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社交界 15
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「…………レイシール、何も変わっておらぬではないか」
「変わりましたよ」
「見分けが付かぬようでは意味がない。前と変わらぬでは、偽造印を使われても判断が付かぬ」
「付きますよ。分かります。そういう風に考えました」
俺の言葉に、姫さまが眉をひそめ、セイバーン領主印の押されたその紙を、アギー公爵様に手渡す。アギー公爵様も、それをまじまじと見つめたけれど…………。
「ふむぅ……どこが変わったか、私にも判断が付かぬな……。
強いて言うなら、滲みが……いくつかあるように見受けられる……むん? 滲み……?」
「流石、アギー公爵様。その滲みが何に見えるかは、口になさらないでください」
そう言うと、アギー公爵様は目を見張った。
そうしてその紙を、今一度姫様に差し出す。滲みの箇所を、一つだけ助言して。
「領主印の改定を、相手に悟られぬようにと言うのであれば、これが最も有効なのでは……という、結論に至りました。
印の中に潜ませたもの。それを正しく知るのは領主当人と、王家。そして製造元のアギーのみとすれば、たとえ偽造印が作られていたとしても、判別がつきます」
これは、サヤの国の紙幣に使われる技術。
緻密な絵柄の中に、文字や印を潜ませる……というものを真似たのだ。直径十糎という紋章印に、びっしりと張り巡らされた意匠。その中に不規則に散りばめられた極小の文字と模様……。
俺が潜ませた言葉は『かるら』と『つばきあぶら』そして、五枚の花弁が重なる花。言われてみればそう見えるかもしれないが……くらいの、本当に小さな変化。
並び方にも法則性は無く、文字を全て拾ったとしても意味は理解できないだろうし、そもそもこの世界に『椿』というものは存在しないことになっている。
カルラの名とて、殆どの者が知らない。その名をここに選んだ理由も。
アギー公爵様にも、姫様にも分からない……。
「後もうひとつ。
父上から、領主印を手に入れられる手段……可能性がある事例を、伺っています。
…………俺の祖父母…………先代領主夫妻の死亡事故。
領主印を所持した状態で、夫妻は崖より馬車ごと転落死。…………遺体は、正常な状態では見つからず、領主印も箱ごと不明となり、未だ発見されていないと……」
山間の崖から転落死した祖父母。御者と従者、護衛を含めた八名が死亡した事故であったらしい。
現場は雨により、緩んだ地盤が陥落、崖崩れが起きた様子で、道が半ばから崩れていた。偶然、居合わせた祖父母らの一行が、巻き込まれたのだろうということだった。
一向全員が巻き込まれたため報せも無く、発見されたのは七日後……。川を流れてきた馬車の残骸を頼りに捜索がなされた結果、行き着いたという。
遺体は獣に食われ、荒れた状態……荷物の中にあった領主印も見つからず、父上の領主印は同じものが再度作り直されたものであるそうだ。
箱の鍵は遺体とともに発見されているのだが、何十年と時間をかけることができれば、箱を壊すことも可能かもしれない……とのこと。
「ふむ……だがそれは、相当昔のことであるな。
セイバーン殿は、何故それを?」
「……全ての可能性を考慮すべきと考えたそうです。
……まぁ、ジェスルがセイバーンに関わるずっと前のことですから、本当に、可能性でしかないのですけど……」
それこそ、三十七年も過去だ。
いくらなんでもと思うのだが、可能性として……。
貴重な聖白石で作られたセイバーンの紋章印が、少なくともこの世に二つ存在しているのは事実。
だからそれを、無視すべきではないと考えたのだろう。
「まあ確かにな……可能性として、無いわけではない……か。
…………ふむ。そちらの方面も、ちと調べてみるのも一興か……」
状況を楽しむかのように、アギー公爵様は口髭をしごきつつ、なにやら楽しそうに呟く。
そして姫様は、俺たちの新たな提案、紋章印の意匠案を、食い入るように見入っていた。
「……ラ…………ア…………キ………ブ………またラ? 先程のラはどこだったか……同じものかな?」
「…………口になさらないでくださいって言ったじゃないですか」
「ここでは良いだろうが。それに全部は口にせぬ。
…………ふむ。これは確かに、厄介だな。私と其方の仲であっても、何が潜んでおるのか見当もつかぬ」
「……それなんか、誤解招くのでやめてください」
意味深な言い方をしてきた姫様に、つい顰めっ面になってしまった。
それを見た姫様が意地悪な笑みを浮かべ、そういえばと話題を変えてくる。
「其方、オリヴィエラに随分と気に入られたようではないか」
「は? ご冗談を」
「ははは、オリヴィエラが男相手にああいう態度を取るのは珍しいぞ。
大抵は小さく縮こまって、俯くばかりだからな」
…………え?
つい首を傾げた俺に、姫様は笑みを深め、アギー公爵様に視線を移す。
アギー公爵様も、左様ですなと頷いて……。
「あれなら、クオンティーヌではなく、オリヴィエラを選べば良かった。レイシール殿より歳が上であったし、あれの性格的にも無理だろうと遠慮したのだが……いやはや、分からぬものですな」
「えっ、あの……」
「今からでも良いのではないか? 縁を繋げるだけならオリヴィエラでも構わん。クオンティーヌは気にすまいよ」
「ちょっ、ちょっと、俺に分からない話はやめてください⁉︎」
何やら不穏な空気を感じ、俺は慌てて話に割って入った。
これはもしや……俺に紹介される予定とかいう二十九番目の方の話⁉︎
見えてもいないのだが、背後のサヤが緊張したのを肌で感じた。
それで余計に気持ちが焦ってしまった俺は、つい勢いで立ち上がる。その勢いのまま、あまり考えずに言葉を吐き出した。
「報告があります!
明日の夜会で俺は華を伴います! そのことを、是非姫様にはご理解いただきたいですからね⁉︎
父上にももう婚約を認めていただきましたし、たとえどなたを紹介されても俺は受けませんから!
彼女以外を娶る気もありません、生涯、彼女ただ一人だと、もう決めたので‼︎」
急な宣言に、姫様とアギー公爵様がぽかんと口を開き、俺を見入る。
姫様の視線がサヤを見て、俺に戻されて、またサヤを見て……暫く沈黙が場に満ちた。
「…………レイシール…………」
ゆらり……と、長椅子から立ち上がった姫様が、前の小机に足を掛け……え?
何故か当然のように、小机の上に立った姫様。勿論、俺より頭の位置が上になるわけで、殺気すら篭った視線で射殺さんばかりに見下ろされ……ぐふぇ⁉︎
「貴様、女っ気の無い生活をしていると思いきや……いつの間にそのような⁉︎
言え、何処の誰だ。メバックの娼館の色女かっ、それとも商家の令嬢か⁉︎ 行きずりの女とか言ったら殺す!
越冬中の禁欲生活に耐えかねたか知らんが、そんな短期間でそのようなことを決める相手など所詮金目当てか地位目当てたぞ⁉︎
まさか身体で懐柔されたのではあるまいな⁉︎ 初心の世間知らずも大概にしろ⁉︎」
胸倉を掴まれ、首を圧迫されての揺さぶり⁉︎
ちょ、それ俺に、反論する、余地……無い……ちょっと⁉︎ 喋、ない、んです……⁉︎
横でマルが盛大に吹き出して、ケタケタ笑い出した。
お前っ、笑ってないで、説明してくれても良いんじゃないのか⁉︎
そう言いたいが言えない、頭がくらくらしてきた……。
「ひ、姫様っ、違います、あのっ、そうではなく、あ、あのっ!」
必死でサヤが宥めようとしてくれるのが、朦朧とする俺の耳に聞こえてきたが、姫様は「黙れ‼︎」と一喝。
「其方もそれで良いのか⁉︎
こやつは押しに弱いうえに度量ばかりが無駄に広い!
だから一度でも契った相手に子でもできたと言われれば、ホイホイと受け入れる、それが虚言であっても、気持ちが無くともな!
責任をチラつかせれば反射で飛びつく。猫と一緒なのだ!」
俺、そこまで、馬鹿じゃない………………。
「だから言ったではないか、待つのは無駄だと!
もう遠慮などしている場合か、其方ならばと思うだからこそ私は……っ。理由はなんだ、国か? 身分か⁉︎ もう捨てたものに構うのは馬鹿のすることだ! 今重要なのは其方の気持ちひとつだけなのだぞ⁉︎ 其方はこやつを、好いておったのだろうが⁉︎」
「……あー……姫、何か言い分がある様子ですし、そろそろ首元を緩めてやっては?」
意識が飛びかけてた俺を、ギリギリでアギー公爵様が救ってくれた。
「変わりましたよ」
「見分けが付かぬようでは意味がない。前と変わらぬでは、偽造印を使われても判断が付かぬ」
「付きますよ。分かります。そういう風に考えました」
俺の言葉に、姫さまが眉をひそめ、セイバーン領主印の押されたその紙を、アギー公爵様に手渡す。アギー公爵様も、それをまじまじと見つめたけれど…………。
「ふむぅ……どこが変わったか、私にも判断が付かぬな……。
強いて言うなら、滲みが……いくつかあるように見受けられる……むん? 滲み……?」
「流石、アギー公爵様。その滲みが何に見えるかは、口になさらないでください」
そう言うと、アギー公爵様は目を見張った。
そうしてその紙を、今一度姫様に差し出す。滲みの箇所を、一つだけ助言して。
「領主印の改定を、相手に悟られぬようにと言うのであれば、これが最も有効なのでは……という、結論に至りました。
印の中に潜ませたもの。それを正しく知るのは領主当人と、王家。そして製造元のアギーのみとすれば、たとえ偽造印が作られていたとしても、判別がつきます」
これは、サヤの国の紙幣に使われる技術。
緻密な絵柄の中に、文字や印を潜ませる……というものを真似たのだ。直径十糎という紋章印に、びっしりと張り巡らされた意匠。その中に不規則に散りばめられた極小の文字と模様……。
俺が潜ませた言葉は『かるら』と『つばきあぶら』そして、五枚の花弁が重なる花。言われてみればそう見えるかもしれないが……くらいの、本当に小さな変化。
並び方にも法則性は無く、文字を全て拾ったとしても意味は理解できないだろうし、そもそもこの世界に『椿』というものは存在しないことになっている。
カルラの名とて、殆どの者が知らない。その名をここに選んだ理由も。
アギー公爵様にも、姫様にも分からない……。
「後もうひとつ。
父上から、領主印を手に入れられる手段……可能性がある事例を、伺っています。
…………俺の祖父母…………先代領主夫妻の死亡事故。
領主印を所持した状態で、夫妻は崖より馬車ごと転落死。…………遺体は、正常な状態では見つからず、領主印も箱ごと不明となり、未だ発見されていないと……」
山間の崖から転落死した祖父母。御者と従者、護衛を含めた八名が死亡した事故であったらしい。
現場は雨により、緩んだ地盤が陥落、崖崩れが起きた様子で、道が半ばから崩れていた。偶然、居合わせた祖父母らの一行が、巻き込まれたのだろうということだった。
一向全員が巻き込まれたため報せも無く、発見されたのは七日後……。川を流れてきた馬車の残骸を頼りに捜索がなされた結果、行き着いたという。
遺体は獣に食われ、荒れた状態……荷物の中にあった領主印も見つからず、父上の領主印は同じものが再度作り直されたものであるそうだ。
箱の鍵は遺体とともに発見されているのだが、何十年と時間をかけることができれば、箱を壊すことも可能かもしれない……とのこと。
「ふむ……だがそれは、相当昔のことであるな。
セイバーン殿は、何故それを?」
「……全ての可能性を考慮すべきと考えたそうです。
……まぁ、ジェスルがセイバーンに関わるずっと前のことですから、本当に、可能性でしかないのですけど……」
それこそ、三十七年も過去だ。
いくらなんでもと思うのだが、可能性として……。
貴重な聖白石で作られたセイバーンの紋章印が、少なくともこの世に二つ存在しているのは事実。
だからそれを、無視すべきではないと考えたのだろう。
「まあ確かにな……可能性として、無いわけではない……か。
…………ふむ。そちらの方面も、ちと調べてみるのも一興か……」
状況を楽しむかのように、アギー公爵様は口髭をしごきつつ、なにやら楽しそうに呟く。
そして姫様は、俺たちの新たな提案、紋章印の意匠案を、食い入るように見入っていた。
「……ラ…………ア…………キ………ブ………またラ? 先程のラはどこだったか……同じものかな?」
「…………口になさらないでくださいって言ったじゃないですか」
「ここでは良いだろうが。それに全部は口にせぬ。
…………ふむ。これは確かに、厄介だな。私と其方の仲であっても、何が潜んでおるのか見当もつかぬ」
「……それなんか、誤解招くのでやめてください」
意味深な言い方をしてきた姫様に、つい顰めっ面になってしまった。
それを見た姫様が意地悪な笑みを浮かべ、そういえばと話題を変えてくる。
「其方、オリヴィエラに随分と気に入られたようではないか」
「は? ご冗談を」
「ははは、オリヴィエラが男相手にああいう態度を取るのは珍しいぞ。
大抵は小さく縮こまって、俯くばかりだからな」
…………え?
つい首を傾げた俺に、姫様は笑みを深め、アギー公爵様に視線を移す。
アギー公爵様も、左様ですなと頷いて……。
「あれなら、クオンティーヌではなく、オリヴィエラを選べば良かった。レイシール殿より歳が上であったし、あれの性格的にも無理だろうと遠慮したのだが……いやはや、分からぬものですな」
「えっ、あの……」
「今からでも良いのではないか? 縁を繋げるだけならオリヴィエラでも構わん。クオンティーヌは気にすまいよ」
「ちょっ、ちょっと、俺に分からない話はやめてください⁉︎」
何やら不穏な空気を感じ、俺は慌てて話に割って入った。
これはもしや……俺に紹介される予定とかいう二十九番目の方の話⁉︎
見えてもいないのだが、背後のサヤが緊張したのを肌で感じた。
それで余計に気持ちが焦ってしまった俺は、つい勢いで立ち上がる。その勢いのまま、あまり考えずに言葉を吐き出した。
「報告があります!
明日の夜会で俺は華を伴います! そのことを、是非姫様にはご理解いただきたいですからね⁉︎
父上にももう婚約を認めていただきましたし、たとえどなたを紹介されても俺は受けませんから!
彼女以外を娶る気もありません、生涯、彼女ただ一人だと、もう決めたので‼︎」
急な宣言に、姫様とアギー公爵様がぽかんと口を開き、俺を見入る。
姫様の視線がサヤを見て、俺に戻されて、またサヤを見て……暫く沈黙が場に満ちた。
「…………レイシール…………」
ゆらり……と、長椅子から立ち上がった姫様が、前の小机に足を掛け……え?
何故か当然のように、小机の上に立った姫様。勿論、俺より頭の位置が上になるわけで、殺気すら篭った視線で射殺さんばかりに見下ろされ……ぐふぇ⁉︎
「貴様、女っ気の無い生活をしていると思いきや……いつの間にそのような⁉︎
言え、何処の誰だ。メバックの娼館の色女かっ、それとも商家の令嬢か⁉︎ 行きずりの女とか言ったら殺す!
越冬中の禁欲生活に耐えかねたか知らんが、そんな短期間でそのようなことを決める相手など所詮金目当てか地位目当てたぞ⁉︎
まさか身体で懐柔されたのではあるまいな⁉︎ 初心の世間知らずも大概にしろ⁉︎」
胸倉を掴まれ、首を圧迫されての揺さぶり⁉︎
ちょ、それ俺に、反論する、余地……無い……ちょっと⁉︎ 喋、ない、んです……⁉︎
横でマルが盛大に吹き出して、ケタケタ笑い出した。
お前っ、笑ってないで、説明してくれても良いんじゃないのか⁉︎
そう言いたいが言えない、頭がくらくらしてきた……。
「ひ、姫様っ、違います、あのっ、そうではなく、あ、あのっ!」
必死でサヤが宥めようとしてくれるのが、朦朧とする俺の耳に聞こえてきたが、姫様は「黙れ‼︎」と一喝。
「其方もそれで良いのか⁉︎
こやつは押しに弱いうえに度量ばかりが無駄に広い!
だから一度でも契った相手に子でもできたと言われれば、ホイホイと受け入れる、それが虚言であっても、気持ちが無くともな!
責任をチラつかせれば反射で飛びつく。猫と一緒なのだ!」
俺、そこまで、馬鹿じゃない………………。
「だから言ったではないか、待つのは無駄だと!
もう遠慮などしている場合か、其方ならばと思うだからこそ私は……っ。理由はなんだ、国か? 身分か⁉︎ もう捨てたものに構うのは馬鹿のすることだ! 今重要なのは其方の気持ちひとつだけなのだぞ⁉︎ 其方はこやつを、好いておったのだろうが⁉︎」
「……あー……姫、何か言い分がある様子ですし、そろそろ首元を緩めてやっては?」
意識が飛びかけてた俺を、ギリギリでアギー公爵様が救ってくれた。
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