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二度目の祝い 2
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大きな藁玉に沢山刺された簪を中心にして、呼び込みをしている女性たちがいた。
それは今回の、この祭りの話題の一つとなっている品だった。秘匿権品を売買する出店なのだ。
「これどう使うんだ?」
「結えた髪に刺して使うんだよ。
まっすぐより、少しうねらせながら刺す方が、抜けにくい」
「ほら兄さん、こんな風にね」
「おぉっ、こりゃあ良いな……だけど銀貨かぁ……」
隣の男が、売り子の女性と品を吟味していた。その表情はどこか渋い。
「まだここにしか売ってない、この村だけの特別な品だよ」
「だけどただの棒に飾りがついてんだろ? こんなんで秘匿権かよ……」
「今まで誰も取ってないんだから仕方ない。秘匿権は取ったもの勝ちさ」
「それな!」
「だけど安いよ。秘匿品なのに、銀貨二枚だよ」
「この銅貨のすら、普通だったら金貨でだって買えない。それが秘匿権ってもんさ」
木の棒に、飾りを彫ったものは銅貨でも買える。
今まで、ただの棒を髪飾りとして申請している者はおらず、この構造で秘匿権が取れてしまったのだよな……。
どちらにしろ、すぐに無償開示へと踏み切るつもりだけど、どうせただの棒を装飾品として出すなど、誰も思い付かないし作らないから、迷惑を被る相手もいないだろう。
そう思い、今回話題作りとして、この秘匿権を活用している。
申請費用はちゃんと払っているから、文句を言われる筋合いもないのだ。
男の見ていたものは銀貨の品。木彫りだけど、飾り部分に少し金属の細工と硝子が使ってある。様々な意匠があり、ただ木彫りだけの品であっても、見栄えは劣らないだろう。
棒に漆を塗って装飾し、金属の飾りを付けているものは割高だが、それでも金貨一枚から三枚という値段だ。
藁玉に沢山刺してあるそれらは、前日の準備で用意されていた時より、随分と量が減っていた。
金貨のやつも結構売れている……。
だけど、俺の狙っていたやつは、やっぱり売れていない。
「その、真ん中の、黄金の花をおくれ」
「うわっ、兄ちゃん値段見たのかよ⁉︎」
銀貨二枚の簪を見て唸っていた男の横から、売り子の女性にそう声をかけたら、一瞬で周りの視線が俺に刺さった。
「うん。……妻への土産にするから」
まだ妻じゃないけど。
「大商人かよ~」
「違うけど、俺の伝えたい感謝の気持ちは、この金額でも全然足りないと思っているよ」
制作中に見かけた時から、目をつけていた。
その場で職人から直接買い取ることもできたけれど、今日ここで買うことに意味があった。
軸も全て銀細工の品。黄金色なのは、花の部分は黄金で鍍金してあるからだ。ここで一番、値の張る品のひとつ。
地方から来た職人が手掛けた。透し彫りの得意なロビンが唸るほどの逸品。
祭りに出られず、留守番しているサヤに。この雰囲気を届けたかったし、愛しているのだと伝えたかったから、必ず買って帰るつもりでいた。
今、サヤとハインを残し、皆がそれぞれ、村の中に繰り出し、色んな所で祭りを楽しんでいると思う。
一瞬、シン……と、静まった場であったけれど、次の瞬間、バンバン背中を叩かれた。売り子の女性に。
別の女性らも、精一杯の拍手を送ってくれる。
まぁ……一番の大物が売れたんだもんな。喜ぶか。
「……兄さん、あんた偉いよ!」
「そんな言葉一度でいいから言われてみたい!」
「奥方は本当に幸せものだねぇ!」
違った。俺の言葉を褒め称えてくれていた。なんか恥ずかしいな……。
「まけてやれないけど、木箱に入れてやるからね!」
「有難う」
「金貨五枚の品出るよー‼︎」
おおおぉぉぉ⁉︎ と、周りがどよめいた。
目玉商品のひとつなのだ、この金貨五枚の簪。何せ二本しか作られていない。
俺の買った簪の意匠は、芍薬を模してある。薄い金属を細かく透し彫りにし、内側に巻くように折り曲げて、少し綻びかけた蕾のような構造を、見事に表現していた。
重なり合う花びら一枚一枚の中にも、色々な模様が仕込まれている、これを作った人物の腕は相当だと、その見た目だけで伺わせる品。
先走ったように、一枚だけ開いた花弁には、極小の真珠が水滴を模して添えてあり、その一粒にまた、風情があるのだ。
「あぁ……絶対に似合う。綺麗だろうな……」
サヤの黒髪に映えるだろう。
サヤにはやっぱり、真珠が一番似合うと、俺も思う。
「兄さん嫁大好きかよ!」
つい呟いた言葉に、野次を飛ばされた。口笛が吹かれ、揶揄いの言葉や祝いの言葉が飛び交う。
「うん。俺には高嶺の花だと思っていた人なんだ」
「金持ちなら女は選びたい放題じゃねぇのかよ~」
「誰でも良いなんて……貴方だって思っていないだろう?」
「…………」
真面目に答えたらちょっと引かれたけれど……。だけど銀貨二枚の品を高いと感じつつも迷っているのは、意中の人に捧げたいからだろう?
俺に嫌味を言うのも、高額な品をパッと買えるなんてと、腹が立ったからだ。
「俺の妻は高価な品を喜んでくれる人じゃない……。だけど、俺はこれが似合うと思うから、買うんだよ」
そう言うと、俺の言葉を挑発と捉えたのか、男はガシガシと己の頭を掻いてから、半分喚くみたいに言った。
「あぁもう、決めた! それ買う!俺に金貨五枚は無理だけど!」
するとすかさず、売り子の女性が言葉を返す。
「金額じゃないよ兄さん。気持ちが大切なのさ。木箱は無理だけど、紙箱に入れてやるからね」
「紙箱ぉ⁉︎」
「初めて聞くだろう? これもまだこの村にしかないから、きっとびっくりされるよ」
「紙箱も綺麗だよ。ほら、この箱。柄は選ばせてあげる」
「え、良いのか……?」
「あたしたちからの応援ってことさ」
粋なことを言う売り子だな。木箱も紙箱も、これを買えばついてくると決まっているものなのだけど、そう言われると満更でもない。
銅貨の品は、紙箱には入らないけど紙袋に入れてもらえる。これも飾り紐で結ばれ、結構可愛い。
其々の簪が箱にしまわれ、手渡された。
金を払うと、毎度ありと笑顔を振りまいてくれた。
「奥さんによろしくね」
「うん。有難う」
箱はオブシズが無言で受け取り、懐の隠しにしまった。
高価な品だし、盗まれぬようにという配慮だろう。
男も、紙箱を大事そうに握り締めていた。意中の人によろしく。喜んでもらえると良いな。
「有難う、そろそろ戻るよ」
「そうしてくれ……」
注目が集まったせいで、バレやしないかとヒヤヒヤしていたオブシズにそんな風に言われ、俺は大人しく、来た方向に足を向けた。
その背中に、また誰かの会話が飛んでくる。
「それにしても、せっかくの祭りなのに当人は出てこないのかよ?」
グッと、心臓を掴まれたように感じたけれど、それはすぐに、ふんわりと解れた。
「あんた分かってねぇなぁ……」
「自分たちがいたら、俺たちが楽しめないって、そんな風に考える人たちなんだよ」
「はぁ?」
「嘘みたいだって? だけどここにいたら、きっと分かるぜ」
「ここはお貴族様の研究施設である前に、職人の村ってことさ」
「俺たちが主役だって、あの人たちは、そう言ってくれるんだよ。
この祭りだって奥方様の誕生祝いだけど、俺たちのための祭りなんだ」
それは今回の、この祭りの話題の一つとなっている品だった。秘匿権品を売買する出店なのだ。
「これどう使うんだ?」
「結えた髪に刺して使うんだよ。
まっすぐより、少しうねらせながら刺す方が、抜けにくい」
「ほら兄さん、こんな風にね」
「おぉっ、こりゃあ良いな……だけど銀貨かぁ……」
隣の男が、売り子の女性と品を吟味していた。その表情はどこか渋い。
「まだここにしか売ってない、この村だけの特別な品だよ」
「だけどただの棒に飾りがついてんだろ? こんなんで秘匿権かよ……」
「今まで誰も取ってないんだから仕方ない。秘匿権は取ったもの勝ちさ」
「それな!」
「だけど安いよ。秘匿品なのに、銀貨二枚だよ」
「この銅貨のすら、普通だったら金貨でだって買えない。それが秘匿権ってもんさ」
木の棒に、飾りを彫ったものは銅貨でも買える。
今まで、ただの棒を髪飾りとして申請している者はおらず、この構造で秘匿権が取れてしまったのだよな……。
どちらにしろ、すぐに無償開示へと踏み切るつもりだけど、どうせただの棒を装飾品として出すなど、誰も思い付かないし作らないから、迷惑を被る相手もいないだろう。
そう思い、今回話題作りとして、この秘匿権を活用している。
申請費用はちゃんと払っているから、文句を言われる筋合いもないのだ。
男の見ていたものは銀貨の品。木彫りだけど、飾り部分に少し金属の細工と硝子が使ってある。様々な意匠があり、ただ木彫りだけの品であっても、見栄えは劣らないだろう。
棒に漆を塗って装飾し、金属の飾りを付けているものは割高だが、それでも金貨一枚から三枚という値段だ。
藁玉に沢山刺してあるそれらは、前日の準備で用意されていた時より、随分と量が減っていた。
金貨のやつも結構売れている……。
だけど、俺の狙っていたやつは、やっぱり売れていない。
「その、真ん中の、黄金の花をおくれ」
「うわっ、兄ちゃん値段見たのかよ⁉︎」
銀貨二枚の簪を見て唸っていた男の横から、売り子の女性にそう声をかけたら、一瞬で周りの視線が俺に刺さった。
「うん。……妻への土産にするから」
まだ妻じゃないけど。
「大商人かよ~」
「違うけど、俺の伝えたい感謝の気持ちは、この金額でも全然足りないと思っているよ」
制作中に見かけた時から、目をつけていた。
その場で職人から直接買い取ることもできたけれど、今日ここで買うことに意味があった。
軸も全て銀細工の品。黄金色なのは、花の部分は黄金で鍍金してあるからだ。ここで一番、値の張る品のひとつ。
地方から来た職人が手掛けた。透し彫りの得意なロビンが唸るほどの逸品。
祭りに出られず、留守番しているサヤに。この雰囲気を届けたかったし、愛しているのだと伝えたかったから、必ず買って帰るつもりでいた。
今、サヤとハインを残し、皆がそれぞれ、村の中に繰り出し、色んな所で祭りを楽しんでいると思う。
一瞬、シン……と、静まった場であったけれど、次の瞬間、バンバン背中を叩かれた。売り子の女性に。
別の女性らも、精一杯の拍手を送ってくれる。
まぁ……一番の大物が売れたんだもんな。喜ぶか。
「……兄さん、あんた偉いよ!」
「そんな言葉一度でいいから言われてみたい!」
「奥方は本当に幸せものだねぇ!」
違った。俺の言葉を褒め称えてくれていた。なんか恥ずかしいな……。
「まけてやれないけど、木箱に入れてやるからね!」
「有難う」
「金貨五枚の品出るよー‼︎」
おおおぉぉぉ⁉︎ と、周りがどよめいた。
目玉商品のひとつなのだ、この金貨五枚の簪。何せ二本しか作られていない。
俺の買った簪の意匠は、芍薬を模してある。薄い金属を細かく透し彫りにし、内側に巻くように折り曲げて、少し綻びかけた蕾のような構造を、見事に表現していた。
重なり合う花びら一枚一枚の中にも、色々な模様が仕込まれている、これを作った人物の腕は相当だと、その見た目だけで伺わせる品。
先走ったように、一枚だけ開いた花弁には、極小の真珠が水滴を模して添えてあり、その一粒にまた、風情があるのだ。
「あぁ……絶対に似合う。綺麗だろうな……」
サヤの黒髪に映えるだろう。
サヤにはやっぱり、真珠が一番似合うと、俺も思う。
「兄さん嫁大好きかよ!」
つい呟いた言葉に、野次を飛ばされた。口笛が吹かれ、揶揄いの言葉や祝いの言葉が飛び交う。
「うん。俺には高嶺の花だと思っていた人なんだ」
「金持ちなら女は選びたい放題じゃねぇのかよ~」
「誰でも良いなんて……貴方だって思っていないだろう?」
「…………」
真面目に答えたらちょっと引かれたけれど……。だけど銀貨二枚の品を高いと感じつつも迷っているのは、意中の人に捧げたいからだろう?
俺に嫌味を言うのも、高額な品をパッと買えるなんてと、腹が立ったからだ。
「俺の妻は高価な品を喜んでくれる人じゃない……。だけど、俺はこれが似合うと思うから、買うんだよ」
そう言うと、俺の言葉を挑発と捉えたのか、男はガシガシと己の頭を掻いてから、半分喚くみたいに言った。
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するとすかさず、売り子の女性が言葉を返す。
「金額じゃないよ兄さん。気持ちが大切なのさ。木箱は無理だけど、紙箱に入れてやるからね」
「紙箱ぉ⁉︎」
「初めて聞くだろう? これもまだこの村にしかないから、きっとびっくりされるよ」
「紙箱も綺麗だよ。ほら、この箱。柄は選ばせてあげる」
「え、良いのか……?」
「あたしたちからの応援ってことさ」
粋なことを言う売り子だな。木箱も紙箱も、これを買えばついてくると決まっているものなのだけど、そう言われると満更でもない。
銅貨の品は、紙箱には入らないけど紙袋に入れてもらえる。これも飾り紐で結ばれ、結構可愛い。
其々の簪が箱にしまわれ、手渡された。
金を払うと、毎度ありと笑顔を振りまいてくれた。
「奥さんによろしくね」
「うん。有難う」
箱はオブシズが無言で受け取り、懐の隠しにしまった。
高価な品だし、盗まれぬようにという配慮だろう。
男も、紙箱を大事そうに握り締めていた。意中の人によろしく。喜んでもらえると良いな。
「有難う、そろそろ戻るよ」
「そうしてくれ……」
注目が集まったせいで、バレやしないかとヒヤヒヤしていたオブシズにそんな風に言われ、俺は大人しく、来た方向に足を向けた。
その背中に、また誰かの会話が飛んでくる。
「それにしても、せっかくの祭りなのに当人は出てこないのかよ?」
グッと、心臓を掴まれたように感じたけれど、それはすぐに、ふんわりと解れた。
「あんた分かってねぇなぁ……」
「自分たちがいたら、俺たちが楽しめないって、そんな風に考える人たちなんだよ」
「はぁ?」
「嘘みたいだって? だけどここにいたら、きっと分かるぜ」
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