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後日談
夫婦 2
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入念に身を清めてから、二人で夕食だったはずの朝食を食べ、家を出ました。
「本日、午前中のうちに借家へご案内致しますが、使用人が必要かどうかの確認もお願いします。
それから警備体制の見直しについて話し合う件ですが、こちらは昼過ぎに時間を作ります」
「分かった。そう伝えておく」
「あぁそれから……順調ならば本日夕刻にはレイシール様が戻られるかと」
「じゃぁお前も帰り、遅くなるか……」
「いいえ。どうせ早く帰れとせっつかれるでしょうからね」
ご自分がサヤ様と過ごすために、私にもさっさと帰るよう言うに決まっております。
そう伝えると、妻はほんの少し表情を綻ばせました。
元々はレイシール様を誤解し、毛嫌いしていた彼女でしたが、ただひたすらサヤ様が大切で仕方のない彼の方を知った現在は、逆に好感を持っているようです。
またそれには、獣人に対する彼の方の姿勢も影響しているのでしょう。
守ると決めたらとことん本気で、例え立場を失おうともそれを貫き、国を追われた時すら、忠誠を捨てなかった方ですからね。そう言った意味であの方が国を裏切ることはないと確信を持っているようです。
我が主をよく思わぬ方々には、彼の方の行動基準が理解できないようで、何を考えているのか分からないとよく言われるのですが、関わった者からすれば分かりすぎるくらい分かりやすい方です。
「陛下のご到着もあと数日といったところだろうな」
「そうですね。今年の祝詞日は大変忙しくなりそうです」
「本当だよ。越冬中に、リヴィ様の婚姻の儀に、陛下のご出産か……。
だけどこの国が平和で豊かな証拠だし」
そう言って前方に視線を移し……。
「リヴィ様の婚姻の儀、女近衛から代表だけでも参列できたら良いんだけど」
実質既に夫婦として過ごしているギルたちですが、祝詞日の中で行うこととなっております。
そのための花嫁衣装を現在サヤ様はご担当中。もうほぼ完成はしているのですが、色々細部を微調整しているようです。
また、アギー公爵家の御息女様を迎え入れる都合上、親族がやんごとない立場の方々となりますから、警備にも気を遣わなければなりません。
そのため婚姻の儀は、このアヴァロンで行われることとなっております。
通常であれば、陛下も式に顔を出したいと駄々をこねそうなところなのですが、臨月を迎えておりますからね……。流石に参列は難しいでしょう。
「陛下の警備もございますからね」
「だな。やっぱりサヤさんにお願いする感じになるか」
サヤ様も丁度ご懐妊となり、警備には携われませんからね。適材適所というわけです。
アヴァロンで儀式を行う都合上、リヴィ様の家役も、セイバーン男爵家となるでしょうね。まぁ門前を貸すだけですからさした手間でもないのですが……。
そんなことを考えているうちに職場へと到着しましたので、妻とは別れ執務室へと向かいました。
昨日は私宛の緊急連絡は鳴りませんでしたから、特に問題等は起こっていないと思っていたのですが……。
「は? 昨日連絡が入ったのですか?」
「そうなんですよ。ハインさんが帰られてすぐ急使が届きました。
ご本人としてはメバックの姉妹の元に遊びに来るだけというていなので、大ごとにはしてくれるなと……。
しかし春には職場復帰したいから、その準備も兼ねて相談したいと……」
「……復帰なさるんですか……もう五年はとっくに経過しましたのに」
「その殆どを棒に振ったから、もぎ取り返したそうですよ」
ヘイスベルト様は苦笑しておられますが、笑い事ではないことが起こっておりました。
なんと、クオンティーヌ様がお越しになるだけでなく、来年春から文官復帰を希望しているというのです。
「……彼の方ももう、成人された身ですのに……」
「だからこそ、学びが足りていないと感じるようですね」
セイバーンの人員を統括するヘイスベルト様に連絡が入ったのは当然のことなのですが、何よりクオン様が、ことをいち早くセイバーンに知らせたいと考えたのだろうことが伺えます。
ヘイスベルト様は元々アギーの使用人でありましたし、姉のクレフィリア様も同じくアギーの御子息であられるグラヴィスハイド様の下で女中頭を努めておいででした。
彼らの実家は今もアギーに仕えております。その関係で連絡がそちらから入ることが多々ございました。
まぁ、家督を継いだ彼らの長兄は、これを切っ掛けとして甘い汁を吸いたいとお考えなのでしょうが……そのような隙を与える気は毛頭ございません。
いえ、ヘイスベルト様の実家は今は良いのです。それよりもクオン様のことが問題でした。
クオン様は、十五の歳から身分を偽り、男爵家のクラリッサ……通称クララという形で文官見習いとして、アヴァロンに身を預けられていたアギーの二十九子です。
しかし当然というか、あの騒動の折、成人前の彼女の身には余る事態になったと判断した派遣官らにより、アギーの地へ強制送還されていました。
獣人との関わりが絡んできた以上、アギーの方々がいち早くセイバーンから身を離そうと考えたのは、当然の選択です。
セイバーンを傘下に置いていたアギーは、即座に我々を切り捨て陛下への忠誠を示さねばなりませんでした。でなければ、他の傘下の家々をも巻き込み、貴族社会を分断するほどの大問題になってしまったでしょうから。
しかしその選択を、彼女は受け入れようとはしなかったそう。
「現場を離れて正しい判断ができると思うの⁉︎
アギーのためにも情報は必要。だから私は残しなさい!
それに何かあった場合、私のことは切り捨てればいい。まだ幾らでも後継候補はいるわ!」
そう言い抵抗したのだとか。
とはいえ複数人の大人に成人前の女性が腕力で敵うわけもなく……。クオン様はアギーに戻り、以来手紙のやりとりしかございませんでした。
陛下が神殿の手を離した後も、アギーは我々との距離を保ちつつも、少し身を引いていたのです。
「アギーでもすっと、公爵様と話し合いを続けておられたそうで、オリヴィエラ様の件もそうですけど……ようやっと許しを得られたと」
ほっとした様子のヘイスベルト様でしたが、私と致しましては、少し違和感を覚えておりました。
ここのところ、アギーの決断が続いておりますね……。
娘を二人も手元から離すということが、食わせもののアギー公にとってそれだけのこととは思えません。
クオン様を今一度こちらに寄越すというのも、何かしら思惑があるのでしょう……。
「…………とりあえず、レイシール様が戻られましたら、ご相談致しましょう。
遊びに来られる分には、好きにしていただくということで。
おそらくそれも建前で、リヴィ様の婚姻の儀に参加するつもりなのでしょうし」
「やっぱりそうですよねぇ……招待客の数、変わってきちゃうかな。席の位置決め直さないと……。
あぁそれと、アーシュから北の地で越冬するという連絡もありましたよ」
「左様ですか。ではクロード様は帰還されるということで、知らせを出しておきます」
そう言い打ち合わせを終えたのですが、正直クオン様の決断は、意外に感じておりました。
ヴァーリンとベイエルの血を引くクロード様も同じく、公爵の血に連なる方です。そしてかの方は、獣人に対する忌避感を強く持っておられます。
クロード様が、日々私どもと対面するたび緊張を強いられているのは、感じておりました。
貴族に生まれれば当然教え込まれることですから、上位の家系ならば尚のことでしょう。
けれどそれを捻じ伏せ、我々を人として認識し、扱おうとする姿勢には、一目を置いております。普通人は、己の価値観に囚われるもの。そう簡単に自制できるものではありません。
それは我々獣人も同様。己を獣と思い来世を恐れる気持ちを、ずっと抱えております。
だから私は……。
子を、持ちたいとは思わない。血を繋げたいとは、考えられないのです。
しかしクオン様は、ここに戻りたいとおっしゃる……。
彼の方は獣人への抵抗感が薄いのでしょうか?
ですがアギーがその教育を怠っているとは考えにくいですしね……。
五年前……我々と一番近く、多くの関わりを持っていたアギーは、セイバーンを傘下に置いていたこともあり、より過敏になったのは当然とは思います。
もしレイシール様が、スヴェトランと通じフェルドナレンの転覆を狙っていたとしたら、アギーは繋がりを疑われて当然だったでしょうから。
疑いが晴れた後も、獣人との関わりを否定しなかったがために、暫く危険な状況が続いていたよう。その中で、セイバーンを傘下に残しただけでも、有難いことだったのですが、彼方としては、隣の領地が金の卵を抱えたまま他家に囲われても困ったのでしょうしね……。切るに切れなかっただけかもしれません。
とはいえここで警戒を緩めてきたのにはわけがあるはずです。
気を抜かぬようにしなければ……。
クオン様が今更セイバーンに戻り、仕官する理由はなんでしょうね。
彼の方のことですから、きっと何か、考えがあるのでしょう。
◆
そして夕刻。
予定通りレイシール様が、視察からお戻りになりました。
まず真っ先にサヤ様の安否確認と抱擁から始まったのがこの方らしいのですが、女近衛の四名様のお忍び来訪をご報告し、陛下のご到着が数日のうちにある旨をご報告し、最後にアギーのクオンティーヌ様についてお伝えしたのですが……。
「あぁ、クオン様が……。
そうか、分かった。アギー公爵様がご納得されているならば、うちは受け入れるよ。
ご到着はどれくらいになるか、連絡はまだ来ていないんだね?」
レイシール様は至極冷静でした。
特に慌てるでもなく、驚かれるでもない様子に、元から話を通されていたか、お顔を読まれていたか、何かしらの形で察していらっしゃったようです。
「復帰自体は春を目処にと考えていらっしゃるようですが、この冬のうちに一度、リヴィ様のもとを訪れるていでご来訪とのことです」
「分かった。何年くらい猶予があるんだろうな……。
なんにしても、クオン様が納得できるなら良いと思うけど」
猶予……。
この方が何をお聞きになっているのか、分かりませんでしたが……。
何かを理解されているのだということは分かりました。
ならば、我々は従うのみです。
「本日、午前中のうちに借家へご案内致しますが、使用人が必要かどうかの確認もお願いします。
それから警備体制の見直しについて話し合う件ですが、こちらは昼過ぎに時間を作ります」
「分かった。そう伝えておく」
「あぁそれから……順調ならば本日夕刻にはレイシール様が戻られるかと」
「じゃぁお前も帰り、遅くなるか……」
「いいえ。どうせ早く帰れとせっつかれるでしょうからね」
ご自分がサヤ様と過ごすために、私にもさっさと帰るよう言うに決まっております。
そう伝えると、妻はほんの少し表情を綻ばせました。
元々はレイシール様を誤解し、毛嫌いしていた彼女でしたが、ただひたすらサヤ様が大切で仕方のない彼の方を知った現在は、逆に好感を持っているようです。
またそれには、獣人に対する彼の方の姿勢も影響しているのでしょう。
守ると決めたらとことん本気で、例え立場を失おうともそれを貫き、国を追われた時すら、忠誠を捨てなかった方ですからね。そう言った意味であの方が国を裏切ることはないと確信を持っているようです。
我が主をよく思わぬ方々には、彼の方の行動基準が理解できないようで、何を考えているのか分からないとよく言われるのですが、関わった者からすれば分かりすぎるくらい分かりやすい方です。
「陛下のご到着もあと数日といったところだろうな」
「そうですね。今年の祝詞日は大変忙しくなりそうです」
「本当だよ。越冬中に、リヴィ様の婚姻の儀に、陛下のご出産か……。
だけどこの国が平和で豊かな証拠だし」
そう言って前方に視線を移し……。
「リヴィ様の婚姻の儀、女近衛から代表だけでも参列できたら良いんだけど」
実質既に夫婦として過ごしているギルたちですが、祝詞日の中で行うこととなっております。
そのための花嫁衣装を現在サヤ様はご担当中。もうほぼ完成はしているのですが、色々細部を微調整しているようです。
また、アギー公爵家の御息女様を迎え入れる都合上、親族がやんごとない立場の方々となりますから、警備にも気を遣わなければなりません。
そのため婚姻の儀は、このアヴァロンで行われることとなっております。
通常であれば、陛下も式に顔を出したいと駄々をこねそうなところなのですが、臨月を迎えておりますからね……。流石に参列は難しいでしょう。
「陛下の警備もございますからね」
「だな。やっぱりサヤさんにお願いする感じになるか」
サヤ様も丁度ご懐妊となり、警備には携われませんからね。適材適所というわけです。
アヴァロンで儀式を行う都合上、リヴィ様の家役も、セイバーン男爵家となるでしょうね。まぁ門前を貸すだけですからさした手間でもないのですが……。
そんなことを考えているうちに職場へと到着しましたので、妻とは別れ執務室へと向かいました。
昨日は私宛の緊急連絡は鳴りませんでしたから、特に問題等は起こっていないと思っていたのですが……。
「は? 昨日連絡が入ったのですか?」
「そうなんですよ。ハインさんが帰られてすぐ急使が届きました。
ご本人としてはメバックの姉妹の元に遊びに来るだけというていなので、大ごとにはしてくれるなと……。
しかし春には職場復帰したいから、その準備も兼ねて相談したいと……」
「……復帰なさるんですか……もう五年はとっくに経過しましたのに」
「その殆どを棒に振ったから、もぎ取り返したそうですよ」
ヘイスベルト様は苦笑しておられますが、笑い事ではないことが起こっておりました。
なんと、クオンティーヌ様がお越しになるだけでなく、来年春から文官復帰を希望しているというのです。
「……彼の方ももう、成人された身ですのに……」
「だからこそ、学びが足りていないと感じるようですね」
セイバーンの人員を統括するヘイスベルト様に連絡が入ったのは当然のことなのですが、何よりクオン様が、ことをいち早くセイバーンに知らせたいと考えたのだろうことが伺えます。
ヘイスベルト様は元々アギーの使用人でありましたし、姉のクレフィリア様も同じくアギーの御子息であられるグラヴィスハイド様の下で女中頭を努めておいででした。
彼らの実家は今もアギーに仕えております。その関係で連絡がそちらから入ることが多々ございました。
まぁ、家督を継いだ彼らの長兄は、これを切っ掛けとして甘い汁を吸いたいとお考えなのでしょうが……そのような隙を与える気は毛頭ございません。
いえ、ヘイスベルト様の実家は今は良いのです。それよりもクオン様のことが問題でした。
クオン様は、十五の歳から身分を偽り、男爵家のクラリッサ……通称クララという形で文官見習いとして、アヴァロンに身を預けられていたアギーの二十九子です。
しかし当然というか、あの騒動の折、成人前の彼女の身には余る事態になったと判断した派遣官らにより、アギーの地へ強制送還されていました。
獣人との関わりが絡んできた以上、アギーの方々がいち早くセイバーンから身を離そうと考えたのは、当然の選択です。
セイバーンを傘下に置いていたアギーは、即座に我々を切り捨て陛下への忠誠を示さねばなりませんでした。でなければ、他の傘下の家々をも巻き込み、貴族社会を分断するほどの大問題になってしまったでしょうから。
しかしその選択を、彼女は受け入れようとはしなかったそう。
「現場を離れて正しい判断ができると思うの⁉︎
アギーのためにも情報は必要。だから私は残しなさい!
それに何かあった場合、私のことは切り捨てればいい。まだ幾らでも後継候補はいるわ!」
そう言い抵抗したのだとか。
とはいえ複数人の大人に成人前の女性が腕力で敵うわけもなく……。クオン様はアギーに戻り、以来手紙のやりとりしかございませんでした。
陛下が神殿の手を離した後も、アギーは我々との距離を保ちつつも、少し身を引いていたのです。
「アギーでもすっと、公爵様と話し合いを続けておられたそうで、オリヴィエラ様の件もそうですけど……ようやっと許しを得られたと」
ほっとした様子のヘイスベルト様でしたが、私と致しましては、少し違和感を覚えておりました。
ここのところ、アギーの決断が続いておりますね……。
娘を二人も手元から離すということが、食わせもののアギー公にとってそれだけのこととは思えません。
クオン様を今一度こちらに寄越すというのも、何かしら思惑があるのでしょう……。
「…………とりあえず、レイシール様が戻られましたら、ご相談致しましょう。
遊びに来られる分には、好きにしていただくということで。
おそらくそれも建前で、リヴィ様の婚姻の儀に参加するつもりなのでしょうし」
「やっぱりそうですよねぇ……招待客の数、変わってきちゃうかな。席の位置決め直さないと……。
あぁそれと、アーシュから北の地で越冬するという連絡もありましたよ」
「左様ですか。ではクロード様は帰還されるということで、知らせを出しておきます」
そう言い打ち合わせを終えたのですが、正直クオン様の決断は、意外に感じておりました。
ヴァーリンとベイエルの血を引くクロード様も同じく、公爵の血に連なる方です。そしてかの方は、獣人に対する忌避感を強く持っておられます。
クロード様が、日々私どもと対面するたび緊張を強いられているのは、感じておりました。
貴族に生まれれば当然教え込まれることですから、上位の家系ならば尚のことでしょう。
けれどそれを捻じ伏せ、我々を人として認識し、扱おうとする姿勢には、一目を置いております。普通人は、己の価値観に囚われるもの。そう簡単に自制できるものではありません。
それは我々獣人も同様。己を獣と思い来世を恐れる気持ちを、ずっと抱えております。
だから私は……。
子を、持ちたいとは思わない。血を繋げたいとは、考えられないのです。
しかしクオン様は、ここに戻りたいとおっしゃる……。
彼の方は獣人への抵抗感が薄いのでしょうか?
ですがアギーがその教育を怠っているとは考えにくいですしね……。
五年前……我々と一番近く、多くの関わりを持っていたアギーは、セイバーンを傘下に置いていたこともあり、より過敏になったのは当然とは思います。
もしレイシール様が、スヴェトランと通じフェルドナレンの転覆を狙っていたとしたら、アギーは繋がりを疑われて当然だったでしょうから。
疑いが晴れた後も、獣人との関わりを否定しなかったがために、暫く危険な状況が続いていたよう。その中で、セイバーンを傘下に残しただけでも、有難いことだったのですが、彼方としては、隣の領地が金の卵を抱えたまま他家に囲われても困ったのでしょうしね……。切るに切れなかっただけかもしれません。
とはいえここで警戒を緩めてきたのにはわけがあるはずです。
気を抜かぬようにしなければ……。
クオン様が今更セイバーンに戻り、仕官する理由はなんでしょうね。
彼の方のことですから、きっと何か、考えがあるのでしょう。
◆
そして夕刻。
予定通りレイシール様が、視察からお戻りになりました。
まず真っ先にサヤ様の安否確認と抱擁から始まったのがこの方らしいのですが、女近衛の四名様のお忍び来訪をご報告し、陛下のご到着が数日のうちにある旨をご報告し、最後にアギーのクオンティーヌ様についてお伝えしたのですが……。
「あぁ、クオン様が……。
そうか、分かった。アギー公爵様がご納得されているならば、うちは受け入れるよ。
ご到着はどれくらいになるか、連絡はまだ来ていないんだね?」
レイシール様は至極冷静でした。
特に慌てるでもなく、驚かれるでもない様子に、元から話を通されていたか、お顔を読まれていたか、何かしらの形で察していらっしゃったようです。
「復帰自体は春を目処にと考えていらっしゃるようですが、この冬のうちに一度、リヴィ様のもとを訪れるていでご来訪とのことです」
「分かった。何年くらい猶予があるんだろうな……。
なんにしても、クオン様が納得できるなら良いと思うけど」
猶予……。
この方が何をお聞きになっているのか、分かりませんでしたが……。
何かを理解されているのだということは分かりました。
ならば、我々は従うのみです。
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