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夜会 2-7
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怒りを隠す気にもなれなかった。
イングクス伯爵家のライアルド。
二人の配下のうち、一人にも見覚えがあった。
名を呼ばれたことに驚いた顔をするライアルド。
伯爵家の者であっても、今は領主である俺の方が、立場は上。
それにこんな下郎の下手に出てやるつもりなど、俺には無い。
「職務中に、仕事仲間にっ、貴方は恥を知れ!」
女性の装いをした者から、男の声で大喝された三名は、ポカンと口を開いた。
男? ……女? と、混乱した視線が彷徨っている。
「……だ、誰だ?」
「おや、たかだか三年ほど前の記憶が曖昧か。
セイバーン男爵家、レイシールと名乗りましたがね、あの当時も」
「っ、え? 女⁉︎」
「扮装夜会の警備を仰せつかっていたのではないのですか?
貴方のその服装……っ、貴方は……どこまでアギー公爵様の顔に、泥を塗るんだ!」
リヴィ様が、どんな気持ちで、貴方の立場を守ろうとされていたか、理解できなかったのか⁉︎
アギー公爵様が、何度となく目こぼししてくださっていることも。
貴方は本当に、最低だ!
「…………思い出した、お前っ!
なんて馬鹿らしい格好だ……男爵家は、そこまでしてアギーに媚を売るのか⁉︎」
「そのアギーに寄生して、我欲を満たすことしか考えていない貴方に、俺をとやかく言う資格があるとでも思っているのか⁉︎」
「っ、煩いっ! おい、あいつを黙らせろ、急げ!」
俺を黙らせて、それで何ができると思っているのか……。
脅せば口を閉ざすと? そんな馬鹿な。黙る訳がないだろうが!
だがそこで、唖然と口を開いたライアルド。
焦って抜剣した部下二人。
ライアルドの曖昧な指示に、ついそう行動してしまったのだろう。
思考は空も同然で、ただ指示に反射で従っているのだと伺えた。
きっと、今までもこうしてきたのだろう。そして、権力でそれを、揉み消してきた。そういう慣れが見える。
ライアルドは、思っていた以上の行動に出た部下二人に、とっさに何を言えば良いのか、思いつかなかったのだろう。ただ自身の前を走り抜けた二人を見送った。
その背に、無意味に右手を伸ばす、ライアルド。
夜会に参加していた俺は当然、武具を身に帯びてはいなかった。
けれど、引き下がるつもりも無かった。
今武器にできる手持ちのもの……。瞬時に頭を回転させて、そうしつつも右の手で、少女を後ろに押しやる。
「下がっていて」
左手は、頭へ伸びた。
寸劇で使わなかったもの……。
本当は、アギー公爵様に引き摺られた時、俺は簪を引き抜き、髪を乱すという工程があったのだけど、それをすっかりと忘れていたのだ。
使われていた簪二本のうち、手に当たった方を引き抜いて、そのまま投擲。
俺に向かって剣を振り払おうとしていた配下の上腕、柔らかい内側に、それは運良く突き立った。
「うがっ⁉︎」
動きが鈍る一人目に、二人目も慌てたのか、足が止まる。
その間にもう一本を引き抜いた。
「男爵家とはいえ、領主に向けての抜剣は、それなりの罪だが、良いのだな?」
その簪を構えてそう言うと、迷いが瞳に踊る。
「これでも王家より長を賜る身だ。お前の行動は、お前だけの責任に留まらぬだろう」
身内にも類が及ぶ。
そう示唆すると、更に混乱したようだ。
ライアルドも、すっかり失念していたのか、俺の言葉に蒼白になる。
とっさに逃げようと思ったのか、足が入り口に向いた。
けれど、俺や少女をここに残して逃げても、無意味であると思い至って、足が止まった。
もう一度、始末しろと声をあげようと、口を開く。
「もう、逃れられる段階ではないのだと、理解できませんか?」
俺がそう言うと、絶望に表情を歪めた。
自身の剣の柄を握り、抜剣しようかと葛藤する表情。
けれど、配下の二人は剣を落とした。
それにより、ライアルドの抵抗の意思は、急速に萎んでいく…………。
「……これ以上、イングクスを貶めるべきではありません」
そう言うと、悔しそうに表情を歪める。
そこでようやっと、応援が到着した。
「レイシール様!」
駆け込んできたサヤに続いて、アギーの騎士やヘイスベルト、オブシズ、アギー公爵様が次々と入室してきた。
女中姿の女性も。
俺の背に庇われた少女に駆け寄り、そのまま抱き締める。
「途中で、見習いの子を探している方がいらっしゃいましたので」
サヤが、俺の身体を確認しながら、そう教えてくれた。
被害者の子だと、すぐに察することができたのだそう。
そう言うサヤの手が、震えている……。なんでもないふりをしているけれど、きっと、怖かったはずだ。あの苦しかった経験を、引き出されて、我がことのように、感じていたろう。
俺の頬に触れてきた手を握って、大丈夫だよと抱き寄せた。
俺はどこも、痛めていない。
ライアルドは、騎士に剣を奪われ、後ろ手に縛り上げられ、アギー公爵様の前に膝をついた。
アギー公爵様は、普段の陽気さなど微塵も無く、無言でライアルドに視線を落としていた。
怯えた表情でライアルドも、アギー公爵様を仰ぎ見ていたけれど……そのうち視線を地に落とした。
静かに、騎士らの指示に従う姿を見せたので、俺もホッと、胸を撫で下ろしたのだけど……。
「…………今だけ我慢」
ボソリとそう、呟く声が、扉の方から響いた……。
「どうせ母が、なんとかしてくれる……。
ここだけ大人しくしておけば、二ヶ月も謹慎してみせれば。
巫山戯るな。絶対に許さない。
どう仕返しをしてやろう。
何が苦痛だろう。
俺を馬鹿にしやがった、見ていろ、八つ裂きでは済ましてやらない。
そういえば、婚約者がいた。
そいつを、人でも雇っていたぶれば……。
どんな顔をさせてやれるだろう。待ってろ、直ぐに、自由になる。
この二人が勝手にしたことだと、そう言えば済む話」
淡々と言葉が続いた。
その言葉と共に、顔を上げたライアルドは、表情が、どんどん恐怖に染まっていった。
扉の前に立っていたグラヴィスハイド様は、冷めきった表情で、ライアルドを直視している……。
彼の口が、ライアルドの色を、言葉に変えていた……。
「嘘だ。なんだこれ。こいつはなんだ……」
「グラヴィス、もう良い」
威厳のある声でアギー公爵様が言い、グラヴィスハイド様も口を閉ざす。
そしてそのまま、俯き顔を伏せて、部屋に背を向けた。
「残念だな誠に。もう……庇う気力も沸かぬわ」
「ちっ、違います! そんなこと、俺ひとつも……っ」
「良い。引っ立てろ」
「待って! 叔父上っ、そんなこと俺は、考えてない!」
喚くライアルドだったけれど、誰も彼の言葉を拾いはしなかった。
叫ぶ声は、次第に遠くなり、そして聞こえなくなる。
俺は……立ち去るグラヴィスハイド様を追いたかったけれど、ここで何があったかを語る役を、捨て置くわけにはいかなかった。
「……本当に、助かった。礼を言わねばな、セイバーン殿」
「いえ。たまたまです。……間に合ったようで、ようございました」
俺が駆けつけた段階で、彼女はまだ凌辱されてはいなかったと、示す。
今後の彼女に、その証言は必要なものだと思ったのだ。
けれど、それをあからさまに言うことは、あの娘を傷付けるだろう。
その辺りの調整を、アギー公爵様は直ぐに理解してくださったよう。ここで進めるべきではないなと、話題を先に進めた。
「後で調書を持って行かせる。その内容を、あらためてもらえるかな?」
「はい。勿論です」
「そうか」
「私どもで分かる範囲でしたら、纏めておきます。こちらもでき次第、届けましょう」
「そうしてもらえると、有り難い」
少女は指導役という女中に託された。
部屋を連れ出される際に、ちらりと視線が俺を見たから、にこりと笑いかけた。
良かった、無事で。本当に……良かった。
イングクス伯爵家のライアルド。
二人の配下のうち、一人にも見覚えがあった。
名を呼ばれたことに驚いた顔をするライアルド。
伯爵家の者であっても、今は領主である俺の方が、立場は上。
それにこんな下郎の下手に出てやるつもりなど、俺には無い。
「職務中に、仕事仲間にっ、貴方は恥を知れ!」
女性の装いをした者から、男の声で大喝された三名は、ポカンと口を開いた。
男? ……女? と、混乱した視線が彷徨っている。
「……だ、誰だ?」
「おや、たかだか三年ほど前の記憶が曖昧か。
セイバーン男爵家、レイシールと名乗りましたがね、あの当時も」
「っ、え? 女⁉︎」
「扮装夜会の警備を仰せつかっていたのではないのですか?
貴方のその服装……っ、貴方は……どこまでアギー公爵様の顔に、泥を塗るんだ!」
リヴィ様が、どんな気持ちで、貴方の立場を守ろうとされていたか、理解できなかったのか⁉︎
アギー公爵様が、何度となく目こぼししてくださっていることも。
貴方は本当に、最低だ!
「…………思い出した、お前っ!
なんて馬鹿らしい格好だ……男爵家は、そこまでしてアギーに媚を売るのか⁉︎」
「そのアギーに寄生して、我欲を満たすことしか考えていない貴方に、俺をとやかく言う資格があるとでも思っているのか⁉︎」
「っ、煩いっ! おい、あいつを黙らせろ、急げ!」
俺を黙らせて、それで何ができると思っているのか……。
脅せば口を閉ざすと? そんな馬鹿な。黙る訳がないだろうが!
だがそこで、唖然と口を開いたライアルド。
焦って抜剣した部下二人。
ライアルドの曖昧な指示に、ついそう行動してしまったのだろう。
思考は空も同然で、ただ指示に反射で従っているのだと伺えた。
きっと、今までもこうしてきたのだろう。そして、権力でそれを、揉み消してきた。そういう慣れが見える。
ライアルドは、思っていた以上の行動に出た部下二人に、とっさに何を言えば良いのか、思いつかなかったのだろう。ただ自身の前を走り抜けた二人を見送った。
その背に、無意味に右手を伸ばす、ライアルド。
夜会に参加していた俺は当然、武具を身に帯びてはいなかった。
けれど、引き下がるつもりも無かった。
今武器にできる手持ちのもの……。瞬時に頭を回転させて、そうしつつも右の手で、少女を後ろに押しやる。
「下がっていて」
左手は、頭へ伸びた。
寸劇で使わなかったもの……。
本当は、アギー公爵様に引き摺られた時、俺は簪を引き抜き、髪を乱すという工程があったのだけど、それをすっかりと忘れていたのだ。
使われていた簪二本のうち、手に当たった方を引き抜いて、そのまま投擲。
俺に向かって剣を振り払おうとしていた配下の上腕、柔らかい内側に、それは運良く突き立った。
「うがっ⁉︎」
動きが鈍る一人目に、二人目も慌てたのか、足が止まる。
その間にもう一本を引き抜いた。
「男爵家とはいえ、領主に向けての抜剣は、それなりの罪だが、良いのだな?」
その簪を構えてそう言うと、迷いが瞳に踊る。
「これでも王家より長を賜る身だ。お前の行動は、お前だけの責任に留まらぬだろう」
身内にも類が及ぶ。
そう示唆すると、更に混乱したようだ。
ライアルドも、すっかり失念していたのか、俺の言葉に蒼白になる。
とっさに逃げようと思ったのか、足が入り口に向いた。
けれど、俺や少女をここに残して逃げても、無意味であると思い至って、足が止まった。
もう一度、始末しろと声をあげようと、口を開く。
「もう、逃れられる段階ではないのだと、理解できませんか?」
俺がそう言うと、絶望に表情を歪めた。
自身の剣の柄を握り、抜剣しようかと葛藤する表情。
けれど、配下の二人は剣を落とした。
それにより、ライアルドの抵抗の意思は、急速に萎んでいく…………。
「……これ以上、イングクスを貶めるべきではありません」
そう言うと、悔しそうに表情を歪める。
そこでようやっと、応援が到着した。
「レイシール様!」
駆け込んできたサヤに続いて、アギーの騎士やヘイスベルト、オブシズ、アギー公爵様が次々と入室してきた。
女中姿の女性も。
俺の背に庇われた少女に駆け寄り、そのまま抱き締める。
「途中で、見習いの子を探している方がいらっしゃいましたので」
サヤが、俺の身体を確認しながら、そう教えてくれた。
被害者の子だと、すぐに察することができたのだそう。
そう言うサヤの手が、震えている……。なんでもないふりをしているけれど、きっと、怖かったはずだ。あの苦しかった経験を、引き出されて、我がことのように、感じていたろう。
俺の頬に触れてきた手を握って、大丈夫だよと抱き寄せた。
俺はどこも、痛めていない。
ライアルドは、騎士に剣を奪われ、後ろ手に縛り上げられ、アギー公爵様の前に膝をついた。
アギー公爵様は、普段の陽気さなど微塵も無く、無言でライアルドに視線を落としていた。
怯えた表情でライアルドも、アギー公爵様を仰ぎ見ていたけれど……そのうち視線を地に落とした。
静かに、騎士らの指示に従う姿を見せたので、俺もホッと、胸を撫で下ろしたのだけど……。
「…………今だけ我慢」
ボソリとそう、呟く声が、扉の方から響いた……。
「どうせ母が、なんとかしてくれる……。
ここだけ大人しくしておけば、二ヶ月も謹慎してみせれば。
巫山戯るな。絶対に許さない。
どう仕返しをしてやろう。
何が苦痛だろう。
俺を馬鹿にしやがった、見ていろ、八つ裂きでは済ましてやらない。
そういえば、婚約者がいた。
そいつを、人でも雇っていたぶれば……。
どんな顔をさせてやれるだろう。待ってろ、直ぐに、自由になる。
この二人が勝手にしたことだと、そう言えば済む話」
淡々と言葉が続いた。
その言葉と共に、顔を上げたライアルドは、表情が、どんどん恐怖に染まっていった。
扉の前に立っていたグラヴィスハイド様は、冷めきった表情で、ライアルドを直視している……。
彼の口が、ライアルドの色を、言葉に変えていた……。
「嘘だ。なんだこれ。こいつはなんだ……」
「グラヴィス、もう良い」
威厳のある声でアギー公爵様が言い、グラヴィスハイド様も口を閉ざす。
そしてそのまま、俯き顔を伏せて、部屋に背を向けた。
「残念だな誠に。もう……庇う気力も沸かぬわ」
「ちっ、違います! そんなこと、俺ひとつも……っ」
「良い。引っ立てろ」
「待って! 叔父上っ、そんなこと俺は、考えてない!」
喚くライアルドだったけれど、誰も彼の言葉を拾いはしなかった。
叫ぶ声は、次第に遠くなり、そして聞こえなくなる。
俺は……立ち去るグラヴィスハイド様を追いたかったけれど、ここで何があったかを語る役を、捨て置くわけにはいかなかった。
「……本当に、助かった。礼を言わねばな、セイバーン殿」
「いえ。たまたまです。……間に合ったようで、ようございました」
俺が駆けつけた段階で、彼女はまだ凌辱されてはいなかったと、示す。
今後の彼女に、その証言は必要なものだと思ったのだ。
けれど、それをあからさまに言うことは、あの娘を傷付けるだろう。
その辺りの調整を、アギー公爵様は直ぐに理解してくださったよう。ここで進めるべきではないなと、話題を先に進めた。
「後で調書を持って行かせる。その内容を、あらためてもらえるかな?」
「はい。勿論です」
「そうか」
「私どもで分かる範囲でしたら、纏めておきます。こちらもでき次第、届けましょう」
「そうしてもらえると、有り難い」
少女は指導役という女中に託された。
部屋を連れ出される際に、ちらりと視線が俺を見たから、にこりと笑いかけた。
良かった、無事で。本当に……良かった。
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