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クロード 4
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「私に事情をお話しくださったこと、有難く思います。
私に否やはございません」
「ありがとう」
彼女を受け入れてくれて。
身分が高ければ高いほど、彼女のように自ら働き、武術を身に付け、前に立つことは卑俗とされる。
クロードだって、そう考える可能性は大いにあった。
ホッと胸を撫で下ろすと、種明かしをしてくれた。
「実は私の妻は、刺繍をとても好んでおりまして。
まだ子爵家で、自らの立場を知らぬうちは、家計の足しにと針を扱っていたこともあるのです。
私に嫁いで来た際も、手ずから針を刺した短衣を身に纏っておりました。
それはもう見事な、まるで風景の一部を切り取ったかのような素晴らしきもので。
あれが私の、妻に興味を抱いた切っ掛けだったのですよ」
上質な素材ではあっても、簡素な上着であったそうだ。
短衣も袴も、敢えて無地を選んであったという。
なのに何故か見えぬ場所……上着に隠れる袖に、刺繍を施してあった。
「我慢できなかったのだと、頬を染めておりました。
どうせ形だけの婚姻で、上着の内を見られることはないだろうからと、やりだしたら止まらなくなってしまったと。
その手業の素晴らしさに言葉を失いました。
数年後に……幼き頃からずっと、家の中で過ごすことしか、許されなかった身であったがゆえに……手慰みで始めた刺繍だったのだと聞いた時は、ひたすらに胸が痛みました。
袖の刺繍も、見咎められぬようあの場所を選び、短衣と同じ色のみで、敢えて目立たぬように刺されていたのだと……」
あんなに美しいものが、陽の目を見ないことが歯痒かったと、クロードは言う。
それだけの年月をただひたすらに捧げて手にしたものが、まるで認められないことが、我慢ならなかったと。
あぁ、だから彼はこんなにも、優しいのか。
だから妻を愛し、子を愛し、それゆえに苦しんだのだろう……。
「……セイバーンの拠点村は、職人の村だから。女性の働き手など、いくらだっている。
サヤもね、ひとつ仮姿を持っていて、意匠師をしていたりするんだよ。
クロードの奥方も、もし名を出すのが難しいなら、仮姿で針を持つのも良いかもしれない。
俺も是非見てみたいな。その素晴らしき刺繍」
つい、そう口にしてしまったのは……こんな話を耳にして、黙ってなどいられなかったからだ。
そんな俺を諌めるべきマルも、俺の口にしたことに少々眉を寄せたものの、結局溜息を吐く。
「……レイ様学舎で奇姫なんて呼ばれてたんですよぅ。
こうして商人の友人と連んで職人の手業に触れて来ていますし、その辺りの偏見は全然無い方ですから、そこはご安心ください。
なんならバート商会と縁を持たれては如何ですか。ここ、その手の仕事も色々ありますもんねぇ」
見えないところでこそこそされるよりは、関わって監視できる方が良いと判断したのだと思う。
そんな言葉を添えてくれた。
そして話が途切れたのを見計らったのか、サヤがやっと戻って来て、それぞれにお茶を配る。
「本日食べてもらった料理もね、秘匿権登録しているものが含まれているんです。彼女はそれを、無償で我々に与えてくれました。皆が美味しいと笑ってくれることが嬉しいのだって。
僕らはその考え方に感銘を受けた。結局は彼女が発端なんですよね。
今は農民だって作ったりするんですよ、この美味な料理を!
だからねぇ……人は、秘匿権で雁字搦めにされるべきじゃないんですよ。
奪い、奪われるじゃなくて、分け与え、助け合っていく……その先にしか、明るい未来なんてものは、無いと思うんですけどねぇ」
そう言ってマルは、お茶を啜った。
◆
「そりゃ、打ち合わせくらいしてますって。レイ様は早々に酩酊して寝落ちちゃったから知らないでしょうけれど、公爵家の者が絡むんですよ?
流石にまずいから、夜のうちに色々口裏合わせも済ませておいたんですよ」
クロードが戻ってから、昼食の準備は元々マルからお願いしてあったのだという話を聞かされた。
それでサヤが姿を現さなかったのか……怒ってたからじゃなくて良かった……。
「サヤくんの事情説明も、もう皆で揃えてますからご安心くださいねぇ。
陛下に伝えてあることとも齟齬の起こらないように、ちゃんと話も纏めておきましたしね」
深い事情を知らないユミルやナジェスタたちが聞いても問題無いよう、設定は練ってくれた様子。
これからはあまり深く関わっていない相手とも接していくことが増えるだろうから、サヤが極力心労を重ねぬよう、配慮してくれたのだ。
そしてこれからも、この話で押し通すとのこと。
「挨拶に関しても、国の習慣が違うことを伝えればある程度辞退していただけると思います。
それでも強引に来る輩は、クロード様が諌めてくださいますよ。何せお立場だけはそうそう上の者が存在しない方ですし」
そういうのを織り込むためにも、あの話は伝えておくべきだったのだとマル。
サヤがお茶を用意するために退室したのは、彼女は俺たちほど表情の制御がきかないから、バレてしまわぬように退散させられたのだそうだ。
「き、聞いておくのは流石に、恥ずかしくて……」
「恥ずかしがるほどのものですかねぇ? だって理解しやすく言い換えてるだけで、殆ど嘘混ざってませんもん」
「なんか凄く美化されてるって感じたんですけど⁉︎」
「…………ほぼ素の話だったのに?」
彼女の恥ずかしがる部分ってよく分からないなぁ……。
そんな風に考えていたら、急に上着を脱がされた。
「そんなことよりも。
レイシール様は早くお召し替えを。誕生日、半分以上消費してしまったのですから、もう無駄にはできません。
早く脱いでください」
「脱がしてから言う⁉︎」
「昨日は自分からホイホイ脱いだではありませんか。今更なんだというのです?」
「いや、そうじゃなくて、俺の扱い雑じゃないかって話でね⁉︎」
だけど抗議のいとまも与えられず、俺はあっという間にひっぺがされ、使用人風の衣服を強引に着せられた。
髪も解かれ、少々乱暴に、首後ろで一括りに纏められる。
「では行ってらっしゃいませ」
そうしてバート商会の裏口から、サヤと二人、ペイっと放り出された。
その間、僅か五分程度……。
『………………』
二人で顔を見合わせて沈黙……。
頬を染めたサヤがサッと視線を逸らすから、俺は……。
「その、昨日は本当に、ごめん……」
そう言うと、サヤは「き、気にしてませんから!」と、更に視線を泳がせる……。いや、それ気にしてる態度だよね……。
その落ち着かない言動に反省しつつ、それでもこの状況に嬉しさが込み上げてくる自分が、情けない。
「……どうせ戻れないのだし、暫くその辺をぶらぶらしようか。
まぁその……サヤが、俺を嫌じゃなければ……なんだけど……」
「…………嫌、と言うほどでは、ない、です……」
「そう、良かった。
……ならば、参りましょうか? お嬢様」
使用人風に、そう呼びかけたのだけど、陽除け外套を強引に引き下ろし、目元を隠したたサヤが、それでは隠しきれない赤い首元を晒して、本当にか細い声で「はぃ……」と、言葉を震わせるものだから……。その可愛さに吐くかと思った。
駄目だ、恥ずかしがる姿に可愛さしかない……俺、身が持つだろうか……。
いや、保たせなきゃ駄目でしょ。
恐る恐る手を差し出すと、本当に、触れるか触れないかくらい、細やかにサヤの手が添えられる。
それを握ると、一瞬引っ込みそうに手が動いたけれど、力を入れて捕まえた。
「逃げないで…………もう、お酒は抜けてるから、何も、しない」
「そ、そんなことは、承知していますから、大丈夫、です」
「じゃぁ……」
「は、はい。……行きましょう」
そうして俺たち二人は、お互いに少々遠慮しつつ、街の喧騒に足を向けたのだった。
私に否やはございません」
「ありがとう」
彼女を受け入れてくれて。
身分が高ければ高いほど、彼女のように自ら働き、武術を身に付け、前に立つことは卑俗とされる。
クロードだって、そう考える可能性は大いにあった。
ホッと胸を撫で下ろすと、種明かしをしてくれた。
「実は私の妻は、刺繍をとても好んでおりまして。
まだ子爵家で、自らの立場を知らぬうちは、家計の足しにと針を扱っていたこともあるのです。
私に嫁いで来た際も、手ずから針を刺した短衣を身に纏っておりました。
それはもう見事な、まるで風景の一部を切り取ったかのような素晴らしきもので。
あれが私の、妻に興味を抱いた切っ掛けだったのですよ」
上質な素材ではあっても、簡素な上着であったそうだ。
短衣も袴も、敢えて無地を選んであったという。
なのに何故か見えぬ場所……上着に隠れる袖に、刺繍を施してあった。
「我慢できなかったのだと、頬を染めておりました。
どうせ形だけの婚姻で、上着の内を見られることはないだろうからと、やりだしたら止まらなくなってしまったと。
その手業の素晴らしさに言葉を失いました。
数年後に……幼き頃からずっと、家の中で過ごすことしか、許されなかった身であったがゆえに……手慰みで始めた刺繍だったのだと聞いた時は、ひたすらに胸が痛みました。
袖の刺繍も、見咎められぬようあの場所を選び、短衣と同じ色のみで、敢えて目立たぬように刺されていたのだと……」
あんなに美しいものが、陽の目を見ないことが歯痒かったと、クロードは言う。
それだけの年月をただひたすらに捧げて手にしたものが、まるで認められないことが、我慢ならなかったと。
あぁ、だから彼はこんなにも、優しいのか。
だから妻を愛し、子を愛し、それゆえに苦しんだのだろう……。
「……セイバーンの拠点村は、職人の村だから。女性の働き手など、いくらだっている。
サヤもね、ひとつ仮姿を持っていて、意匠師をしていたりするんだよ。
クロードの奥方も、もし名を出すのが難しいなら、仮姿で針を持つのも良いかもしれない。
俺も是非見てみたいな。その素晴らしき刺繍」
つい、そう口にしてしまったのは……こんな話を耳にして、黙ってなどいられなかったからだ。
そんな俺を諌めるべきマルも、俺の口にしたことに少々眉を寄せたものの、結局溜息を吐く。
「……レイ様学舎で奇姫なんて呼ばれてたんですよぅ。
こうして商人の友人と連んで職人の手業に触れて来ていますし、その辺りの偏見は全然無い方ですから、そこはご安心ください。
なんならバート商会と縁を持たれては如何ですか。ここ、その手の仕事も色々ありますもんねぇ」
見えないところでこそこそされるよりは、関わって監視できる方が良いと判断したのだと思う。
そんな言葉を添えてくれた。
そして話が途切れたのを見計らったのか、サヤがやっと戻って来て、それぞれにお茶を配る。
「本日食べてもらった料理もね、秘匿権登録しているものが含まれているんです。彼女はそれを、無償で我々に与えてくれました。皆が美味しいと笑ってくれることが嬉しいのだって。
僕らはその考え方に感銘を受けた。結局は彼女が発端なんですよね。
今は農民だって作ったりするんですよ、この美味な料理を!
だからねぇ……人は、秘匿権で雁字搦めにされるべきじゃないんですよ。
奪い、奪われるじゃなくて、分け与え、助け合っていく……その先にしか、明るい未来なんてものは、無いと思うんですけどねぇ」
そう言ってマルは、お茶を啜った。
◆
「そりゃ、打ち合わせくらいしてますって。レイ様は早々に酩酊して寝落ちちゃったから知らないでしょうけれど、公爵家の者が絡むんですよ?
流石にまずいから、夜のうちに色々口裏合わせも済ませておいたんですよ」
クロードが戻ってから、昼食の準備は元々マルからお願いしてあったのだという話を聞かされた。
それでサヤが姿を現さなかったのか……怒ってたからじゃなくて良かった……。
「サヤくんの事情説明も、もう皆で揃えてますからご安心くださいねぇ。
陛下に伝えてあることとも齟齬の起こらないように、ちゃんと話も纏めておきましたしね」
深い事情を知らないユミルやナジェスタたちが聞いても問題無いよう、設定は練ってくれた様子。
これからはあまり深く関わっていない相手とも接していくことが増えるだろうから、サヤが極力心労を重ねぬよう、配慮してくれたのだ。
そしてこれからも、この話で押し通すとのこと。
「挨拶に関しても、国の習慣が違うことを伝えればある程度辞退していただけると思います。
それでも強引に来る輩は、クロード様が諌めてくださいますよ。何せお立場だけはそうそう上の者が存在しない方ですし」
そういうのを織り込むためにも、あの話は伝えておくべきだったのだとマル。
サヤがお茶を用意するために退室したのは、彼女は俺たちほど表情の制御がきかないから、バレてしまわぬように退散させられたのだそうだ。
「き、聞いておくのは流石に、恥ずかしくて……」
「恥ずかしがるほどのものですかねぇ? だって理解しやすく言い換えてるだけで、殆ど嘘混ざってませんもん」
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「…………ほぼ素の話だったのに?」
彼女の恥ずかしがる部分ってよく分からないなぁ……。
そんな風に考えていたら、急に上着を脱がされた。
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レイシール様は早くお召し替えを。誕生日、半分以上消費してしまったのですから、もう無駄にはできません。
早く脱いでください」
「脱がしてから言う⁉︎」
「昨日は自分からホイホイ脱いだではありませんか。今更なんだというのです?」
「いや、そうじゃなくて、俺の扱い雑じゃないかって話でね⁉︎」
だけど抗議のいとまも与えられず、俺はあっという間にひっぺがされ、使用人風の衣服を強引に着せられた。
髪も解かれ、少々乱暴に、首後ろで一括りに纏められる。
「では行ってらっしゃいませ」
そうしてバート商会の裏口から、サヤと二人、ペイっと放り出された。
その間、僅か五分程度……。
『………………』
二人で顔を見合わせて沈黙……。
頬を染めたサヤがサッと視線を逸らすから、俺は……。
「その、昨日は本当に、ごめん……」
そう言うと、サヤは「き、気にしてませんから!」と、更に視線を泳がせる……。いや、それ気にしてる態度だよね……。
その落ち着かない言動に反省しつつ、それでもこの状況に嬉しさが込み上げてくる自分が、情けない。
「……どうせ戻れないのだし、暫くその辺をぶらぶらしようか。
まぁその……サヤが、俺を嫌じゃなければ……なんだけど……」
「…………嫌、と言うほどでは、ない、です……」
「そう、良かった。
……ならば、参りましょうか? お嬢様」
使用人風に、そう呼びかけたのだけど、陽除け外套を強引に引き下ろし、目元を隠したたサヤが、それでは隠しきれない赤い首元を晒して、本当にか細い声で「はぃ……」と、言葉を震わせるものだから……。その可愛さに吐くかと思った。
駄目だ、恥ずかしがる姿に可愛さしかない……俺、身が持つだろうか……。
いや、保たせなきゃ駄目でしょ。
恐る恐る手を差し出すと、本当に、触れるか触れないかくらい、細やかにサヤの手が添えられる。
それを握ると、一瞬引っ込みそうに手が動いたけれど、力を入れて捕まえた。
「逃げないで…………もう、お酒は抜けてるから、何も、しない」
「そ、そんなことは、承知していますから、大丈夫、です」
「じゃぁ……」
「は、はい。……行きましょう」
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