倒された。
状況を咀嚼する前に、五十嵐が馬乗りになってくる。完全に押し倒された形になっていた。
「どけよ」
「会長に異論が無かった理由は簡単。これに乗じて、俺も司が欲しい。俺もお前のことエロい目で見てる一人だよ」
押し倒された格好で、五十嵐が顔を近づけて囁いた。
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