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魔手 8
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視界を広に切り替えつつ、振り返りざまにそう口にすると、ドバキャッ!という、形容し難くもけたたましい音がし、ドカン……バシャン!と、音が続いた。
サヤたちの閉じ込められた馬車の扉が吹き飛び、何人かを跳ね飛ばし、木にぶつかって、最後に地面へと倒れたのだ。
あまりの状況に子供らも含め、視線が馬車に釘付けになる。唖然と飛んだ扉を見る……。
その間に俺は笛を加え、吹いていた。誰もこちらを見ていない。音のしない笛が、鳴り響く。
「ハヴェル、小刀をくれるか」
呆然と固まった子供らにそう言うと、真っ先に我に返ったトゥーレが、ハヴェルの腰帯から小刀をひったくる。
「俺の後ろに。すぐ助けが来てくれる」
そう言うと、トゥーレは急ぎ子供らの手を引っ張って、俺の後ろ側、道の端に身を寄せた。
それを見届けて、俺は深く息を吸い込み、腹に力を込める。
「武器を捨て、投降せよ。そうすれば、この場で切り捨てることはしない!」
急にそう宣言した俺に、我に返った男らの視線が戻る。
まだ気付いてくれるな。そう念じつつ、広の視界を見渡す。
誰もかれもが、場の状況がまだ理解できていない顔。けれど、条件反射なのか、小馬鹿にしたように首を傾げたひとりが、威圧するみたいに表情を険悪に歪め、一歩を踏み出した。
「はぁ? 何を巫山戯た……」
抵抗と見なす。
余計な動きをさせないための、見せしめになってもらおう。
次の瞬間、俺が放った小刀が、男の喉に突き刺さった。 これで俺の手は尽きた。
「もう其方らは、それ以外の道を持っていない」
「「カッ…………ゴホッ……は……」」
溺れてしまった人のような、ゴボゴボという音に掠れる呻き声。それが二箇所からあがる。
一投目。俺がサヤへの合図とともに放った小刀は、過たず頭の首に突き立っていた。それにより、彼は声が出せない。呼吸も苦しいことだろう。
喉に小刀を突き立てた男が倒れるのと同時期に、崩れるように膝をついた頭。皆は呆気にとられるだけで、状況の理解が追いついていないようだ。
目深に被った頭巾のせいで、喉の小刀がほぼ見えないのだから仕方がない。
残念。誰もお前を、助けに動いてはくれないよ。
俺が早くにこの決断を下していれば良かった……。
言い訳はいくらでも頭に浮かぶ。
あの時は誰が指示者か特定できていなかった……とか。
この連中の出方を探る必要があったから……とか。
正確な人数をきっちり確認できていなかったから……とか。
巻き込む人を極力減らしたかったから……とか。
情報を得るために、頭は生かして捕らえたかった……とか。
だけど結局は、俺が決意できなかっただけ。
人を手に掛ける覚悟が、定まらなかった。甘さを捨てられなかった……。
そのせいでサヤを、シザーを、あんな目に合わせてしまった……。
先程の合図により集っていた吠狼の者らが、木々の間から飛び出して来た。
馬車を囲み、俺たちを囲む。無論、こちらに背を向けて。
闇から染み出すように現れ、増える影たち。
いつの間にやら包囲されていた現実に、野盗一味はやっと気が付いた。
そうしてそこでようやっと、頭も絶命したのだろう。かしいだ身体がバシャリと地に崩れたことで、もう待っても命令は飛ばないのだと、理解できた。
動かなくなった頭の周りに、赤い輪が広がっていく……。
俺が待っていたのは、俺と子供達。サヤとカタリーナたちが、この連中から距離を取れる瞬間。
入り乱れていれば、誰かが人質として身を抑えられてしまうかもしれず、吠狼らが俺たちを守りやすくなる瞬間を待っていた。
彼らは不殺の約定がある。この危険な連中から、身を守ることしかできないのだ。だから、戦意を削ぐ必要があった。
使い慣れ、手に馴染んだ小刀は、覚悟さえ定まれば、目に焼き付けた場所に、放つだけだった。
一瞬の隙は、サヤが作ってくれた音。
そして指示者を失えば、彼らが動けないことも、理解していた。
一人の人物が、恐怖でもって集団を支配するというのは、そういうことだ。
配下に判断する余地を与えてこなかった。それがこの頭の敗因。
子供らに刃物を向けた吠狼の一人に、そちらは良いのだと告げた。
そうして今一度、子らをじっくりと見渡す。
もう無条件に信じることはしない。彼らに確実に、歯向かう気持ちが無いことを、きちんと見て、確認する。そうして納得できたから……。
「……怖かったな。だけど、もう大丈夫だ」
そう声を掛けたら、ワッとハヴェルが泣き伏した。更に馬を駆って騎士やオブシズ、ハインも到着し、後方では野盗らとの大捕物が始まっていた。
吠狼らに子供らの保護を命じて、俺も現場の指揮に向かう。
「場が収まるまで、馬車の中の女性らは表へ出すな。血は極力見せたくない……。
女性の吠狼は何人いる? 馬車には彼女らだけを向かわせてくれ」
淡々と指示を飛ばし、手当をと慌てる彼らを、後で良いからと遠去けた。
いつもなら怒りで我を忘れ、爛々と瞳を光らせていそうなハインが、今はまだ大人しい。
だから彼に、村の状況の報告をせよと告げた。
「村人に死者はおりません。
負傷者は多数に及びますが、真っ先に野盗らと接触したのが大工や石工らでしたので、被害は最小限と言えるでしょう。
分散され、全員を捕縛するのに少々骨が折れたようですが、無事に全て、召し捕えました。
現在、領主様とクロード様が村の対処を担っておられます」
「…………シザーは……」
「……死者はいないと、言いましたが?」
その言葉でようやっと、息が吸えた。
「あれでも武官です。覚悟はしておりますし、咄嗟でも急所を逸らすくらいのことはします」
冷めた口調でそう言ったハインは、もう宜しいでしょう? と、俺の手を取る。
瞳の奥に、焦燥に駆られたような、憐憫のような気配をちらつかせたけれど、それは直ぐに隠された。
「傷の手当ては、帰ってからにいたしましょう。とりあえずは、村へお戻りください」
「その前に、カタリーナと話をしなければ」
ホッとしたせいか、痛みが鋭くなってきた脚で、馬車に向かった。
馬車の周りには女性の吠狼が五名。扉は壊れ飛んでしまったが、扉を繋ぐ蝶番が弾け飛んでしまっただけのようで、形は保っていた。
今馬車の中には行灯がひとつ用意されており、裸足のままであったサヤやカタリーナの足裏が応急処置されている姿が闇に浮かび上がっている。
やってきた俺に、ハッと身を硬くしたカタリーナ。
だから極力、怖くないように、距離を置いて笑いかける。
「ひどい目に合わせてしまった。貴女とジーナは、大事ないだろうか……」
「…………あ、あの…………」
必死に何かを、口にしようとするカタリーナ。そのカタリーナの首に、無言でかじりついたままのジーナ。
表情を固めてしまったまま、ジーナは、泣き声ひとつ、あげなかった。今に至っても。
それはとてつもない恐怖と心労を与えてしまったからだろう。幼い子に、酷い経験をさせてしまった……。
そしてカタリーナ……。彼女は理解している。この状況の原因を。
だけど、今は良いのだと、首を振った。
「まだ退けていない。この場を脱しただけだから、状況は、変わっていないんだ」
レイモンドも、ブリッジスもまだ健在。何も状況は、変わっていない。
俺の言葉に、ギュッと、歯をくいしばるカタリーナ。
俺が状況を全て承知していたということも、これで理解したのだと思う。
「だけど、もう何も、させはしない。何ひとつ。絶対にだ。
そのためにも、協力してほしい。勿論……戻って、落ち着いてからで良いから」
そう言うと。カタリーナはこくりと頷いた。
その瞳には強い意志が宿っており、もう彼女は大丈夫だと思えた。
それから…………。
「サヤ」
呼ぶと、ビクリと、身を竦ませる。
先程から……、カタリーナと言葉を交わす間もずっと、サヤの緊張は、伝わっていた。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。怖い。どうしよう。
そんな風に、サヤはずっと、暴れそうになる感情を必死で、抑え込んでいた。
当然だ。当然のことだ。あんな…………っ。
あんな酷い目に、合わせてしまったのだから……。
更に二歩下がって、サヤから距離を取った。
そうして極力怖がらせないように、苦しませないように、全力で微笑む。
瞳は見れなかった。見る、勇気が、無い……。
「良いんだよ。大丈夫、分かってる。
焦ることも、申し訳なく思うことも、必要無い。
サヤの心を否定しなくて良い。
それは、当然のことなんだから!」
心の傷を、深く、とても深く抉られたのだ。
その上で俺は、俺は…………サヤの前で……っ。
俺が怖くなって当然だ。
あの時だって俺は、サヤを助けることをしなかった。
逃げろと言いつつ、動かなかった。自らは何も、しなかったのだ……。
こんな極限の状態に追いやられても、サヤはここまで、必死に耐えた。一人きりで頑張った。
だから、もう何も、我慢しなくて良い。
「まずは戻って、ナジェスタに傷をきちんと、治療してもらおう。
それから、ゆっくり湯に浸かって、身体を温めて。その後はしっかり眠って、休んでほしい。
ちゃんと落ち着いてから……今後のことは、それから考えれば良いんだ。
あと……………………………………あ、……んな、……、ごめんっ」
ごめん。サヤを見捨てたのだと、そう思われたって仕方がない。
だから、サヤがどう考えても……それがどんな選択になっても、受け止めるから。
「引き上げる。後の対処は頼む」
ハインに、彼女らを丁重に扱うよう告げ、俺は馬車を離れた。
「戻ったら、ブリッジスと面会する」
「手当てが先です」
俺の表情も、状況も無視して、いつものままの調子でハイン。
そうしてくれたことが、とても有難かった。
サヤたちの閉じ込められた馬車の扉が吹き飛び、何人かを跳ね飛ばし、木にぶつかって、最後に地面へと倒れたのだ。
あまりの状況に子供らも含め、視線が馬車に釘付けになる。唖然と飛んだ扉を見る……。
その間に俺は笛を加え、吹いていた。誰もこちらを見ていない。音のしない笛が、鳴り響く。
「ハヴェル、小刀をくれるか」
呆然と固まった子供らにそう言うと、真っ先に我に返ったトゥーレが、ハヴェルの腰帯から小刀をひったくる。
「俺の後ろに。すぐ助けが来てくれる」
そう言うと、トゥーレは急ぎ子供らの手を引っ張って、俺の後ろ側、道の端に身を寄せた。
それを見届けて、俺は深く息を吸い込み、腹に力を込める。
「武器を捨て、投降せよ。そうすれば、この場で切り捨てることはしない!」
急にそう宣言した俺に、我に返った男らの視線が戻る。
まだ気付いてくれるな。そう念じつつ、広の視界を見渡す。
誰もかれもが、場の状況がまだ理解できていない顔。けれど、条件反射なのか、小馬鹿にしたように首を傾げたひとりが、威圧するみたいに表情を険悪に歪め、一歩を踏み出した。
「はぁ? 何を巫山戯た……」
抵抗と見なす。
余計な動きをさせないための、見せしめになってもらおう。
次の瞬間、俺が放った小刀が、男の喉に突き刺さった。 これで俺の手は尽きた。
「もう其方らは、それ以外の道を持っていない」
「「カッ…………ゴホッ……は……」」
溺れてしまった人のような、ゴボゴボという音に掠れる呻き声。それが二箇所からあがる。
一投目。俺がサヤへの合図とともに放った小刀は、過たず頭の首に突き立っていた。それにより、彼は声が出せない。呼吸も苦しいことだろう。
喉に小刀を突き立てた男が倒れるのと同時期に、崩れるように膝をついた頭。皆は呆気にとられるだけで、状況の理解が追いついていないようだ。
目深に被った頭巾のせいで、喉の小刀がほぼ見えないのだから仕方がない。
残念。誰もお前を、助けに動いてはくれないよ。
俺が早くにこの決断を下していれば良かった……。
言い訳はいくらでも頭に浮かぶ。
あの時は誰が指示者か特定できていなかった……とか。
この連中の出方を探る必要があったから……とか。
正確な人数をきっちり確認できていなかったから……とか。
巻き込む人を極力減らしたかったから……とか。
情報を得るために、頭は生かして捕らえたかった……とか。
だけど結局は、俺が決意できなかっただけ。
人を手に掛ける覚悟が、定まらなかった。甘さを捨てられなかった……。
そのせいでサヤを、シザーを、あんな目に合わせてしまった……。
先程の合図により集っていた吠狼の者らが、木々の間から飛び出して来た。
馬車を囲み、俺たちを囲む。無論、こちらに背を向けて。
闇から染み出すように現れ、増える影たち。
いつの間にやら包囲されていた現実に、野盗一味はやっと気が付いた。
そうしてそこでようやっと、頭も絶命したのだろう。かしいだ身体がバシャリと地に崩れたことで、もう待っても命令は飛ばないのだと、理解できた。
動かなくなった頭の周りに、赤い輪が広がっていく……。
俺が待っていたのは、俺と子供達。サヤとカタリーナたちが、この連中から距離を取れる瞬間。
入り乱れていれば、誰かが人質として身を抑えられてしまうかもしれず、吠狼らが俺たちを守りやすくなる瞬間を待っていた。
彼らは不殺の約定がある。この危険な連中から、身を守ることしかできないのだ。だから、戦意を削ぐ必要があった。
使い慣れ、手に馴染んだ小刀は、覚悟さえ定まれば、目に焼き付けた場所に、放つだけだった。
一瞬の隙は、サヤが作ってくれた音。
そして指示者を失えば、彼らが動けないことも、理解していた。
一人の人物が、恐怖でもって集団を支配するというのは、そういうことだ。
配下に判断する余地を与えてこなかった。それがこの頭の敗因。
子供らに刃物を向けた吠狼の一人に、そちらは良いのだと告げた。
そうして今一度、子らをじっくりと見渡す。
もう無条件に信じることはしない。彼らに確実に、歯向かう気持ちが無いことを、きちんと見て、確認する。そうして納得できたから……。
「……怖かったな。だけど、もう大丈夫だ」
そう声を掛けたら、ワッとハヴェルが泣き伏した。更に馬を駆って騎士やオブシズ、ハインも到着し、後方では野盗らとの大捕物が始まっていた。
吠狼らに子供らの保護を命じて、俺も現場の指揮に向かう。
「場が収まるまで、馬車の中の女性らは表へ出すな。血は極力見せたくない……。
女性の吠狼は何人いる? 馬車には彼女らだけを向かわせてくれ」
淡々と指示を飛ばし、手当をと慌てる彼らを、後で良いからと遠去けた。
いつもなら怒りで我を忘れ、爛々と瞳を光らせていそうなハインが、今はまだ大人しい。
だから彼に、村の状況の報告をせよと告げた。
「村人に死者はおりません。
負傷者は多数に及びますが、真っ先に野盗らと接触したのが大工や石工らでしたので、被害は最小限と言えるでしょう。
分散され、全員を捕縛するのに少々骨が折れたようですが、無事に全て、召し捕えました。
現在、領主様とクロード様が村の対処を担っておられます」
「…………シザーは……」
「……死者はいないと、言いましたが?」
その言葉でようやっと、息が吸えた。
「あれでも武官です。覚悟はしておりますし、咄嗟でも急所を逸らすくらいのことはします」
冷めた口調でそう言ったハインは、もう宜しいでしょう? と、俺の手を取る。
瞳の奥に、焦燥に駆られたような、憐憫のような気配をちらつかせたけれど、それは直ぐに隠された。
「傷の手当ては、帰ってからにいたしましょう。とりあえずは、村へお戻りください」
「その前に、カタリーナと話をしなければ」
ホッとしたせいか、痛みが鋭くなってきた脚で、馬車に向かった。
馬車の周りには女性の吠狼が五名。扉は壊れ飛んでしまったが、扉を繋ぐ蝶番が弾け飛んでしまっただけのようで、形は保っていた。
今馬車の中には行灯がひとつ用意されており、裸足のままであったサヤやカタリーナの足裏が応急処置されている姿が闇に浮かび上がっている。
やってきた俺に、ハッと身を硬くしたカタリーナ。
だから極力、怖くないように、距離を置いて笑いかける。
「ひどい目に合わせてしまった。貴女とジーナは、大事ないだろうか……」
「…………あ、あの…………」
必死に何かを、口にしようとするカタリーナ。そのカタリーナの首に、無言でかじりついたままのジーナ。
表情を固めてしまったまま、ジーナは、泣き声ひとつ、あげなかった。今に至っても。
それはとてつもない恐怖と心労を与えてしまったからだろう。幼い子に、酷い経験をさせてしまった……。
そしてカタリーナ……。彼女は理解している。この状況の原因を。
だけど、今は良いのだと、首を振った。
「まだ退けていない。この場を脱しただけだから、状況は、変わっていないんだ」
レイモンドも、ブリッジスもまだ健在。何も状況は、変わっていない。
俺の言葉に、ギュッと、歯をくいしばるカタリーナ。
俺が状況を全て承知していたということも、これで理解したのだと思う。
「だけど、もう何も、させはしない。何ひとつ。絶対にだ。
そのためにも、協力してほしい。勿論……戻って、落ち着いてからで良いから」
そう言うと。カタリーナはこくりと頷いた。
その瞳には強い意志が宿っており、もう彼女は大丈夫だと思えた。
それから…………。
「サヤ」
呼ぶと、ビクリと、身を竦ませる。
先程から……、カタリーナと言葉を交わす間もずっと、サヤの緊張は、伝わっていた。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。怖い。どうしよう。
そんな風に、サヤはずっと、暴れそうになる感情を必死で、抑え込んでいた。
当然だ。当然のことだ。あんな…………っ。
あんな酷い目に、合わせてしまったのだから……。
更に二歩下がって、サヤから距離を取った。
そうして極力怖がらせないように、苦しませないように、全力で微笑む。
瞳は見れなかった。見る、勇気が、無い……。
「良いんだよ。大丈夫、分かってる。
焦ることも、申し訳なく思うことも、必要無い。
サヤの心を否定しなくて良い。
それは、当然のことなんだから!」
心の傷を、深く、とても深く抉られたのだ。
その上で俺は、俺は…………サヤの前で……っ。
俺が怖くなって当然だ。
あの時だって俺は、サヤを助けることをしなかった。
逃げろと言いつつ、動かなかった。自らは何も、しなかったのだ……。
こんな極限の状態に追いやられても、サヤはここまで、必死に耐えた。一人きりで頑張った。
だから、もう何も、我慢しなくて良い。
「まずは戻って、ナジェスタに傷をきちんと、治療してもらおう。
それから、ゆっくり湯に浸かって、身体を温めて。その後はしっかり眠って、休んでほしい。
ちゃんと落ち着いてから……今後のことは、それから考えれば良いんだ。
あと……………………………………あ、……んな、……、ごめんっ」
ごめん。サヤを見捨てたのだと、そう思われたって仕方がない。
だから、サヤがどう考えても……それがどんな選択になっても、受け止めるから。
「引き上げる。後の対処は頼む」
ハインに、彼女らを丁重に扱うよう告げ、俺は馬車を離れた。
「戻ったら、ブリッジスと面会する」
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